2016年03月

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金曜日の投稿

宮川 拓也
投稿者:宮川 拓也
(Monosus (Thailand) Co., Ltd. 取締役)

2016年03月11日

日本人とタイ人の考え方、
価値観の違い。

仕事と暮らし・タイ

宮川 拓也
投稿者:宮川 拓也(Monosus (Thailand) Co., Ltd. 取締役)

モノサスタイランドの宮川です。
日本は花粉症がつらい時季かと思いますが、タイは既に夏。一年で最も暑くなる4月に向けて、35℃近い日々が続いています。かと思えば、先々月はタイにも大寒波が到来し、北部では寒さで死者まで出たそうです。仕事中も確かに肌寒かったですが、気が付くと暖房が点けられていたことに驚きました。半袖着てるのに暖房とは…。
さて、私はタイで暮らしているわけですが、日常の中では文化の違いから誤解や勘違いは度々起こります。 今回は、タイと日本の考え方や価値観の違いについて、いくつかご紹介したいと思います。

時間の感覚の違い

タイ人は時間にルーズだという声は度々耳にしますが、一番それを実感したのは採用の時でした。応募者が面接時間に多少遅れることや来ないことはとても多くあります。
ただ驚いたのは、逆に30分前や1時間前、さらに3時間も前に来るような人までいたことです。時間を間違えた訳でもないのに...。

さすがにそれは衝撃的でしたが、そういったアバウトすぎる時間の感覚は何に由来するのかと調べてみたところ、もともと農耕民族だったということがひとつ理由としてあるようでした。農耕民族は、日が昇れば起きて作業に出かけ、日が沈むころには家に帰るため、時間を気にする必要がありません。

であれば、日本人も元は同じでは?と思うのですが、日本人は、室町時代に伝わった「禅と儒教」の教えから、「人に迷惑をかけない」ことや、「恥」や「反省」の文化、「自分より他人を重んじる」考え方が定着し、日本人の考え方の基本となったようです。
さらに、明治以降の近代化と戦争や自然災害からの復興・高度経済成長により、時間への感覚が他の国と大きく変わってきたと言われています。
「スタート時間に厳しいのにエンド時間にルーズ」だと揶揄される日本人の時間の感覚も、タイ人からすれば滑稽なのかも知れません。

マイペンライという言葉の意味

タイ語には「マイペンライ(ไม่เป็นไร)」という言葉があり、この言葉は「何でもない」「大丈夫」「構わない」「どういたしまして」「平穏無事」などの意味があります。
先日、日本人の友人がタイで車を運転中に後ろから追突され、加害者のタイ人から謝罪されるどころか「マイペンライ」と言われて凄く腹が立ったという話を聞きました。
タイ語にはそもそも「反省」という言葉が無いと聞いたことがあります。ほんとかな?と思い、辞書を見ると本当にありませんでした。


半ズボン・・・はんせ・・ハンセン病。反省がありません。(出典:高橋絵葉『日タイ辞典・日本語-発音-タイ語』2009年 Meteve Phuket Co., Ltd.)

ところがタイ人の友人に聞いてみると、「ない訳ないじゃないですか」と怒られてしまいました。ではなぜ日本人にそう思われるようになってしまったのか気になるところですが、どうやら反省する概念や言葉はあるようです。

追突後に加害者が発したマイペンライですが、実はこの言葉には、相手も自分も安心させたいという想いがあるようです。
多くが仏教徒であるタイ人は、心根の優しい人が多いといいます。国民性として「平穏」であることを好み、「変化」や「普通ではない状態」を好みません。そしてそれを確認し合う言葉として挨拶のように頻繁に使うのがマイペンライです。何かが起きた時に「大丈夫」「安心してください」「心配しなくていいですよ」と、相手を気遣う優しさもこめて使われるのだそうです。
ただ多くの場合はやはり追突された側がマイペンライと言い、タイではそのまま賠償もせず許してあげるケースも多いといいます。

迷惑を掛けるということ。優しさのかたち

タイ人からすると、「日本人は周りに迷惑を掛けないことを重視するが、周りを助けようともしない。それに比べタイ人は、迷惑を掛けることには無頓着だが、周りが困っていたらすぐに手伝う」「優しさでは日本人に負けない」という話を聞きました。
確かにタイでは、赤ん坊が泣きわめいても周囲は嫌な顔ひとつしませんし、電車内では子どもにも席を譲り、男性は皆ジェントルマン気質です。
オフィスでも、誰かが困っていれば自然と助け合い、一緒に残っている場面もよく見かけます。ひとたび体調が悪くなれば、皆とても心配して薬まで買ってきてくれます。
当然どちらの文化も背景にはそれなりの考え方がありますが、迷惑を掛け合う前提というのも良いものだなぁと思いました。

相互理解への道

今回だけではとても書ききれませんが、タイ人の国民性や普段の言動の背景にある考え方を少しでも知ると、なるほどなと理解出来る部分もあり、とても興味深く感じました。
また、同時にそれは、日本人である自分自身の考え方の特異性に気付かされる機会でもあります。

タイ人にはタイ人の価値観があり、日本人には日本人の価値観があります。そこには明確な違いがあり、お互いに好きな文化もあれば、なじめない部分もあるだろうと思います。 その価値観の違いとどう向き合っていくかは継続した課題ですが、自らの正義に固執することなく、互いが理解しようと努力し、尊重し合うことにこそ、成功のカギがあると思っています。

参考文献:住田千鶴子『知っているようで知らないタイ国とタイ人』2015年 SUMITA Training Center & Consultant

この投稿を書いた人

宮川 拓也

宮川 拓也(みやかわ たくや)Monosus (Thailand) Co., Ltd. 取締役

1981年生まれ。石川県出身バンコク在住。未婚。死にたいくらいに憧れた東京の馬鹿野郎に別れを告げて、4500キロ離れた異国の地で奮闘中。折角なのでムエタイとゴルフとギターまで始めてみました。ムエタイはしんどいから年2回。タイは、若いうちに行け。

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