2016年10月

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木曜日の投稿

田中 夏海
投稿者:田中 夏海
(ディレクター / コーダー)

2016年10月20日

日替わりネタは一貫10円!?
謎多き激安寿司屋を、あなたは見つけられるか。

代々木散策マップ

田中 夏海
投稿者:田中 夏海(ディレクター / コーダー)

数多くの飲み屋がひしめき合う代々木駅前。代々木散策マップでは、その中でもものさすスタッフオススメのお店をご紹介してきました。
しかし、正直に言いまして、誰にも教えたくないのです。この店は、この店だけは。
なので、今回は少し趣向を変えさせていただきます。皆様、このお店、見つけられるでしょうか?
 

日替わりネタはいくら頼んでも一貫10円。
知る人ぞ知る激安寿司屋

とは言え、どんなお店かわからなければ、探す気にもなりませんよね。
それでは、不肖この私の、ある日の独り寿司レポを通して、ご紹介いたしましょう。

時刻は21:30。夜もなかなかいい時間です。
普段ならまっすぐ帰宅するところですが、今日は案件の山場を越えたこともあり、このまま帰るのはなんだかもったいない気分になってきました。
自分へのご褒美に、ちょっと贅沢に…お寿司、なんて洒落こみたい。
でも、仲のいい同僚はみんな帰ってしまったし、ついでに言うと懐具合もよろしくないし。
それでも、頑張ったんだもん。どうしてもお寿司が食べたい!
そう、こんな時、行けるところと言えば…

…ここは代々木駅前、とあるビル。
外からの目を遮るかのように垂らされた、大きいのれんをくぐると。


とても狭い店内。混んでくると大将だけでは回せなくなるので、出来上がったお寿司や飲み物を、注文したお客さんのもとへ、カウンターのそばにいる他のお客さんが運ぶ光景も。

左右両側は壁…かと思いきや、隙間から覗く古いシャッター。どうやら白く塗ったベニヤ板を、シャッターの上から貼り付けているようです。
「まぐろ赤身 180円」「えんがわ 100円」「デカ盛りメニュー ALL380円」…腰のあたりから天井まで、また店の奥から入口まで、ベニヤ板からもはみ出して、一面をカラフルなお品書きが覆っています。


いつもはだいたいブリなのですが、この日の日替わりネタは、カレイ。お寿司以外にも、フライドポテトや梅水晶など、酒好きにはうれしいおつまみも豊富。〆にぴったりのカレーは400gから800gまで選べます!

ビニールクロスの張られた、手作り感あふれる立ち食いカウンターに、小さなテーブルセットが4席ほど。
圧倒的なボリューム感に、気圧されつつも…ふと見上げると、味のある古い看板が。
ん、どうして寿司屋の中に「おしゃれの店」の看板が?


そのまま残された看板。かつての賑わいも聞こえてきそう。

このお店、実は、お店とお店の間、かつて営業していたビルの通路をそのまま利用して作られたものなんです。
それも、どう見ても、手作り。
壁も天井も、外にはみ出したテーブル席も、思いついた順から作って足していったかのような、新旧素材の取り混ぜられた不思議な趣があります。
こんなところで、大人がひしめき合って寿司に舌鼓を打っている様は、なんだかイケナイ場面のように感じますが。
ご安心ください。ここはお寿司屋さん、みんなお寿司をつまみに呑んでるだけです。

超・狭小の店内です。少し見回してスキマを見つけたら、そそくさと滑り込みましょう。
そうすれば、大将が一言声をかけてくれます。
「お飲み物、何にしましょう」
寿司といえば、日本酒でしょう。とりあえずヒヤで!

お寿司は、うーん、どうしようかな。
本音では、日替わりネタのカレイでおなかいっぱいにして、節約しつつ酔っ払いたいけれど…。
ここは、カレイ五貫と、いつものブリに次いで二番人気の生ゲソ・50円を二貫で手を打つことにしました。



はじめに頼んだカレイと生ゲソ、そして追加弾の明太子。

これだけ頼んでも、10円×5+50円×2=150円!
や、安い。
こういう激安店の場合、鮮度や味が心配ですが、ところがどっこい。
ここのお寿司は、安くてもしっかりしたお寿司なんです。
カレイは申し分なくおいしいですし、ゲソも粘っこくなく生臭くなく、こりこりとした歯触りがクセになります。大きすぎず、一口でぽいっと食べられるサイズ感も絶妙。ほろっと崩れるシャリの味わいに、ついついぱくぱく、お酒もすいすい、いってしまいます。

激安で得られた至福にのんびり浸っていると、のれんをくぐって颯爽と現れたお兄さんが、カウンターに着くなり一言。
「とりあえず、水と、カレイ二十貫で」
に、二十貫!? とりあえず!?
そして「あいよ」と愛想無く答えつつ、氷なしの水を差し出す大将。ん、氷なしの水?
あっ。このお兄さん、「上級者」の方ですね!常連としてのレベルの差を感じます。私なんてこの間やっと覚えてもらえたばかりなのに…。

ちょっぴりうちひしがれていると、緑の小鉢が差し出されました。

「どうぞ。酒に合うよ」
ぶっきらぼうに言うと、カウンターの奥に戻ってカレイを握る大将。
喜びに心の中で小躍りしながら一口いただくと、うーん、うまい!
ちょっとぴりっとして、ダシがきいていて、これは山葵菜のおひたしでしょうか。
お礼を言うと「あー、いいよ」と、これまた素っ気なく答えてくれました。

ショウケースの乗ったカウンターの向こうにどんと構えて、ほとんどそこから動くことのない大将。
無駄に愛想を振りまくことは無いけれど、話しかければ真摯に答えてくれる。
この大将の人柄も、魅力のひとつだな…。


大将のいるカウンターの奥からは、別のお店のフロアがチラリ。このツギハギ感が、ただ居るだけでもワクワクしてくる理由なのかも。ちなみに私は「なにわ骨董店」の看板を見つめながら呑むのがお気に入りです。

そんな風に思って時計を見ると、もう23時。
さっと入ってさっと帰るのが立ち食いなのに、居心地がいいもので、つい長居してしまいます。
いただいたお料理のお皿を自分で大将に返しつつ「ごちそうさまでした!」

そして、次こそは勇気を出して日替わりを十貫頼むぞ!と、でもイカオクラも美味しいんだよなあ…と、早速次回の選択を迷いつつ、家路を急ぐのでした。
 

どうでしょう。ちょっとは気になってきましたか?

「行きたい!」と思っていただければ、幸いです。

ですが。冒頭にも申し上げたとおり、このお店のことは、できれば誰にも教えたくないのです。
疲れた夜に午前3時まで待っていてくれる、私のオアシスなんです。
ただでさえ、10人も入ればいっぱいになってしまう店内。皆様がどっと押し寄せては、私の居場所がなくなるではないですか…。
だから、場所は教えません!申し訳ありません。

でも、関心を持っていただいて、ご自分で見つけられた方とは、たとえ直接言葉を交わすことはなくても、是非ともこのお店で一緒に飲みたい。
それに、ここはなんとなく、そういう場所である気がするんです。

ですので、いくつかヒントをご用意しました。
 

ヒント1:お店の名前は?

「わざわざ探させる気?めんどくさい。ていうか、店名がわかれば検索で見つかるでしょ!」
と、思ったそこのあなた。

このお店、店名は、ありません。
「ありません」という名前じゃないですよ。お店の名前が無いんです。

通常店名が書かれるであろう、外から見える看板も、そこでかつて営業していた金物屋さんのもの。
その下には「寿し」と書かれたおおきなのれんが掛かっているのですが、死角になっているのか、どうにも見逃しがち。
つまりは、ぱっと見ても店名はわからず、聞いてみるとやっぱり「無い」。

ですが、それが逆にヒントなんです。
名前のないお寿司屋さん、なんて、そうそうないですよね?
 

ヒント2:東京の○○城?

実はこのお店、以前のものさすサイトの記事に、ちらっとだけ登場したことがあります。

代々木駅前で昭和にタイムスリップ ~裏・代々木散策マップ~

このときは別のお店のご紹介でしたが、私といえば、垣間見えたお寿司屋さんの姿に興奮を隠せませんでした。
そう、このお寿司屋さん、「東京の○○城」と呼ばれるとあるビルに入っています。
まあ、もうばっちり写真にも写っているんですけどね。
 

ヒント3:そもそも結構有名店?

「新宿」「代々木」「激安グルメ」などのワードで検索すれば、高確率でこのお寿司屋さんの情報が出てきます。
「みんな勝手にやっているよ、ブログとかなんだとか。検索したらすぐ出てきちゃう」
大将によると、Youtubeにも動画がアップされているんだとか。

そうか、そもそも有名店なんですね。

…さあ、ここまで来れば、もうおわかりでしょう。
ちょっとわかりやすすぎたかな…と、少なからず後悔していますが、これも、ホントはオススメしたい気持ちの現れ。
こんないい店あるよって、みんなに教えたい!でも、自分だけのものにもしておきたい!
そんなジレンマが、伝わるでしょうか。
 

アンビバレンスを抱えても。
通いたくなる魅惑の秘密基地


大好きないくらをほおばって、この時はすべてを忘れます…。

たまに混んでて入れないし、まとめて注文しないと怒られるし、カウンターのビニールクロスはどう見ても床用です。
それでも、私を捕らえて放さないのは、百均のプラボウルをクーラー代わりに結構いいボトルワインを出してくれるような、飾っているのかいないのか、否!飾っていないのだ、そんなところだと思っています。

大勢で行くのもいいですが、是非お一人で、代々木を探し歩いてみてください。
大人が作った秘密基地みたいな場所で、(店内は賑やかですが)一人静かに寿司と日本酒。
激安だから財布の心配もしなくていい。しかも、お値段以上にウマい。
たまにはそういうのも、いいじゃありませんか。

見つけたなら、もうこっちのもの。
さあ、一緒に「上級者」を目指しましょう!

この投稿を書いた人

田中 夏海

田中 夏海(たなか なつみ)ディレクター / コーダー

コーディングファクトリー部ディレクター/コーダー/キティラー。大阪で生まれ育ち上京後、一次面接で「ビビっと」きてしまい、猛アピールの末モノサス入社。趣味は映画を観ることと歌うこと音楽を聴くこと、読むこと書くこと、自分ひとりぶんの食卓を整えること。「夏海」という名前ですが、海には7年ほど行ってませんし、全く泳げません。あと5月生まれです。よろしくお願いします。

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