2016年06月

15

水曜日の投稿

田中 夏海
投稿者:田中 夏海
(ディレクター / コーダー)

2016年06月15日

仕事、子育て、国際結婚。
あたらしい暮らしかた、はたらきかた。
ー香取玲美の仕事と暮らしー

仕事と暮らし

田中 夏海
投稿者:田中 夏海(ディレクター / コーダー)

切っても切れない「仕事」と「暮らし」について語る「仕事と暮らし」、今回は初めての東京編。
セールス部・香取玲美(かとり れみ)を取り上げます。
このほど産休・育休から復帰し、現在は営業サポートとして日々テキパキとタスクをこなす彼女。
その私生活は、パキスタン出身のイスラム教徒のご主人と、2歳になるやんちゃだけれどかわいい息子さんに、振り回されては支えられ、笑いあり涙あり。仕事と同じくらい、いやそれ以上にバタバタです。それでも香取は、職場ではいつも明るく、人を笑わせ、自分も笑っています。

「仕事」と「育児・異文化をもつ家族との生活」。香取はこれをどう両立しているのでしょうか?
 

子どもと大人、食事は毎日別メニュー!
働くママの「猛ダッシュ生活」


息子さんのお弁当。預けている保育園では給食が出るのですが、豚肉など、宗教上NGな食べものを避けるため、おやつもセットで用意するそう。

香取の朝は早く、夜明けの5:00に始まります。
起床後、息子さんのお弁当、ご主人のためのお弁当、そして朝食とチャイ作り。すべて、それぞれに合わせた別メニューだそうです。
出来上がったら家族を起こして、息子さんにご飯を食べさせ、洗濯や掃除などの家事をしながら息子さんの身支度などの世話をし、ご主人を見送って、自分の身支度もして…めまぐるしく時間は過ぎていき、8:00ごろ息子さんを保育園に預けて、9:30には出勤します。

モノサスでは長年の営業としての経験を生かし、営業サポートとして働く香取。
契約書や会社資料の準備、テレアポリストの作成など、事務的な業務が主ですが、そのタスク量は膨大で、時には休憩も取れないほどです。
それでも、彼女は子を持つお母さん。保育園のお迎えの時間があるので、残業するわけにはいきません。時間内にその日の業務をすべてこなします。

定時ぴったりにタイムカードを切った香取は、新宿駅へと猛ダッシュ!
なんとか時間に間に合う電車に乗り、とりあえずはほっと一息。目的地まで約1時間ほど電車に揺られます。


新宿の地下道を疾走する香取。「急げ、急げ!」

そして、息子さんの待つ保育園へ。
「朝、お別れするときの、寂しそうな顔も見ているから…」
お迎えの瞬間の、息子さんの待ちかねたようなうれしそうな顔が、何よりも楽しみだと言います。


息子さんは2歳、おしゃべりも遊びも活発。モノサスのイベントに来てくれたときは、いつもスタッフみんなのアイドル状態です。

そのまま息子さんを連れ、お買い物。この日は一般のスーパーで、野菜や果物などを購入しました。イスラム教には様々な食に関するルールがあるため、食材の調達にはとても気を遣うのだとか。


息子さんのおやつも、毎回しっかりチェックをしてから購入。市販のお菓子には、たとえ成分表示に書かれていなくても、製造過程でNGなものが使われている可能性があるのだそうです。

帰宅してからは夕食作り。まだ2歳の息子さんには、ご主人の好きなスパイスたっぷりのカレーが食べられないため、大人用と子供用、2種類用意します。


ある日の香取(アブドゥル)家の食卓。チャパティ・カレーにサラダ。

家族で夕食を囲んだあと、片付けをして、息子さんをお風呂に入れて寝かしつけます。
その後はやっと、少しほっとできる時間。つかの間休息の後、次の日に備え23:00には就寝。

起きたらまた、香取のめまぐるしい一日が始まるのです。
 

国際結婚から始まった、
イスラム教徒の、ちょっとおちゃめなご主人との生活

パキスタン出身のイスラム教徒のご主人との結婚。そこから始まったのは、違う宗教・文化で育った家族との生活でした。
基本的に、アルコール・豚肉の摂取は禁止。他の肉類などの食品も、ハラールフード(イスラム教の厳密なルールを守った食べもの)でなければなりません。ほかにも、お菓子や加工食品にもポークエキスなどイスラム教で禁止されている成分が使われていることがあるため、外食の際もチェックが必要です。

また、イスラム教では「ラマダーン」と呼ばれる時期に断食が行われます。
日が昇っている間は水も煙草も、どんなものも口に含むことは許されません。とくに今年は6月からの1ヶ月間がラマダーン月。この暑い時期、香取はご主人が心配でたまりません。
日が沈むと飲食が許されるため、19:00以降に一日分の水分をとり、翌日に備えて夜中に食事を摂ります。


この日は家族みんなでピクニックへ。

このような、イスラム教の厳しいルールとともに暮らしていく他にも、日本の言葉や習慣に慣れていないご主人のため、代わりに仕事先とコミュニケーションをとったり、なぜかモデル風のポーズで写真を撮ってくれと言うご主人をカメラにおさめたり(しかも何枚も)、覚えたての、でも間違った日本語を嬉しそうに繰り返すご主人に、つい一緒に笑ってしまったり…。
…自分とは異なる文化を持つひとと生活するというのは、並大抵のことではありませんが、ご主人の明るくて面白い人柄は、香取を支えてくれているようです。
 

お団子ヘアがトレードマーク
香取玲美が、「営業っぽくない」営業になるまで

2007年、コールセンタースタッフとしてモノサスに派遣されてきた香取。
その頃まだ黎明期のモノサスでは、チェッカーがディレクションを兼任したり、電話業務をしながらコーディングしたり、など、それぞれのスタッフがいろんな仕事をしていました。
香取も例に漏れず、コールセンターとチェックを兼任。そのうちに「1時間だけ電話して、営業のアポ取りしてくれない?」と言われ、営業サポート(この頃はアポ取りだけだったそうです)として、営業チームでのキャリアをスタートさせました。

ただ、その当時、営業は奥山たったひとり。さすがに手が足りず、採用活動をはじめるも、なかなかはかどりません。
そんな時、当時の営業チームのリーダーが声をかけたのが、香取でした。

「香取さんなら、やってくれると思った」
当時の彼女の仕事ぶりを知る上司たちは、口を揃えてそう言います。
「香取さんは、目の前に来た仕事を、嫌な顔をせずにちゃんと受け止める。
察しが良くて、自分で考えてやってくれて、ミスもしない。
仕事人として、とても信頼出来る人なんです」

そんな面を評価され、営業見習いとなった香取は、奥山の往訪に同行するように。教育制度などはなく、奥山の話すこと、仕事を「見て・聞いて覚える」日々を重ねました。
そして、ある雪の日、とある事情で出社できなくなった奥山の代わりに往訪。
突然の独り立ちでしたが、お客様とも打ち解け、なんとお土産までもらって帰ってきました。

カラフルなエスニックファッションにお団子ヘア、大きな書類鞄を携えて「あんまり営業っぽくない」営業として、その後も活躍した香取。
やがて、新入社員・原澤の教育係となります。ここでも持ち前の察しの良さと面倒見の良さを発揮して、原澤を一人前に育て上げました。

やがて、モノサスではまだ取る人のいなかった産休・育休を取得。一年に渡る休業に入るのでした。


明日から休業に入るという日、チェックチーム一同から贈られたという垂れ幕。香取にぴったりのレインボーカラー!今も彼女の自宅に飾られています。
 

環境の変化を受け入れて
「おだやかな開拓者」香取玲美


営業チームの小部屋にて。

まわりから信頼され、黎明期からモノサス、そしてセールス部を支えてきた香取。
休業中、お金のことはさておいても、自分が社会人であることを忘れたくない、社会に出ていたいという気持ちがありました。

ただ「お客様と自分が直接かかわりを持つ」ということに、仕事の醍醐味を感じていた彼女。また、契約書の作成など、現在の香取が請け負っているサポート業務は「営業の仕事」から切り離せないものだと考えていました。
そのため、営業サポートという新たな肩書でモノサスに戻ることに不安を抱いたと言います。

しかし、「営業の仕事」「それをサポートする人の仕事」が整理された結果、安心して職場復帰することができました。
「戻りたいなと思っていたところに、きちんと私の居場所を作ってくれて。そのことにすごく感謝しています。帰るべきところに帰ってこれた、という感じですね」
業務の整理自体は、以前から考えていたという、セールス部部長・奥山と担当役員・柵山。
「ただ、人手が足りていなくて…。そこに香取さんがいてくれた。こちらにも『香取さんに戻ってきてほしい』という気持ちもあったし。お互いの希望とタイミングが合ったんです」

セールス部・畠山と話す香取。何気ない会話の中から、先回りできるポイントが見つかることもあるそう。

そうして帰ってきた香取について、かつての教え子の原澤はこう話しました。
「香取さんは、自分の仕事を本当にきちっとやる人。元々営業だったから、正直『できちゃう』こともあると思うんです。でも、それはちゃんと分けて、自分のやるべきことに集中する。
今ではもう、営業サポートを長くやってきたような安定感です」

自らも営業だったからこそ、また、今の自分はその当事者ではないからこそ、分かることがあると香取自身は言います。
「一を聞いて十を『やる』。そんなふうに、先回りしてメンバーを支えていきたい。かゆいところに手が届くような、最大限のサポートをしたいと思っていて、今はそれが目標です」

一を聞いて十を『やる』。
これは香取自身の心がけでもあり、同時に周囲から評価されている部分でもあります。

また、子育て・家庭生活を通して、仕事に対する考え方、意識も変わっていきました。
結婚前、フルタイムで働いていたころは、仕事には時間をかけるタイプでした。夜遅くまで会社に残り、家に帰ってもメールのやり取りを続け…。

だけど、今はそうはいきません。モノサスでの仕事の前にも、後にも、家族のためにやらなければならないこと、やりたいことが山積みです。
自然と、タスクひとつひとつに期限を設け、効率化を図るようになりました。
同時に家事も工夫して時間を短縮。空いた時間で別の家事、子供の世話…。
「できる限り時間をかける」という考え方から「時間内で、できる限りのことをやる」という考え方にシフトしていきました。

「確かに、あちこち忙しそうにしている営業メンバーを見ていると、それを助ける意味でも自分も外に出て、もう一度前線に戻って働けたらなという気持ちもあります。
だけど今は子供にとって大切な時期。できることはちゃんとやってあげたいので」

チェッカーから、流れ流れて、営業へ転身。
日本とは違う価値観を持つ、外国人であるご主人との結婚生活、厳しいイスラム教の習慣やルール。
出産・子育て。そして、モノサスへの復帰。
劇的とも言える環境の変化を、いつも変わらないスタンスで受け止め、渡り歩いてきた結果、今までのモノサスになかった新しい価値観を切り拓いていっている香取。
彼女の「おだやかな開拓」は、取り巻く皆にとっても、働き方の可能性を広げることでしょう。

この投稿を書いた人

田中 夏海

田中 夏海(たなか なつみ)ディレクター / コーダー

コーディングファクトリー部ディレクター/コーダー/キティラー。大阪で生まれ育ち上京後、一次面接で「ビビっと」きてしまい、猛アピールの末モノサス入社。趣味は映画を観ることと歌うこと音楽を聴くこと、読むこと書くこと、自分ひとりぶんの食卓を整えること。「夏海」という名前ですが、海には7年ほど行ってませんし、全く泳げません。あと5月生まれです。よろしくお願いします。

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