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Jul,2017
小野木 雄
投稿者:小野木 雄
(デザイナー)

2017年07月20日

好きなものを閉じ込める
木に触れて楽しむものつくり

デザインの目のつけどころ

小野木 雄
投稿者:小野木 雄(デザイナー)

こんにちは。デザイン部の小野木です。

今回は、昨年の紙人形の記事に続きDIY第二弾。
ごくたまにですが、趣味でアクセサリーをつくることがあります。アクセサリーをつけるのは好きではないので作るだけですが、そのアイディア探しでPinterestでアクセサリーを検索することが結構あります。その中で「木」と「レジン」を使ったアクセサリーを見ることが多く、「どうやって作るんだろう?」と気になっていたのですが、たまたま海外でつくり方を説明している YouTube動画を見つけました。

また、娘がお姫様ごっこをする年頃になり、「かわいい」とか「キラキラ〜」みたいなものが好きになってきたので、この機会に娘に指輪をつくってあげることにしました。

これが思いのほか大変で、かなり試行錯誤したのですが、完成したときの喜びが大きかったので、その様子をご紹介します。
 

道具と材料。

ということで、まずは娘にどんな指輪がいいかヒアリングです。

僕「木と透明の石で指輪つくるけど、どんなのがいい?」
娘「ピンクでー、お花がはいってるの。木はいらない。」

木はいらないと言われましたが、元も子もないのでそこはスルー。ピンクはレジンに着色できますが、問題は「花」。指輪に載る小ささのドライフラワーとかあるかなーと思って、新宿の花屋を回ったりしたのですが、なかなか見つかりません。

調べてみると「ネイル用ドライフラワー」というものがあるらしい。ただネイル用品店は会員制のところが多いので、服飾の小物が揃う「オカダヤ」へ。そしたらありました!ネイル用ではありませんが、「レジン用ドライフラワー」。大きさもベスト。どうやらレジンアクセサリーって一部の女子で流行っているらしく、そういう小物が比較的揃っている様子。とりあえず一安心。

ということで、使う道具や材料はこちら。

指輪の材料になる流木、レジン、ドライフラワー。加工のためのノコギリとヤスリ各種。軽量のためのはかり、プラカップなどです。撮影し忘れましたが、電動ドリルも指輪の穴を開けるために必要です。

では、実際につくる工程をご覧ください。
 

1. 木材をざっくり削る

まずは流木をざっくり適切なサイズに切ります。なぜ流木を選んだかというと、綺麗な木材だと、ちょっと加工品っぽく見えてしまう感じがしたのと、レジンに閉じ込めた時、山を想起させる凹凸が美しいと思ったので選びました。

側面を粗めの金ヤスリでゴリゴリ削ります。流木は凹凸が激しいので、あとで加工しやすいように、側面を削ってブロック状に整形していきます。レジンを流し込む上部だけは木の表情を活かしたいので、そのままにしておきます。
 

2. 木材をレジンでコーティングする

続いてレジンを混ぜていきます。レジンは2液混合のタイプで、主剤と硬化剤に別れています。気をつけることは、寸分の狂いなく2:1で混ぜること!そのためにも、できれば0.1g単位まで測れたほうがベスト(1g単位のはかりでも大丈夫です)。これが狂うと硬化不良を起こします。撹拌も念入りに行った方が硬化不良が起こりにくいです。

流木をレジンに浸します。表面を硬化させてコーティングすることが目的です。理由は後ほど。

別のカップに移し、倒れないようにして放置します。

そして48時間後・・・完全に硬化しました。ツルツルです。(レジンの硬化時間はメーカーや商品によって異なります)
 

3. 着色レジンで全体のトーンを決める

ここに着色したレジンを流し込んでいくので、周りに大きいサイズのセロハンテープでくるっと巻きます。特に下の方はレジンが漏れないように何重にも巻きます。使わないタッパーやクリアケースを切り貼りすると、もっと綺麗に仕上がります。

レジンの2液を混合しよく混ぜたら、レジンの着色剤を混ぜます。この着色剤を入れすぎると硬化不良の原因になるので注意します。

撹拌していると、結構気泡が立ちます。レジンアクセはこの「気泡」との戦いです。硬化したときに気泡が多すぎると、せっかくの透明感が損なわれ、台無しになってしまいます。

そこで「油こし紙」をカップにのせて、レジンを濾過します。こうすると気泡が抜けて、綺麗なレジンになります。

流木の方に花を載せます。ここに着色レジンを流し込みますが、花が浮いてきそうであれば、この段階で接着剤とかで仮止めするか、レジンであらかじめ接着してしまってもいいかもしれません。今回の場合は流木の凹凸が激しく、花がその凹凸に上手くはまったので、その必要はありませんでした。

なんかこの記事、絵的にだんだんガーリーになってきましたね。ちょっと僕のイメージが心配です。

着色レジンを流し込みました。セロハンテープでぐるぐる巻きにしたので、レジンの漏れも心配ありません。前述の流木をあらかじめレジンでコーティングした理由は、木自体がそもそも空気を含んでいるので、そのままレジンを流し込むと、ここで気泡が浮いてきます。それを防ぐためのひと手間でした。
例によって、ここで48時間放置します……時間がかかる。

硬化後、セロハンテープを取り、加工しやすいように金ヤスリで周りの凹凸を削りました。金ヤスリは目詰まりしやすいので、金属ブラシで削りカスをとってあげると効率よいです。この段階でも、綺麗なオブジェっぽくて結構好きです。

娘にみつかりました。たぶんよくわかっていないと思いますが、「指輪つくってるんだよー」と教えたら、にんまりしてました。娘は笑うと若干しゃくれます。
 

4. 穴を開ける

あらかじめ娘の指のサイズを測っておき、適切なサイズのドリルで指を通す穴を開けます。流木って半端なく硬いです…木の種類なのかもしれません。とにかくここが一番大変な作業でした。

周りのいらない箇所をノコギリでざっくり切断。このくらいまで整えます。だんだん指輪っぽくなってきました。
 

5. 理想のデザインに形を整える

ここからは地道な作業。自分の思い描くデザインに少しずつ近づけていきます。金ヤスリでざっくり整えながら、たまに目の細かいものを使って、微調整していきます。

木目の流れなどを見ながらアレンジはしますが、概ね理想まで形を整えることができました。


 

6. とにかく磨く!

ここからは楽しい作業!紙やすりの#100〜#2000まで順番にかけていきます。磨いていくほど透明度が増し、木に艶が出てきます。

#2000までヤスリがけした状態。まだ濁っています。

ここで、神ツール!「Mr.ラプロス」と「セラミックコンパウンド」。ラプロスでさらに細かいやすりがけをし、コンパウンドは目の細かい布などにちょっとつけて磨いていきます。

完成!うつくしいっ!!

幼稚園の夏祭りに合わせてプレゼント。夏祭りの催しで頭がいっぱいの娘は、あまり嬉しそうにしない・・・。頑張ったお父さんに笑顔をください。


いかがでしたでしょうか? 記事長いよ!って感じですよね。それくらい手間がかかりました。娘のために花とピンクをモチーフに制作しましたが、中に閉じ込めるものや木材、着色などで色んなデザインができそうです。


レジン部分は濃紺と透明の二層構造。流木の山っぽいところに金箔を散らしてデザイン。

今回のアクセサリー制作でしみじみ思ったのが、「道具の大事さ」。たとえば紙やすりをかける工程では、#100〜#2000まで10枚以上使って、小刻みに磨いていきましたが、これをめんどくさがって、#100、#500、#2000みたいな3枚とかでやると、いつまでたっても傷が残ってしまいます。

手間をかけるためには、その手間に見合った道具が揃っていないと、なかなか結果には結びつきません。今回のアクセサリー作りで揃えた道具の費用は結構なもので、正直似たようなアクセサリーを買ったほうが断然お得なのですが、そんな出費も気にならないほど、楽しく勉強になりました。なんて言ったって世界にひとつだけの一品ものですし、娘も喜んでますし。

みなさんにもオススメしたい!とはとても言えないほど大変でしたが、レジンだけなら色々好きなものを閉じ込めてオリジナルのアクセサリーやオブジェ的なものをつくるのはお手軽で楽しいのではないかと思います。
機会があれば、是非チャレンジしてみてください!!

この投稿を書いた人

小野木 雄

小野木 雄(おのぎ ゆう)デザイナー

デザイン部の部長を退き、ひとりのデザイナーとして修行中。現在は主にデザイナー目線でプランニングに入ったり、UI / UXに深く関わってみたり。何のプロフェッショナルになるか模索しているけれど、イラスト仕事だけはずっと携われているのが心の救い。

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