Wed.
17
Jan,2018
香川 祐太朗
投稿者:香川 祐太朗
(デザイナー)

2018年01月17日

こっちは元気でやっています。
〜神山生活、1年経ちました〜

仕事と暮らし・神山

香川 祐太朗
投稿者:香川 祐太朗(デザイナー)

こんにちは。クリエイティブ部 神山チームの香川です。

2017年の1月から神山での暮らしがスタートして早いもので1年が経ちました。

丁度、節目の時期に「仕事と暮らし・神山」の執筆担当となったので、1年間の出来事を振り返りつつ、都会の暮らしとはひと味違う、神山での田舎暮らしをご紹介したいと思います。


運命の出会い

「空き家を制するものは神山を制する」

という言葉を聞いたことがあるくらい、空き家は沢山あれど、すぐに生活ができるような良い条件の家は滅多にないという神山の現状があります。

僕の場合ですが、有難いことに神山のNPO法人グリーンバレーをはじめとする、周りの方にご協力いただき、 運良く条件も状態も良い空き家を借りられることが出来ました。

自分が神山での暮らしを楽しめているのも、今の家があるからだと思っています。


家の外観


デザイン部の河原崎がドローンで空撮した写真。写っている範囲のほとんどが敷地です...!

今でこそ快適に生活できていますが、状態の良い家とはいえ、実際に住み始めるまでの準備はとても大変でした。

まずは家の隣に建っていた「蔵」を大家さんの意向でとり壊すことが決まっていたので、業者さんの解体が始まる前に中を片付けることに。


蔵の片付けの様子

中には年代ものの古道具が沢山しまわれており、ちょっとした宝探し気分。
序盤は体力もあり、古めかしい空の木箱が出てくるだけでめちゃくちゃテンションが上がっていたのですが、次から次に出てくるため、次第に無表情で片付けるようになります。

次に家の中の片付け。

家がとても広い分、荷物を運び出すのが本当に大変でした。

グリーンバレーのみなさん、サテライトオフィスのスタッフをはじめ、他にも沢山の方々にご協力いただき、十数名で作業。丸1日かけてなんとか片付けを完了しました。

片付けが終わったあとは、家の掃き掃除&拭き掃除を手伝ってもらったり、
冷蔵庫を運んでもらったりと、ご協力いただいた方々には本当に感謝しかありません。


大型トラック3台分のゴミや不用品を運び出しました。

生活を始めるまでの片付けや改修はもちろんですが、その後の大家さんの親戚や同じ集落に住む方々への挨拶周りをしていて感じるのは、神山で家を借りるということは都会でアパートやマンションを借りることとは全く別物なのだと言うこと。

大家さんや親戚の方々にとって、家を貸すということは、
自分たちが生まれ育ち、たくさんの思い出が詰まった家を他人に預けるということなのです。

挨拶周りの際、親戚の方のなかには、家での思い出を話ながら寂しそうに涙ぐむ方もいらっしゃいました。
大家さん自身は「(よっぽどのことでなければ)家を好きにしてください」とおっしゃってくれていますが、何か家に手を加える際は必ず連絡をするようにしています。


いざ、田舎暮らし

神山サテライトオフィスに視察に来られる方々からよく口するのが、
神山のような田舎での暮らしのどんなところが気に入っていますか?という質問。

僕はいつも「静かなところ」と答えます。

車や人の喧騒がなく、聞こえるのは虫や鳥の鳴き声だけ。
さらにどこか懐かしい山のいい匂いが漂っていて(今は慣れてよくわかりませんが)、夜はプラネタリウムさながらの綺麗な星が見えます。

昨年の夏、ものさす塾講師としてはじめて神山に訪れた時も、その居心地の良さに感動しました。

今の家も山の中にあるので、周りは本当に静か。

軒下で庭をぼーっと眺めながらのんびりするだけで、都会ではなかなか味わえない贅沢な時間を過ごすことができます。

そんな神山での暮らしを、数少ない写真とともにご紹介します。
 

梅酒づくり

庭に1本、立派な梅の木が生えています。
家の前のすだち畑を管理している西田さんから、そろそろ収穫していい頃だと教えてもらったので、軽い気持ちで収穫したら予想以上に大量の梅が取れました。

普段あまり梅酒を飲むことはないのですが、せっかくなので、収穫した梅(約12kg!)で、梅シロップ&梅酒を作ることにしました。
梅シロップは氷砂糖とてんさい糖、梅酒はホワイトリカーと焼酎のそれぞれ2種類。

自分で作っても、半年後にはちゃんと美味しい梅酒になったのが、感動でした。
そして何より暑い日に草刈りをして、汗をぬぐいながら飲んだ梅シロップは最高に美味しかったです。
 

DIY

都会で生活していた頃はDIYをするなんて発想がありませんでした。

しかし、今では家に十分すぎるスペースがあり、騒音を気にする必要もない。
さらに神山サテライトにはMr.DIY浅ちゃんがいるので、必要な工具など基本的なことから教わりつつ、コツコツ道具を揃えながら、作りたいものを作り始めました。


キッチンの床張り(薄さ9mmの合板)

計画を立てて準備したつもりでも、いざやってみると何かと問題が発生することがよくあるのですが、仕事以外で頭を使ってなにかをすること。これがとても楽しいのです。

なにより、テレビ台、棚など、市販のものでは欲しいサイズぴったりのものが無かったりするので、自分で作れるのが嬉しいところ。ちょっとした失敗の跡が残っても達成感がすごい!(と言い聞かせる...)

普段あたり前に使ってる椅子や机がどうやって作られてるんだろうとか、なんでプロっぽいのか、など今まで気にしたこともないところに目がいくようになりました。
 

外でごはん

春〜初秋の暖かい季節はよく軒下でごはんを食べます。

外で食べるご飯は通常の何倍も美味しく、そうめんを茹でただけでも外で食べるとちょっとしたご馳走に感じるのは不思議です。七輪で焼肉をしたり、秋刀魚を焼いたり、台所ではにおいが気になる料理も気軽に楽しむことができます。

夕方からいい感じに酔っ払ってハンモックに揺られる時間は至福のひととき。(軒下なので、雨の日も雰囲気があって最高!)

引っ越ししたての頃は、ことあるごとに神奈川に帰ると言っていた妻も、ハンモックに揺られながら「神山いいね....」と言ってました。
 

神山温泉


「神山温泉 ホテル四季の里&いやしの湯」/ 何枚も撮ってたいたら泡が減ってしまったビール

代々木の本社勤務だった頃は、家の近所の銭湯に行って、帰りに行きつけの居酒屋で飲んで帰るのが毎週末の楽しみでした。
それくらい、温泉(銭湯)と居酒屋が好きなのですが、神山にはとても泉質の良い「神山温泉」があります。

車なので、温泉帰りに居酒屋で飲んで、というのはもちろん出来ないのですが、車でさっと家に帰ってビールを飲めばオールオッケー!
冷凍庫で凍らせたビールジョッキ(徳島市内の蚤の市で1個50円で購入)でキンキンに冷えたビールを飲むことで居酒屋感を高めます。
 

虫、動物、寒さ


町の人の一押し「ムカデキンチョール」

もちろん楽しいことだけではなく、田舎ならではの苦労も沢山あります。

一度、寝ている最中にムカデに足を這われたことがあり、それからというもの布団の中で少しでも体に触覚を感じると飛び起きてしまうほどのトラウマを負ってしまいました。
(ひどい時は寝ぼけてシーツのシワがムカデに見えてしまうことも)
今年は蚊帳を必ず買います。

次に動物。
庭にはシカ・猿・たぬき・うさぎたちが日替わりでほぼ毎日出没するのですが、厄介なのが天井裏の動物の足音です。
最初はねずみかと思っていたのですが、明らかにねずみ以上に大きな動物の足音が...
(静かで心地よい環境とか書いておいてなんですが)

天井を竹刀で何回か突けばおとなしくなりますが、しばらくすると活動を再開。
完全に舐められています。
家には天井裏へ上がる入り口が無いため、これといった対策も出来ず絶賛頭を悩ませています。
(仮に入り口を作っても、天井裏に上がる勇気がありません...)

そして、冬の寒さ。
夏は涼しくてよいのですが、冬は室内でも「外」かと思うほど寒いです。
暖房をつけていないと、家の中なのに息が白い...

雪の日は庭一面に雪が降り積もり、雪原のように綺麗ですが、車が動きません。
雪かきをしてからの出勤...

春が待ち遠しいです。


神山生活のこれから

こうして神山1年目の暮らしを振り返ってみましたが、他にも写真さえあれば...という出来事も沢山あり、神山生活の面白さはまだまだ伝えきれません。

今は、せっかく神山にきたのだからと、いわゆる「田舎暮らし」を見よう見まねでやってみている状態。まだまだ知らないことが沢山あり、近所の方や神山暮らしの先輩たち、たくさんの方に手助けいただきながら1年目の神山生活を無事に終えることができました。

神山にきてからというもの、都会で生活していた頃より自分の中の「やってみたい」が強くなりました。また、一回やってみてもし失敗したらまた考えよう、とまず行動するようになったのは大きな変化だと感じます。
1年の暮らしの中で行ってきたことは、都会でもやろうと思えばできたことなのかもしれません。しかし、きっかけを与えてくれたのは神山という環境なのかなと思います。

そして、ピザ釜作り、家庭菜園、床張り、漆喰塗り、本棚作り、川釣りなどなど...
まだまだこの家で、神山でやりたいことが沢山!
2年目は更にいろいろなことに挑戦していきたいと思います。

この投稿を書いた人

香川 祐太朗

香川 祐太朗(かがわ ゆうたろう)デザイナー

Webマスターサポート部の所属のデザイナーです。 お酒にのまれるのと、お酒にのまれる人が好きです。 お酒の力を借りて上司を呼び捨てにします。

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