2018年09月

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月曜日の投稿

岩木 香織
投稿者:岩木 香織
(プランナー/ ディレクター)

2018年09月03日

徒然にものさす #02

TOPICS

岩木 香織
投稿者:岩木 香織(プランナー/ ディレクター)

イノベーションオフィスが人気らしい。
オフィス空間を工夫することで、さまざまな課題を解決したり、イノベーションを促す効果があるそうだ。

ものさすのオフィスは、代々木の住宅街にある一軒家だ。
終戦後、米軍将校向けに造られたというこの家は、建築デザイナーのアトリエ兼住居として使われた後、いくつかの借り手を経て私たちのオフィスとなった。

大きなアボカドの樹を囲む中庭、広々とした天窓にテラコッタ敷きの床、蔦におおわれた外壁など何とも雰囲気があって、代表の林もひと目で気に入ったとか。

しかし、この建物。
複雑怪奇なのである。

いたるところに柱や棚があり、部屋をひと目で見渡すことができない。
謎スペースが点在、ドラえもん部屋と呼ばれる場所は、小さな部屋の奥にひっそりと潜んでいる。
極めつけは、古い木造住宅の宿命か床が若干傾いている。

某駆除業者にも「この建物を把握するのは不可能ですね」と言われたとか言われないとか。
電話の配線図を作るだけでも一苦労だ。

まったくもって、効率的じゃない。

以前、私が働いていた職場は、100名近い人間がフロアに整然と並んでいた。10名ほどの机の島が均等にレイアウトされ、キャビネットは豊富にあり、会議室は機能的で、蛍光灯で照らされたオフィスは見晴らしがよく、端から端までひと目で見渡すことができた。

だから、ものさすで働きはじめたときは、あまりの違いにビックリした。

誰が出社して誰が来てないのか、同じフロアでもすぐにわからない。
何がどこに置いてあるのかよくわからない。
誰が何をしているのかもよくわからない。
虫はでるし、夜は暗いし、古い建物なので埃もすごい。

しかし、だ。
何とも落ち着くのである。

隠れ家のようなフロアの端っこにいると、なんだかほっとする。
あのひと来てるかなと覗きにいくと、ちがう誰かと雑談がはじまったり。
機能的じゃない代わりに、人間くさい工夫があったり。

これって、ちょっと家っぽいなと思う。

煌々とした明かりに照らされているのは便利だけど、見えすぎることはストレスだ。イノベーションを起こすために工夫されたオフィスでは、いつも気合を入れてがんばらなきゃいけないような気がする。(私だけかもしれないが)

オフィスだって、人間と同じように「わからなさ」があっていいんじゃないか。

便利じゃなくて、よくわからないけど、ほっと息がつける空間。
そこから生まれてくるものを、私はけっこう楽しんでいる。

 

この投稿を書いた人

岩木 香織

岩木 香織(いわき かおり)プランナー/ ディレクター

モノサスに入ってなぜか方言解禁の福岡育ち。博多弁でしゃべるとリラックス。「こげん東京で働くとか思わんかったけど、みんなで笑いながら仕事しよるけん頑張れるっちゃん」な毎日です。

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