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Aug,2016
田中 夏海
投稿者:田中 夏海
(品質管理(QA))

2016年08月04日

自信のガイドライン、できました。
〜コーディングガイドライン策定 #05〜

コーダーのあーだこーだ

田中 夏海
投稿者:田中 夏海(品質管理(QA))

これまで5回にわたってお届けしました、コーディングファクトリー(以下、CF)の新ガイドライン連載。

最終回は、ガイドライン策定委員長の私・田中が、コーダー達の汗と涙の策定の道のりを振り返りたいと思います。
 

「勢い」で委員長に

昨年の5月の終わり。
「ガイドラインを全面改定しようと思います」
リーダー・児嶋から発表されたのは、毎月行われるコーダーミーティングでのことでした。
久しぶりの大きなプロジェクト、それも念願であった、今の時流に合わせたガイドラインへのリニューアル。私も含め、心の中で(たぶん)沸き立つコーダー達に、児嶋はさらに問いかけました。

「さしあたって、委員長を決めたいと思います。
誰か、やりたい人、立候補してください」

ピリッ!一気に空気が張り詰めました。
CFのガイドライン。その意味するところを皆知っているだけに、委員長の責任の重いこともわかります。
誰だ、誰が手を挙げるんだろう…。
私が先輩コーダーをゆっくり見まわしたその時。チーフコーダー・松原と目があいました。

(あ、あの目は『やれ』の目だ!)

…勝手にそう解釈し、気がついた時には、やや前のめりの姿勢で、前に向かってまっすぐに手を挙げている自分がいました。

委員長への立候補は、完全に「勢い」。
そしてそこからが、私にとって、そして我々コーダーにとって、長く険しい道のりの始まりだったのです。
 

チームで一番社歴の浅い委員長…
及び腰の姿勢を変えた、先輩からの一言


今では進行役も難なく(?)こなせます。

今のCFの持っている、すべての知識と技術、そして経験を結集した、そして全コーダーが自信をもって「これが私たちのガイドラインです!」と言える、最高のガイドラインを作りたい!
そんな目標を掲げ、スタートした策定委員会。
ところが、物事はそんなにスムーズには運びません。

ここにいるのは、見た目こそひょろり・ふんわりとしていても、これまでいくつもの案件をこなしてきた歴戦の猛者たち。
またCFのコーダーとして、ガイドラインにかける情熱は皆等しく、燃え上がるばかりです。当然、コーディングに対してもそれぞれのこだわりとポリシーがあります。
しかも、ガイドラインリニューアルの期限は9月末。少なくとも10月の頭には、ガイドラインもテンプレートもリニューアルしなければならないという、なかなかの過密スケジュールでした。

そんな諸先輩方を、こんな短い期間で、会議進行役初体験の私がまとめて、ゴールまでやりきれるのか?
いや、これ、誰でも結構きついんじゃないか。
なんて、なんて大役を引き受けてしまったんだ…。

しかし、時すでに遅し。やると言ったのだから、やらねばなりません。

はじめは、上手く会議を仕切れず、叱られてばかりでした。
目の前にいるのは常に尊敬し、目標としてきた先輩たち。どうしても遠慮の気持ちが出てしまい、時間内にタスクを処理するという委員長としての仕事ができていませんでした。
進行が拙いと叱責を受け、みっともなく涙が出てしまうことも…。

そんなある日、ある先輩からこんな言葉をいただきました。
「みんな田中さんより先輩だから、遠慮しているかもしれない。だけど、これは仕事だから。みんないいガイドラインを作りたい気持ちは同じなんだから、仕切られて生意気だとか、怒ったりなんてしない。
委員長なんだから、堂々とやりなさい」

考えてみれば、当たり前のことでした。
先輩方は皆、現場の知恵と経験を持ったプロのコーダー。私の仕事は、そんなみんなの意見を最大限引き出して、時間内に取りまとめること。
それをやらんで、何をやるというのか!
尊敬する先輩たちだからこそ信頼して、胸を借りるつもりで堂々とやりきってやろう。

そう決意してからは、先輩方に「だいぶ良くなったけど。もっとテキパキ仕切らんかい!」と激励を受けながら、とにかく前に進みました。
 

止まらない議論を繰り返すうちに、
チームがひとつになっていった


議題は課題管理表にまとめ、一つずつ丁寧に話し合いました。

HTML・CSSルール、ディレクトリルール、等々…とにかく、議論が、アイデアが、止まらない!
喧々諤々のガイドライン策定委員会は、時に、週一回では足らず二回行うことも。

それでも、その議論が、めっちゃくちゃ楽しいんです!

「そんな考え方もあったのか」
「こういう時はどうするの?」
「こんなこと、やってみたかった!」

普段は別々の案件を個々に進めている者同士。
それぞれの意見がそれぞれにとって新鮮で、とても勉強になるものでした。
アクセシビリティやソース視認性について、また、すべてのブラウザできれいに見えるフォントファミリーの指定を考えたり……。
ひとりひとりの意見をぶつけ合い、全員が納得できるひとつの答えにたどり着くまで、何度も議論を重ねるうちに、チームがだんだんひとつになっていくのを肌で感じていました。

いつもバラバラで仕事をしている、我々CFのコーダー。
それでも、普段の業務から、誰かが問題にハマっていたら、質問されたのが誰であれ、一人増え二人増え、最後はほぼ全員で一つの問題を解決しようとしてきました。
皆でひとつのことをするのは、実は嫌いじゃないんです。

そして、ついに某日、新ガイドライン・テンプレートは完成しました。
 

CFコーダー達の知識と技術と現場経験の結晶
自信のガイドライン、できました!

ガイドライン策定委員会を通して、勉強したり知識や経験を共有したことで、我々コーダーにとっても成長に繋がったと思います。

また、私自身も大きく成長できました。

時間内にタスクを終わらせることはディレクターとしての必須スキルですし、またチームでの作業を取り仕切ることで、進捗管理のスキルも磨かれ、以前より広い視野でプロジェクトを俯瞰できるようになりました。
相手の顔色を窺って自分の意見を言えないようなところがあったのですが、仕事においてはそんなことは少なくなりました(笑)。

WEB技術は日進月歩。
それでも、いつまでも変わらない「正確で速いコーディングの為の、肝心要の基本のキ」を、ガイドラインに落とし込んでいます。
文章はあっさりしていますが、ひとつひとつに、現役のプロコーダーたちの、長年の経験が詰まっています。

そして、今は解散した、汗と涙のガイドライン策定委員会。
一回一回のミーティングごとに、全員が成長できた、貴重な体験となりました。

とにかく、一度お手に取ってご覧ください。
これが私たちコーディングファクトリーの、自信のガイドラインです!

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この投稿を書いた人

田中 夏海

田中 夏海(たなか なつみ)品質管理(QA)

現モノサスタイランドQA・元コーディングファクトリー部ディレクター/コーダー。オールドスタイル派のキティラー。

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