2017年04月

28

金曜日の投稿

林 隆宏
投稿者:林 隆宏
(代表取締役)

2017年04月28日

オープンマーケティング
Step.1 顧客を、信じる。

Open Marketing

林 隆宏
投稿者:林 隆宏(代表取締役)

みなさん、こんにちは。モノサス代表の林です。

前回まで2回にわたって神山におけるFood Hub Projectを題材に
Open Marketingについてお話しました。

今回からはまた本来の流れに戻り、Open Marketingの考えを掘り下げながら、
実際にどうすればOpen Marketingを取り入れられるかについて数回に分けて
お伝えしていきたいと思います。
 

自らの価値観に素直になる。

Open Marketingをはじめるにあたって、
まず最初にすべきことは、自分たちの心の位置を据え直すことです。
これまでのビジネスのスタンスを見つめ直し、新たな気持ちで
商品・サービスと向き合う必要があります。

ここでやるべきことは、「自らの価値観に素直になる」ことです。

私はこれまで数多くの経営者の方と一緒にお仕事をしてきましたが、
経営者の一番の悩みは、売上が足りなくて利益がでないことでもなく、
従業員が思った通りに動いてくれないことでもなく、
「自分がやりたい商売ができないこと」なのではないかと思っています。

数年前にバイクディーラーの経営者たちとプロジェクトをやったことがあるのですが、
そのときにこの仮説は私の中で確信に変わりました。

少し事例を交えてお話したいと思います。

そのプロジェクトは、とあるバイクメーカーの正規ディーラーチェーンとの
お仕事でした。
全国に100店舗近くあるのですが、各店舗のオーナーはそれぞれ
別々の会社で、経営は独立して行われています。
その時は、全部で15店舗ほどのオーナーや、店長と
業績向上に向けたプロジェクトを一緒にやりました。

正規ディーラーですから、当然そのメーカーのバイクしか扱っていません。
つまり、傍目には同じブランドのバイクを扱うチェーン店のように見えるわけです。
自動車でいうと、レクサスや、日産、ホンダ、BMWといったディーラーが
一般の方から見ると同じ店に見えるのと同じです。
しかし内実はそれぞれ経営者が違い、独自に経営をされているのです。

業績向上の話をしていく中で、様々な会話をしたのですが、
あるときふと気になって、経営者・店長のみなさんに
「なぜこのメーカーのバイクを専門に取り扱うと決めたのですか?
 そしてなぜあなたはバイクショップを経営(もしくは運営)しようと決めたのですか?」
と聞いてみたのです。

その時の経営者のみなさんの話は、私にとっていまでも
忘れることのできないものがたくさんあります。
せっかくですので2つほどご紹介したいと思います。
一言一句覚えているわけではありませんが、
わかりやすく伝えるために、ご本人が語ってくださっているように
記載したいと思います。
 

店舗A 〜九州の店舗オーナー〜

この店は父の代からの店です。
今の店は私の代になってから移転したのですが、
小さいころは店と家が同じ建物でした。
だから父のことを慕ってバイク乗りがたくさんくるのを良く目にしていました。
当時の私にとって、バイク乗りは騒音をまきちらす、ガラの悪い人たちで
決してバイクに対して良い印象はありませんでした。
でも、当時は誰もがバイクに乗るような風潮だったので
私も年頃になってバイクに乗るようになりました。

バイクに乗るようになって感じたのは
「スポーツとしてこんなに楽しい乗り物はない」
ということです。
結局夢中になって、モトクロスの国際A級ライセンスを持つまでになりました。

その時私が思ったのは
「自分がバイクショップをやるのであれば、きちんとスポーツとして
 バイクに乗るライダーを増やすための店をつくりたい」
ということです。

つまり、きちんとした技術を身につけ、交通ルールを守り、マナーも守れ、
スポーツとしてバイクを楽しめる技量のあるライダーを育成するための
店をつくっていきたいと思ったのです。

それに、スポーツとしてバイクに乗るのであれば、
私はいまの自分が取り扱っているメーカーのバイクが
価格と性能のバランスが一番優れていると思っているんです。
 

店舗B 〜東北の店舗経営者〜

この店はもともと妻の実家です。
大学時代にここにきて、妻と出会い、そのままここで働くことになりました。
バイクってきちんと乗りこなしてはじめて楽しい乗り物だと思っています。

そういう観点からすると、いま自分たちが扱っているこのブランドのバイクは
バイクを操る人の「こう曲がりたい」という意思を、他のどのブランドよりも
受け止めてくれるバイクをつくっていると思います。
いわゆる「人馬一体」というのを体験できるんです。

でも、それを体験するためにはトレーニングが必要です。
残念ながら人馬一体を体験できているライダーはすごく少ないと思いますし、
とてももったいないことだと感じています。

この店でバイクを買って、乗ってもらうことで
人馬一体を体験してもらえるようになれば本当に嬉しいです。

他にも紹介したいエピソードはたくさんあるのですが、
ここでは2人の経営者の方の声をご紹介しました。
 

なぜ経営者は、自分がやりたい商売を、
自分がやりたい相手とやれないのか。

私にとっては、どの経営者の方のお話も非常に印象に残るものでした。
魅力的で、面白く、もし自分が近くに住んでいたなら
お付き合いしたくて仕方のない店長さんたちです。
一方で、彼らはこの想いをどれくらい自分たちのお店で
表現できていたでしょうか。

おそらく1割も実現できていなかったと思います。

なぜきちんとお店でそれを謳わないのかを聞いたところ、
帰ってきた答えは、
「それだと食っていけない」
というものが大半でした。

明確にやりたいこと、理想の商売があり、
集まってきてほしい顧客像まではっきりと見えているのに、
「それでは商売にならない」と諦めてしまい、
理想とは違う形で、売りたくもないサービスをしてしまっているのです。

このことを聞いた時に、それまで多くの会社の経営者の話を聞いてみて感じていたこと、
さらには自分が10年近く経営者をしてきて肌身で感じてきたことが
ひとつの線になって繋がったように思います。

実は多くの経営者の悩みは、単純に売上が立たないことや、
利益が出ないこと、ましてや自分自身が忙しいことなどではなく、
自分がやりたい商売を、自分がやりたい相手とやれていないことなのだと
気がついたのです。

ではなぜ多くの経営者は
「自分がやりたい商売を、自分がやりたい相手とやる」ことができないのでしょうか。

私はその原因を、「顧客を信頼していないから」だと思っています。
正直に、素直に、自分がやりたい商売のかたちを
顧客に伝えていないわけですから、それはなぜかといえば、
顧客がそれを受け入れてくれるとは思っていないからです。

自分のやりたい商売のかたちに自信がないかと言えば、
もちろんそういう面も多少はあるのでしょうが、経営者である以上、
その店を運営するために少なからず借金もしていますし、
さきほどのプロジェクトの場合であれば、とあるブランドの
バイクしか売らないというコミットもしています。
つまり、ある程度自分のその商売のやり方や取り扱う商品に対して、
自信や、価値を感じていないと、始めることはできても、
何年も継続することはできないのではないでしょうか。

つまり信じていないのは、自分のことよりも、顧客のことなのです。

継続的に顧客との関係性を構築し、自分たちにとっても、
顧客にとってもハッピーな状況をつくるために、
まず最初に欠けているのは、商品を提供する側の企業が
顧客を信頼していないことなのです。

長くなりましたので、今回はここまでにしたいと思います。
次回は、「まず顧客を信頼する」ということをより深く
掘り下げていきたいと思います。

今月も最後までお読みいただきありがとうございます。

この投稿を書いた人

林 隆宏

林 隆宏(はやし たかひろ)代表取締役

モノサスの代表。基本的に出張や打ち合わせで出ていることが多く、家庭からも会社からも「いない人」扱いをされているが、寂しがりで有名。料理をこよなく愛し、特に肉を焼くことに対して異常にモチベーションが高い。

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