2016年08月

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火曜日の投稿

先田 千尋
投稿者:先田 千尋
(Webディレクター)

2016年08月23日

私はなぜモンゴルに行くのか
〜モンゴル武者修行ツアー旅行記〜

TOPICS

先田 千尋
投稿者:先田 千尋(Webディレクター)

こんにちは、ディレクターの先田です。
モンゴルといえばチンギス・ハーン、遊牧騎馬民族、大モンゴル帝国。ユーラシア大陸に大きく広がった版図は歴史の授業で誰もが見たはずです。
わたしも漠然とした興味はあったものの、旅行先としてモンゴルへ行こう、とまではなりませんでした。
中国内の内モンゴル自治区との区別すら曖昧…あまりにモンゴルを知らないので何をしに行けばいいのか浮かばなかったのだと思います。
いまだ、大多数の人々がゲルで遊牧生活をしている、馬に乗って草原を駆ける生活、しかし首都ウランバートルはすっかり大都会だという…どのよう国なのか想像がつくでしょうか?

きっかけは友人がナリワイの伊藤さんが主宰している「モンゴル武者修行ツアー」に参加したことです。
あ、旅行先としてモンゴルってありなんだ。と気づいた私は2010年7月に初めて武者修行ツアーに参加しました。
以来、毎年「モンゴル武者修行ツアー」に参加し続け、今や引率までやったりしています。
 

モンゴルでやっていること

初めてモンゴルについたのは深夜、そのまま車でウランバートルから1時間ほどの草原の中にあるツーリストキャンプに向かいました。夜の草原は真っ暗。あたりがどうなっているのかさっぱりです。見えるのは満天の星空、天の川だけ。
朝起きてゲルから出たときの「うはー」という感動は今も覚えています。
強い日差し、真っ青な空、一面緑の草原、吹き抜けるさわやかな風。そこに行き交う牛、山羊、羊、馬…。
すべての「うはー」を書き出していくとページがいくつあっても足りないので、いつもこのツアーでどんなことをしているのかを簡単に紹介していきます。
どんなかんじに「うはー」なのかは、ぜひ現地で、自分の感性で感じて下さい。

冒頭の写真は毎年お世話になっているツーリストキャンプ。中央に食堂、トイレ、シャワーの棟があり、その周りにあるゲルで寝泊まりします。ゲルの入り口は必ず南側を向いています。


ツーリスト向けゲルの中。薪ストーブにベッドがあります。

入り口正面には一番大事なもの、棚に家族の写真、競馬のメダル、仏像、テレビなどが置かれ左右にベッド、が一般的な配置。現地の人々は薪ではなく昔ながらの牛のふんも燃料にします。燃やすといい匂いがします。


キャンプのオーナーのお母さんが暮らしていたゲル。

乳製品のアーロールの作り方をならったところ。とはいっても、ほとんど出来上がっていて型にはめたり丸めたりしただけですが。干して乾燥させたら完成です。牛、ヤギ、ヒツジの乳から何種類もの乳製品ができ、保存ができる重要な食料となります。モンゴルには「赤い食べ物、白い食べ物」という言葉があり赤い食べ物はお肉、白い食べ物は乳製品のことを指します。


乳製品のアーロール
 

馬で草原を駆けよう


ツアー中の愛馬

メインはなんといっても乗馬です。
モンゴルの馬は日本の乗馬クラブで見るような大きなサラブレッドではありません。
身長154㎝の私と並んでも上の写真のように背中が私の頭より下にあります。
乗り方も英国式とは違います。手綱を片手で握り、片手はフリー。乗馬が初めての人でも駆足までできるようになる人が多いです。
近隣の遊牧民から馬が貸し出され、遊牧民の方が付き添って乗るのを手伝ってくれ、鐙、腹帯の調整など細かくやってくれます。


(左)並足で進んでいるところ(右)乗馬用に集められた馬

モンゴルの男の喜びは、何もない草原をただ馬で走ること。と聞いたことがあります。
さえぎる物のない草原を馬で駆けるのがどんなものか。駆けるスピードが上がるにつれ、もっと早く走りたいという馬の興奮が伝わり、ぐんっとスピードがあがります。が、ここで調子に乗ると馬がコントロールを受け付けなくなり暴走し、慣れない人は落馬する羽目になります。
馬をいかに自分のコントロールできる範囲にとどめておくかが重要です。私は極度の怖がりなのでけして駆足以上にはしません…。
 

遊牧民の生活を垣間見る


ゲルとソーラーパネル

乗馬の途中で遊牧民のゲルに訪問することもあります。
ゲルにはソーラーパネルがつきもの。蓄電して利用しています。テレビ、衛星電話、スマホも当たり前にあります。

一人で秋のツアー(9月下旬)より2日ほど早く草原に訪れたとき、たまたま近くの遊牧民のお家で仔馬に焼き印を押した後の宴会をしていたのでお邪魔したところ、手伝ってくれた近隣の方たちとウォッカ、馬乳酒をかわるがわる飲み、ホルホグという蒸した羊料理を食べ、歌ったり、詩を披露したり、宴は朝まで続きます。


仔馬に焼き印を押した後の祝いの宴

樽に入れた馬乳を一日何千回とかき混ぜ発酵させます。昔、夏は馬乳酒が主食だったといいます。それほど栄養が豊富ということです。カルピスは馬乳酒を参考に作られたとか。


馬乳酒の樽

他にも体験したいことがあればいろいろできます。羊を捕まえて、毛刈りをしたり、フェルトを作ったり、ヤギのミルク絞りをしたり。自分達が食べる羊を捕まえるときは毛刈りをする羊を捕まえるときとは違う心持ちになります…。なにせ捕まえた羊がさばかれてしまうのですから。


山羊や羊を囲いながら追い込み捕まえる


ハサミでじょきじょき毛刈り

乗馬に慣れてきたら、ツーリストキャンプのゲルを1棟解体し、森のある山のほうへキャンプに行きます。ゲルはトラックで運びますが、目的地まで馬で3時間ほどかけて移動。



ゲルを建てる

蛇腹の壁をひろげ、天窓をささえるたくさんの棒を刺し、まわりと天井を大きなフェルトで包みます。
昔はフェルトのみでしたが、今はさらに防水性のある布をかぶせ、ゴムベルトでぎゅっと締めて完成。遊牧民はこれを1時間ほどで完成させます。
夜はゲルの中で雑魚寝をしたり、露天で満天の星空、流れ星を眺めたりしながら寝袋で寝ます。
 

モンゴルの夏のお祭り「ナーダム」


ナーダムの競馬に参加する女の子

このツアーでは、最後に近隣の遊牧民の方たちが集まり「ミニナーダム」をしてくれます。
ナーダムはモンゴルの夏のお祭りです。競馬、弓、モンゴル相撲などが行われます。
ツアーの主催者である伊藤さんは近隣の遊牧民にも顔が知れ渡っていて伊藤杯ナーダムとも呼ばれています。

競馬は子供たちが参加します。こんな小さな女の子もこの走りっぷり。鞍なしの裸馬で走る子もたくさんいます。正式なナーダムではないので大人も参加しますが、やはり体重の軽い子供のほうが圧倒的に早いです。ウランバートルで行われる大きなナーダムでは朝青龍の馬が出て優勝したこともあるとか、とても名誉なことだそうです。


(左)ゴール間近の女の子(右)鞭を打ちはやし立てながら走る子供たち

競馬のあとはモンゴル相撲や弓。モンゴルの男の人たちは相撲が大好きで、寄ると触ると組み合っていたりします。日本の相撲もよく見られているそうです。
ほらほら見てよ、と得意げに馬の上に。馬で走りながら地面のものを拾ったり、馬をジャンプさせたり。遊牧民の男性は見せたがりです。乗馬中に出会う放牧中の遊牧民の男の子なども近寄ってきて得意げにいろいろな技を見せてくれたりします。


モンゴル相撲


(左)弓に挑戦(右)馬の上に立つ遊牧民

モンゴルの夏休みは6~8月と長く、学校の寮に入っている子供たちも夏の間は放牧など家の手伝いをします。大人の人も普段ウランバートルで会社勤めをしている人が乗馬のガイドや通訳、放牧の手伝いをしていたりします。会社員でも副業は当たり前にしているようです。
 

羊を育て、毛を借り、売る。しめて、さばき、いただく。

草原最後の夜には羊をさばいてホルホグ。小さな刀一つでサクサクと、大地に血をこぼさないようにさばいていきます。遊牧民の男の人はこれができないとお嫁さんがもらえないとか。内臓の処理は女性の仕事です。
我々がお金と引き換えに肉を手に入れるとき、この工程はすべて終わり、パッキングされた後の姿でしか見られません。普段は隠れて見ることのないものを見ることができます。
牛乳缶に羊肉、人参、ジャガイモに焼いた石を入れて蒸し焼きにします。骨についた薄い膜まできれいに食べるのが良い食べ方です。ホルホグができた後のまだ熱い石で指先を温めると体にいいそうです。
雨の日は羊が疲れていておいしくないということで捕まえてさばきません。
モンゴルの人たちは風習、慣例、いいとされていること、やってはいけないとされていることを守ります。歌を歌うのが大好きで、カラオケもします。宗教はチベット仏教が主でシャーマニズムも残っています。


(左)羊をさばく。男性の仕事 (中央)焼石と野菜とともに牛乳缶に (右)出来上がり


かぶりつく

一方、首都ウランバートルは高層ビルもバンバン建っている普通の都市です。近年人口の集中と大気汚染などが問題になっていて、以前は何もなく真っ暗だった郊外のチンギス・ハーン空港の周りにもマンションが立ち並び、道にはプリウスが走っています。昔ながらのザハ(市場)もデパートもあります。
 

馬に慣れたら次のステップに

ちなみに今年は今回紹介したような草原ではなく、モンゴル武者修行ツアーに参加経験がある猛者たちが主な参加者の、中級編と呼ばれるツアーに参加しました。
国立公園に指定され、ナイマンノールというカルデラ湖のある山を目指し車の入れない道のりを、馬で山越え谷越え川越えキャンプしながら旅をします。

 


雨も結構降るので道はドロドロ


川越え


1万年以上前の噴火の名残、溶岩


ナイマンノール(8つの湖)に張ったテントの中から


遊牧民から借りたゲルで料理


オルホン渓谷

こちらはまた普段の草原とは違う雄大な風景を見ることができます。
モンゴルは広大でたくさんの民族、様々な風景があります。
少しでもモンゴルに興味を持たれたら、ぜひ訪れてみてください。

さて、なぜ毎年モンゴルにいくのか、ですが正直もう自分でもはっきりわかりません。
もはや毎年田舎に帰るくらいの感覚になっています。
ソーラーパネルなどの現代の利器も取り入れながらチンギス・ハーンのころから続いているであろうゲルでの遊牧生活が続けられている不思議なバランス。
人工物のない緑の草原、羊、山羊、牛、その中を馬で行くと自分の境目がわからなくなるような感覚があります。
それを味わうために毎年モンゴルに行っているのかもしれません。

この投稿を書いた人

先田 千尋

先田 千尋(さきだ ちひろ)Webディレクター

スーパーの店員→モバイル広告業界→Web制作会社、となんとなく流れてなんとなく現在Webディレクター。モンゴル武者修行ツアーの副隊長もやっています。 人生に意味も目標も必要ないけど猫は必要。

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