Wed.
21
Dec,2016
畠中 友香
投稿者:畠中 友香
(ディレクター/エディター)

2016年12月21日

プライベート(私)でやりたいことを
パブリック(公)に実現しちゃう。
それが、イベント作りにおける「ものさす式DIY」

ものさす式 DIY

畠中 友香
投稿者:畠中 友香(ディレクター/エディター)

こんにちは、プロデュース部の畠中です。

毎年恒例のモノサス周年記念パーティー。
今年は11/11(金)に12周年のパーティーを行いました(当日のレポートの様子はこちら)。

モノサスでは、催し物だけでもさまざまな委員があり(忘年会委員や、社員旅行委員など)、1人1回は必ず委員を経験するように順番が巡ってきます。入社して半年の私にとってモノサスのイベント自体が初めての参加。そんな中、部のメンバーからは「多分順番的にパーティー委員担当になるよ」と言われていたので心の準備はしていましたが、部のミーティング時に代表林より無事(笑)指名をいただき、モノサスのパーティーがどんなものかも分からぬまま、手探りでイベントの企画が始まりました。
 

イベントの肝
企画を考える上で大切にすること
最終的なゴールのイメージを明確にもつ


パーティーのコンセプトを夜な夜な考えるパーティー委員。左から松永、小嶋、畠中

パーティー委員は私を含め3人。
クリエイティブ部 松永さん、コーディングファクトリー部 小嶋さんと共に長い戦いの日々が始まりました。

何に一番苦労したのか、3人が口を揃えて言うのは「コンセプト」作り。
毎年行われているパーティーですが、その年々によってパーティー委員会が策定した「コンセプト」に基づいてパーティーが企画されています。

このコンセプト作り、本当に苦労しました…。
代表の林いわく、パーティーのコンセプトで考えて欲しいのは、「自分が “プライベート”でやりたいことを、モノサスのパーティーという“パブリック”な場で実現させること。」でした。

イベントを企画した経験のない3人が集まり、あれやこれやとアイディア出し。
まずは自分たちがプライベートでやってみたいことのリストを作りました。そのリストの中からパーティーという公の場でチャレンジしたいことは何だろうと話し合いながら、いくつかのアイディアをプレゼンしました。

たとえば、仕事の枠を超えてもっとプライベートに近い空間を作りたいということで考えたモノサス祭り。モノサスハッピや豆絞を身につけ、お料理は出店方式にし、自由に楽しんでもらうためにテキ屋も用意するといったアイディアを出しました。
他にも、みんなでひとつになって大きなものを作り上げる達成感と一体感を感じたいということで、ひとりずつクラウド上に書き込んだ絵がまとまっていくと、全体としてひとつの作品のようになる仕組みが作れないか、など。

残念ながら、これらのアイディアは見事に全てボツ…。
このままではずっとボツが続きコンセプトが決まらない…。なぜボツが続くのか、まずはそこから考えなくてはいけない。ということで、コンプセトを考える前に一度立ち止まり「なぜ」なのかを考えてみることにしました。

行きついた結論としては、私たちのコンセプトには、最終的なゴール(パーティーが終わった時にどうなっていたいか)がイメージできていないのではないかということ。
例えばパーティーで「プライベートに近い空間を作りたい」と考えるものの、それをモノサスのパーティーでやることに何の意味があるのか、具体的に理由付けができていなかったり、自由に楽しんでもらいたいというのも、自由に楽しんでもらった先に何があるのか、ゴールがイメージできない状況でした。
ただやりたいことを羅列しているだけになりがちなため、このような状況が続いていたのです。

自分たちがイメージできていないのだから、そりゃプレゼンをしても伝わらないですよね。
ということで、まずはパーティーが終わった時にどうなっていたいか、具体的なゴールをイメージすることから再出発しました。
委員3人とも共通して考えていた「プライベートでやりたいこと」のリストにあったのは、人の縁をつなぐ中心になること。ざっくり言うと、自分の友達同士が自分を介して仲良くなったら嬉しいよね!というのをモノサスのパーティーでやりたいってことなんです。そしてその縁はこのパーティーの場だけではなく、今後も継続していきたいと思う出会いの提供をしたいという考えです。最終的などんなパーティーにしたいかというと、来てくださるお客さんそれぞれが、興味の沸く、もの、ひと、こと、に出会うきっかけの場を提供することです。
言葉にすると簡単に聞こえるのですが、人の縁をつないでいくことのきっかけになれるって、実はすごいことだなって思うんです。
ましてや、友達同士の「プライベート」なコミュニティーの中でつないでいくのとは訳が違い、200人近くが集まる「公」の催し物の中で、そこをコントロールするのは難しいことだと思っています。そのために、どうしたら「つなぐ」きっかけを作ることができるのか、仕組みとなるコンテンツを構成することも企画を成功させる重要なポイントなのだと思います。(コンテンツのお話しはまた後ほど)

「人の縁をつなぎたい」をテーマに、コンセプトの概要を決めていきました。
何に興味を持っているかは人それぞれ。どんなつながりを持ちたいかは、パーティーに参加してくださる方々の数だけ異なると思うんです。共に働きたい人との巡り会いであったり、共に遊びたい人・暮らしたい人・・・など。そのためサブテーマを「共に◯◯したい人と巡り会わせられる場」としました。


友達同士が仲良くなったら嬉しいよね。その規模を大きくし人の縁をつなぐきっかけになれたら。という思いから生まれたテーマ。

そしてこのテーマに基づくコンセプトを、「ものさす 村の収穫祭」と決定しました。
モノサスを“村”の“収穫祭”と例えたことに、今回のテーマへの考えが込められています。
今年の Invitation にも記載しているモノサスを表現した言葉。
「モノサスは、ただ働き、稼ぐためだけに集まった集団ではなく日々の暮らしの一部や、ちょっとした面倒なことを共有する、人とひととがつながり集まることで関係を育む村のような集団なのだと思っています。」
こうした集団だからこそ、モノサスは人との関係性を“自然と”大切にできているのではないかと思っています。そんなモノサスらしさから“村”というキーワードが生まれました。

そして“収穫祭”
徳島県神山町で、プロデュース部 部長真鍋を中心に、モノサスが神山つなぐ公社と共同で立ち上げた Food Hub Project が1年を迎えることもあり、Food Hub Project が育て、収穫したもち米を使った餅つきやお料理でおもてなしをしたい、という思いがありました。

食卓を囲んで、お料理を食べる。という行為には暮らしの一部の要素が含まれていると思うんです。収穫祭という祭祀は、作物の無事の収穫を祝う「農村」で行われる行事であり、作物を収穫するという「働く」という行為と「食べる」という暮らしの部分が入り混じった、まさにモノサスを表す言葉とリンクしている行事なのではないかという考えから、ものさす村の収穫祭というコンセプトに行き着いたわけです。


今年のInvitation。デザイン部 部長小野木の力作。
 

コンプセトの実現に向けて
わくわくと期待をしてもらえるコンテンツ作り

さて、コンセプトが決まったら次はそれを実現させるためのコンテンツ作り。
どんなパーティーをしたら、お客さん同士がつながりを持つきっかけを作れる?
どんなパーティーなら、みんながわくわくする?

私たちが考えるコンセプトを実現するために、はじめましての人々が気兼ねなく能動的に距離を縮められるものとして、「参加型」のコンテンツであることを大切にしました。

そこで考えたのがお客さん同士をつなぐきっかけの中心である、モノサスの個性を知ってもらいながら、お客さん同士の会話を生むための仕組みづくり。
そこで考えたのが、こちら。「集落対抗 ものさす村クイズ!」


コンテンツのひとつ。ものさす村クイズ。

モノサスは様々な珍事件や衝撃エピソードをもった個性豊かなメンバーが集まる会社です(笑)。そんなエピソードをチーム対抗のクイズ形式で出題。
「縁をつなぐ」きっかけを作りたいので、チーム分けは缶バッチを使ってお客さん自らがメンバーを集めてもらう方法にしました。


ものさす村缶バッチ。これを使ってチームわけをします。
そしてまたこちらも、デザイン部 部長小野木の力作。

チームは5人一組。
お客さんには、受付時に「村長バッチ」「釜」「猪」「升」のバッチ、4種類からランダムに選んでいただきます。村長バッチを選んだ方が自ら自分の村を作るべく、「釜 ・ 猪 ・ 升」のバッチを持っている人を集めていただくというルール。最後に「はぜ掛け」のバッチを持ったモノサス社員が村に合流し、5人一組ができ上がります。
チーム(以下 村)分けが、お客さん同士の会話を生むための1つ目の仕組みです。
村に分かれるだけで、かなりの時間をかけてしまうかもしれない、という不安がありましたが、初対面の方同士が、「猪の人!」「釜の人いない!?」「私升です!」とコミュニケーションを取り合い、主体的にゲームに参加していただき、あっという間に20程度の村ができ上がっていました。


村長の声かけに「私◯◯バッチです!」と手をあげて、村を作っている様子。

そして会話を生むための2つ目の仕組みは、会話をしないと答えがわからないという難易度の高いクイズ(笑)。ただエピソードをクイズにするのではなく、問題にまつわるヒントをもとに村のメンバーでモノサス社員にインタビューをしていただくというルールにすることで、どんな風にインタビューをすれば答えに近づくのか、メンバーで話し合いながら挑んでいただく方法とすることに。


モノサス社員にインタビューをしていただいた実際のインタビューヒント

実は全く知らない内容をクイズにするというチャレンジングな出題に多少の不安があったのですが、実際インタビューの時間はどの村も活気が溢れていて笑いも絶えない様子だったので、チャレンジして良かった!と思っています。

前段でインタビューをすることで、村のメンバーの緊張もほぐれ、チーム対抗戦で必要な結束力や団結力が高まってほしいという狙いも、達成できていたように思います。

リスクが高い分、やり始めるまで本当にドキドキしていましたが、クイズが始まり回答が表示されるたびに、土豪のような声が上がりその盛り上がりに、本当にホッとしました。


クイズの回答&順位の中間発表。拳を突き上げ喜ぶ姿や拍手して喜ぶお客さんの姿は、見ていてやって良かった!と思った一番の瞬間。

このクイズには景品を用意したのですが、パーティーの後も関係性をつなげてほしいという想いを込めて、上位2チームにはメンバーで一緒に行く、お食事券をプレゼントすることに。
コンセプトの軸を明確にしたことで、景品にもコンセプトを反映させることができたのではないかと思います。

ゲームの反省点としては、協力をお願いするモノサスメンバーへの説明が当日だったこと。インタビューを受ける本人たちにとっては、不安で仕方がなかったと思います。何せモノサスメンバーにもクイズの答えはもちろん、出題内容すら教えていなかったもので。モノサスのメンバーにもお客さんと一緒に楽しんで欲しかったので協力者ではありますが、参加者として村の一人となってもらいました。事前に Briefing の時間を取れず、ギリギリになってしまったことは、イベントを行う上で失敗の要因となるため、全体のスケジュール管理ができていなかったことは大きな課題です…。

そしてもう一つのコンテンツ。
プロデュース部真鍋によるプロデュース、Food Hub Project が収穫したもち米を使った餅つき大会と脱穀体験を開催。体験型であることで、初めましての方々でも距離がぐっと近づいていたように思います。


開始前から餅つき場には人が並ぶほどの盛況。この後みんなでついたお餅は食卓に並び大人気でした。写真手前のお二人は Food Hub Project の白桃さん親子。

私も実はこれ、すごく楽しみにしていた脱穀体験。人生で一度も経験ありません。ほとんどの人がそうではないでしょうか!?見るのも、触るのも初めての脱穀機の登場に会場のお客さんも興味津々に体験してくださいました。ここで脱穀したお米はきちんと集めて、Food Hub Project のある徳島県の神山に送り食べられるようにしていただいています!


ちびっこにも人気の脱穀体験。デザイン部部長小野木の顔が完全にお父さんです。

Food Hub Project にはこれらの体験型コンテンツだけではなく、お料理も全面協力をいただきました!


Food Hub Project のお料理は本当に絶品。ものすごい量のお料理もあっという間に完食でした。

そして毎年恒例のBBQには淡水のマスター保科 芳行さん、BARは dAZE の野中 剛さんにご協力いただきました。モノサスのパーティーは色々な方々に支えられながら成り立っているのだと実感することができた1日となりました。


今年も淡水のマスターと代表林によるBBQは大盛況。お揃いのものさすTシャツで息バッチリ。


BARは dAZE さんによるモノサスBAR。プロが来てくださってお酒を作ってくれる。何とも贅沢。
 

パーティーの企画を通して収穫したこと


一緒にいすぎて、思考が似てきたのか3回に1回はコーディネートが被るパーティー委員の3人。
畠中(写真左)松永(写真中央)小嶋(写真右)

冒頭でもお話しした通り、3人ともイベントの企画ははじめてのこと。
そもそも、部署も異なり普段全く違う仕事をしている3人、特に私は入社して半年ということもあり、2人とはパーティー委員になってはじめて挨拶以外の会話をしたような状況でした…。
そんな中でコンセプトやコンテンツのOKが出ない焦りや、終わらない準備にイベント当日が近づくに連れ、当初はまともに会話をしたことがなかったパーティー委員3人の話し合いは、小競り合いになるまでに急接近!?していきました(笑)
その分、パーティーを無事終えた時の感無量感や充実感に喜びは体が震えるくらいのものでした(笑)

仕事を通してではなく、他部署のメンバー同士でこれだけ苦労し、喜びを一緒に感じることができるのは、会社のイベントも一切妥協させないモノサス流の愛の鞭のおかげなのだと思います。

イベント作りを通して得た収穫はとても大きいものです。
企画の進め方や考え方はもちろんですが、思考そのものの変化も大きくあったのではないかと思います。
パーティーが終わり、ほっとひと息ついた頃に、せっかく苦労したこの経験を委員のメンバー間で共有すべく、2人に話を聞いてみたところ、そんな風に思う言葉がありました。

松永さんの言葉:
とにかくやって良かったと思っています。今までやってみたい、やった方がいい、と思うことで、やり方や進め方が分からないから避けてきたことがある。
今回のパーティー委員ではほとんどのことが、初めての経験。
何から、どう始めればいいかすら分からない状態でスタートしましたが、「ごめんなさい!」って思いながらも周りを巻き込んで、とにかく経験のある人や得意分野の人にひたすら聞いて、頼んで、助けてもらって。
気がついたら何とか形になっていたんです。
自分でできないと思っていることも、どうにかして進める方法があるということが分かり、これからはどんどんチャレンジをしていきたいと前向きな気持ちになりました。

これは、無茶振りをすれば何とかなる!ということではなく(窮地に陥った時は、無茶振りもあったかもしれませんが…。)
メンバーと困難な課題に挑戦する中で、周りの助けを得ながら行動を振り返り、改善点を発見し、さらに改善点を反映し再挑戦して進んでゆく。
まさにチームビルディングが思いがけず実践されているなぁと、松永さんの言葉を聞いて感じました。

小嶋さんの言葉:
林さんや真鍋さんの言っていることが汲み取れないことが多かった。引っ込み思案になってしまい、言われたことに対して頷くばかりで、発言をすることをしなかったように思います。だから、コンセプトもコンテンツも何度考えても意思の疎通ができていないために、的外れなことを考えてしまったのだと思います。
パーティーを通して感じた課題は質問力だと感じています。

小嶋さんの「質問力」という話を聞き私自身の課題としてもずっしり重く痛感しました。自分に自信のない分野で疑問に感じたことって、自分だけが知らないことなのかもしれない、と思い恐縮してしまい質問を飲み込んでしまったり、ただ話しを聞くだけで深堀をせずに理解したつもりでいることで、相手が意図している真意を掴めていなかったり。
相手が何を求めているのか、明確に理解し自分の言葉で共有できない状況のまま、進めた結果発生した出戻りは多かった…。

仕事をする上でもとても大切なことを、改めて感じさせてもらい、すごく良い経験ができたと思っています。


パーティー委員だけじゃありません。社員全員が協力し飾り付けや、サインやお土産も全てDIYで作るのがモノサス流。MCは元モノサス社員。退職した後もこうして関わりが持ち続けられるのもモノサス流。

そして何よりパーティーの準備を通して、これまであまりお話をしたことのないモノサスメンバーと交流を深めることができたのは本当に良かったと思っています。
忙しい中、急なお願いにも快く応えてくれたこと、煮詰まっている時に、進んで声をかけアイディアをくれたり一緒に悩んでくれたこと、的確なアドバイスをしてくれたこと。

モノサスで働くみんな、モノサスと関わりを持っている方々は、本当にちょっとめんどうなことも、困っている人がいれば進んで協力をしてくれる、そんな人たちばかりなんだなと感じさせてもらいました。

ありがとうございました!

この投稿を書いた人

畠中 友香

畠中 友香(はたなか ゆか)ディレクター/エディター

広告代理店、画像系・ドキュメント関連にまつわる課題解決コンサルタントを経てモノサスに入社。連休では隙あらば星を求めてキャンプに。旅が好き。文化や風土の違う国、街で建造物・美術館めぐりをするのが趣味。

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