2017年12月

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金曜日の投稿

ものさす編集部
投稿者:ものさす編集部

2017年12月22日

壁にぶつかって、乗り越えて、勉強し直して。
経験してきたからこそ伝えられる何かを渡したい

めぐるモノサシ

ものさす編集部
投稿者:ものさす編集部

今回のゲストは、週1回モノサスにやってくる木下洋一(きのしたよういち)さん。コーディングファクトリー部(CF)で、リーダーの竹田とともにCFのメンバーにいろいろと働きかけてくださっているようです。

竹田曰く「内部にはない刺激をエンジニアに与えてくれている」という木下さん。今回は、モノサスのスタッフにとっても謎多き存在の木下さんの活動とご自身のキャリアについて伺いました。
(インタビュー構成・佐口賢作)
 

木下洋一さんプロフィール
ソフトウェア会社で販売・生産管理などのシステム開発に携わったのち、フリーに。その後、全く畑違いのCPUやルーターなどを設計をする会社に勤務。7年前に自身の会社を設立し、現在はフリーランス(屋号:LOOGO)で活動中。裾野の広い開発・システム設計経験を元に、インフォメーションアーキテクトとしての動きを開拓しながら、利用ユーザ・開発ユーザの支援に携わっている。

 

この先、モノサスが行こうとしているところに
僕から渡せるものが何かあるんじゃないかなって

竹田

意外と多くのスタッフが週に1回やってくる木下さんのことを謎に思っているようで、知り合った経緯やどんなことをしてもらっているかという話から始めたいんですが。

木下さん

じつはまだ、明確に何をしているという段階ではないですよね。だから、「◯◯をしています」と言えないので、まずはモノサスに来ることになった経緯を話しましょうか。
「イノベーション東北」、遠野での「Field Hack」を通じて竹田さんと知り合ったのが始まりですよね。年齢も一緒で、家も近くて、お互い仕事の悩みを持っていて、それに対する打開策が交換できるような状況で。2人ともお酒が好きだったから、飲みながら仲良くなっていって、ある日、竹田さんから「テクニカルな面でCFをサポートしてもらいたい」と誘われた……という流れでしたよね?

竹田

そう。最初はプログラミングの技術的なことを教えてもらったり、テクニック的な部分をサポートしてもらおうと思っていたけど、いろいろ話していくうち、そもそもの部分でCFにもモノサスにも足りないものがたくさんあるとわかってきて。
もう少し違ったレイヤー……例えば、コーダーが何かを勉強するときの土台作りの部分やそれを支える組織のあり方みたいなところから知恵を借りたいな、と。だから、今はまだ来てもらって様子を探って、掴んでもらっているところです。

木下さん

僕の持っている技術や経験がこの先、モノサスが行こうとしているところとたまたま合致しているのかな、と。そこで、竹田さんと知り合いになって、こうやって呼んでもらったことで、僕から渡せるものが何かあるんじゃないかなと思ったんですね。

技術的なことだけじゃなく、そのテクニックをどう使ってビジネスを提供できるのか。そういうことのアドバイザー的な立場で週1度お邪魔して、いろいろな人とコミュニケーションを取っているところです。

その流れで、今まさに現場で困っていることがあれば、そのままお手伝いすることもあるし、「そもそも勉強ってこういうふうに進めるものだよ」と座学風に話すこともあるし、チーム作り、案件の取り扱い方を一緒に設計していくみたいなこともしてますね。

竹田

本当に来てもらってからの方が、気づきが多かった。うちはエンジニアの組織を作ったことがないでしょう。あるべき姿っていろんな姿があるから固定しなくていいんだと思うけど、木下さんは関わってきたエンジニアの数がすごいから。エンジニアの個性みたいなものがよくわかっていて、伸ばし方も知っているじゃないですか。やっぱり経験値に勝るものはないし、そこを相談できる人がいてくれるのは本当に助かっています。
 

26歳、超高学歴なスーパーエンジニアがいる職場で、見事なまでに鼻っ柱を折られました

木下さん

子供の頃から父の影響もあってモノづくりが好きだったんですよ。5歳くらいのとき、家におもちゃみたいなコンピュータがあって。でも、ゲームは買ってもらえない。父に不満を伝えたら、「買ってもらえないなら、キミは作るべきだ」と言われて(笑)。6歳くらいから簡単なゲームを作ったりしていました。

ただ、コンピュータが大好きというわけではなくて、林の奥に秘密基地という名のけっこう立派な一軒家を建てたりとか、近所の廃棄場で掃除機とテレビを分解して、強力な磁石を引っ張りだしてモーターを作って、ミニ四駆に載せてみたりとか。

モノづくりが好きだったんですね。秘密基地は林で釘を使うな! チェーンソーの歯が欠ける!と見知らぬおじさんに壊され、改造モーターは発火して怒られ、と散々でしたけど(笑)。のめり込むとおかしなくらいやる子でした。没頭するんでしょうね。

高校は工業系、大学は電子工学科に進みました。でも中退して、小さなソフトウェア会社に入ったんですよ。

竹田

大学はなぜ辞めちゃったんですか?

木下さん

子供っぽい話ですが、入ってみたらやりたいことと違ったんですよね。僕は時限装置とか、ああいう装置を作りたいと思っていたんですけど、それは電子工学じゃなくて、別の分野だったという。このまま続けるのはテンション上がらないなと思って、やめました。何かをやりたいから中退したわけじゃないんですけど、今思えば正解だったなと思っています。

竹田

その後はソフトウェアの開発を?

木下さん

僕は5年周期くらいで全然違うことをやっているんですね。
最初に入ったソフトウェア会社では、今はもう見ないような汎用機と呼ばれる大型コンピュータのある場所でCOBOLというもはや古代言語のようなプログラミング言語を扱っていました。
そこは元某大手ソフトベンダーの人たちが作った会社で、生産管理や販売管理のシステムを作り、5年後に退社。半年くらいフリーの技術者をやって、そこから畑の違う分野へ。CPUやネットワークのルーターの中の設計をやる会社に入りました。

そこは京大、東大出の超高学歴なスーパーエンジニアがいる職場で、見事なまでに鼻っ柱を折られました。そのとき悟ったのは、プログラマーとして自分よりもすごい人たちがいっぱいいるから、この人たちをつなげるマネジメント側に回っていった方がいいだろうし、こういう世界にいたからこそわかることも多いだろうなと思ったんですね。26の頃です。

竹田

落ち込みましたか?

木下さん

へこみました。自分ではプログラマーとしてやっていけると思っていましたから。ここから、どうしようかな……と。社内での立ち位置もわからなくなって、考えて、考えて、数学が大事だとも思い知らされたので、その会社の役員の方が東大の数学系の出身の方だったので、その人に2年くらい付いて毎週数学を教えてもらって。
落ち込んでいてもしょうがないから、勉強し直しました。それ以外、道がなかったんですよ。

竹田

その後にやってきた次の5年目の周期ではどんなことを?

木下さん

2社目で出会ったすごい技術力を持ったエンジニアと、ソフトウェア開発の会社を立ち上げました。ここから本格的にWeb系ですね。業務管理システムや料金の回収システムやECサイトなどを手がけていました。

パートナーだったエンジニアは高い技術力で、すごいものを作るんですけど、その価値がなかなか一般の人には伝わっていかない。だからお客さんも対価をどのくらい払えばいいのかわからない。そこで、お客さんに対してモノサシを示して、こことここが他の会社と違います、と。すごい人たちのことを翻訳するような仕事もしてきました。

周りからは「この2人は1年続かない」と言われましたが、7年続き、発展的に解散して、今は個人事業主という状態です。

やってきたことはコンピュータという縦軸で共通しているんですけど、それぞれの内容はすごく違う。振り幅が大きいキャリアになっています。60歳くらいのエンジニアの方とも喋れるし、20代のエンジニアとも話せるっていうのが、なんとなくの自分の特徴になってしまったのかなと思います。

みんなが必死に駆け上ろうとする坂道を
階段状に組み替えて、問題解決を支えていきたい

竹田

モノサスのエンジニアたちには、どんなことを伝えていこうと?

木下さん

目論見としては手取り足取りじゃなくて、考えてもらって、疑問を持ってもらうことを大事にしようと思っています。
疑問を持って、質問して、次にどう生かしていくのか。質問がどういうふうに進化していくかを観察していこうと思っています。その中で、この人にはこういうことが向いている、こういう用意が必要かなと見極めていく。エンジニアは質問する力がないと育たないので。

竹田

質問する力?

木下さん

はい。わかったような気になるのは簡単なんですよね。でも、わかったはずの技術を本当に使いこなすのは難しい。とにかくたくさん質問して、人を捕まえて、巻き込んで、ってことをやるメンタル、流儀が成長には必要で。僕がそうやってきたし、周りにいたすごい人たちもそういうスタイルでしたから。できるかぎり、伝えていきたいですね。

竹田

少なくともうちの会社には、そういう視点で考えてくれる人がいないから、よろしくお願いします。

木下さん

必ず1回壁にぶつかるんですよ。そこで、「正しい教科書を読まなくちゃわからない世界だ」って気づく。その壁の前までは連れて行ってあげたいですよね。で、本人が乗り越えたら、僕なんか技術的にはあっという間に追いぬかれていくので。

竹田

今、言った教科書っていうのは?

木下さん

特別のものではなくて、本屋さんで売っている技術書です。今はネットでいろんな情報を調べられるんですけど、本って1人の著者が書いているじゃないですか。言わば、1人の神様の世界なんですよね。

そこで1回学んでいくのは大事。ネットは技術的なことをちょっと知るにはいいんですけど、体系的ではないし、今、探しているものは非常に簡単に見つけられますが、探していないものにはまずたどり着かない。その点、本は読んでいると、知らないことにふと出会うことがあるんですよね。
基礎根幹がわかっていれば、応用というのは想像ができるんで。想像力や妄想力の餌になる何かを自分の中で育てるお手伝いをしたいですね。

あとは階段の上り方、段差の調整の仕方も伝えたいかな。


CF部メンバーへの勉強会の様子

竹田

階段って?

木下さん

技術もディレクションもそうなんですけど、みんな坂道を必死に上ろうとするんです。でも、階段にしたらすごく上るのがラクになるじゃないですか。一歩一歩進んでいけるから。その感覚も伝えていきたいなと思っていて。

それはお客さんとの打ち合わせでも同じで、僕たちとお客さんは異業種であることがほとんどですよね。
しかも、技術力の高いエンジニアほど、一般のお客さんとは話が合わない傾向があります。でも、誰からが間に立って階段のように一段ずつ整理していくと、一歩ずつ歩み寄って分かり合えるんですよね。       

竹田

なるほどね。

木下さん

「ここまでは理解したよね?」「うん。ここまでは理解した」というステップです。超絶エンジニア同士なら、長い坂道でも一気に駆け上がって理解し合えるんでしょうけど、普通は無理ですから。誰かが段差を調整しながら階段にしてあげた方がいい。その繰り返しで、物って形になっていくんだと思っています。

前に竹田さんたちと飲んでいるとき、「打ち合わせ屋」って言葉が出て、すごくしっくりきたんですけど、うまく階段が作れていれば、打ち合わせでどこまで風呂敷を広げても大丈夫な境界線も見えてくると思うんですよ。
それができていないと、「わかりません。持ち帰らせてください」となったり、風呂敷を広げすぎて収集がつかないみたいなトラブルにもなってしまう。その境界線がわかる人も育てていきたいですよね。

竹田

うちも打ち合わせはできていると思うんですけど、そこの線ですよね。そんな広げっぱなしで大丈夫?っていうのもあるし、もう少し広げてこなくちゃダメだよっていうのもあって。すごく大事なところですよね。

木下さん

僕は何か問題を解決することに興味を感じるタイプで、問題解決のために問題を作っちゃダメですけど、問題を見つける工程がまたおもしろくて。お客さんとコンピュータとか電子機器を一切持たずに、模造紙に手書きで問題点と解決策を書き始める瞬間が一番ワクワクするんですよね。最近、仕事ではそういう機会、減ってきていますけど。

竹田

それで言うと、CFへの関わり方は、おもしろい実験的な段階でしょう(笑)?

木下さん

そうですね。何がうまくハマるかなって自分として探っていっているおもしろいところ。

竹田

問題はたくさんある中で、手助けしてくれそうな人に恵まれているモノサス、CF。木下さんに出会えてラッキーだよね。

木下さん

僕がこの1年くらいで良かったと思うことのトップクラスは竹田さんと知り合えて、こういう状況に今いるってことです。これがなかったら、本当に淡々と日々仕事をしているだけでしたからね。今、自分が技術的に提供できることだけをやっていれば、とりあえずお金にはなるんですよ。
ただ、週1回モノサスにお邪魔して、何が出せるのかをひたすら考えまくるっていうのは、自分にとってもプラスのフィードバックのある生活。出会えてよかったなと思っています。

竹田

ありがとうございます。


 

インタビューを終えて

今回インタビューをさせてもらい、いままで話してきたことや聞いたことが文章として残って、率直によかったなーって思ってます。

CFメンバーは木下さんと度々飲みに行ってますが、
木下さんがこれまでに何をやってきたとか、
バックグラウンドを知らないメンバーもいますし、
これから入ってくるメンバーや、CFに限らず今後絡むであろうモノサスメンバーに、
木下さんを知ってもらうのにいい記事になったのかなと思います。

実際にモノサスにきてもらってから、まだ3ヶ月ですが、
いままで考えてもいなかったことや、より深い知識を教えてもらったりと、
メンバーに限らず僕もすごい刺激を受けてます。

「考えてもらって、疑問を持ってもらうこと」と言われていましたが、確かに、木下さんに質問をすると、質問で返されます。

それによってまた僕らもその物事に対して、より考えるようになりました。

来期からは、案件のご協力をもっとお願いしようと思ってます。
木下さんの背中を見ながら、いいところを盗んでいきますので、
よろしくお願いします!!

またタイにも行きましょうw!

竹田 健一

この投稿を書いた人

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ものさすサイト編集部です。メインは2名。「正直な今」を伝えるべく、日々ネタを求めてアンテナ発動中。たのしそうな気配を感じたら、どこでも飛んでいきます!

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