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リニューアルの始め方

サイトを調査する

「リニューアルの話が出始めた時期」や「社内でリニューアルの話を進めたい」というタイミングで、まず手をつけたいのがサイトの調査です。
見ておきたいサイトは、大きく分けて3つあります。「自社サイト」と「競合サイト」と「ベンチマークサイト」です。
それぞれについて、説明を進めていきます。

自社サイトの調査

まずは、自社サイトからです。
「リニューアルをしてしまうから、自社サイトを調査をしてもムダでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。今公開しているサイトから分かることも多く、課題を明確にできたり、実現したいことのイメージが膨らんだりと、効果は十分にあります。
Webサイトの調査には様々な手法があります。ここでは、弊社がサイト調査を行なう時に、よく使う3つの手法を紹介したいと思います。シンプルですが、現状を知るには事足りると考えています。
自社サイト調査の目的は、現状をありのままに知り、「課題の抽出」や「実現したいことのイメージを膨らませる」ことです。

アクセス解析

まずは基本中の基本、アクセス解析です。
おそらく、アクセス解析ツールをいれていないサイトは少ないのではないでしょうか。有名なところでいくと、Google Analytics があります。無料で使える優れもののアクセス解析ツールです。
その他、有料のアクセス解析ツールを使えば、サイトユーザーの視線を可視化したヒートマップがつくれたり、細かなレポーティング機能がついていたり、使いやすく操作性が工夫されていたり。色々なツールがありますが、アクセス解析を日常的に行なっていて「Google Analytics では、見たい情報がとれない」「有料ツールでやりたいことがある」といった明確な理由がない限りは、Google Analytics をおススメしています。

ここでは、日常的にアクセス解析をしていない方を前提に、どんなことを見ていけばいいのかを説明していきます。

Google Analytics では、様々な種類のデータがとれます。
例えば、

  • どんな属性のユーザーがサイトにきているか?(性別、年齢、地域など)
  • ユーザーがサイトに訪問した導線は何か?(検索サイト、広告、SNSなど)
  • どんなデバイス(PC・スマホ)で、サイトに訪問したか?(デバイス)
  • ユーザーに多く見られているページはどのページか?(サイトコンテンツ)
  • ユーザーはどのページを最初に訪問したか?(ランディングページ)
  • ユーザーがサイト閲覧をやめたのはどのページか?(離脱ページ)

このように、Google Analytics では、ユーザーの属性や行動を確認することができます。これらを掛け合わせて、調べることもできます。

また、アクセス解析の視点として持っておきたいのが、「ボリュームゾーンを知る」「行動パターンを知る」ことです。

ボリュームゾーンを知る

  • 具体的にどのページが多く見られているのか?
  • どんなデバイスでサイトに訪問しているのか?
  • 最初に訪れるページは、どこが多いのか?
  • ユーザーが閲覧をやめるページは、どのページが多いか?

このように、それぞれの指標のボリュームゾーンを確認していきます。これで、ユーザーがどのようにサイトを見ているかの大枠を描けるようになります。アクセス解析は、色々なデータを細かく見ることができるため、どうしても細部が気になってしまいますが、まずは大枠を掴むことが大切です。
大枠を知ることで、「どんな課題があるのか?」という仮説も立てられるようになります。特に注意して見たいのが、サイトの「入口」と「出口」のボリュームです。サイトに入ってくる時、出ていく時のボリュームを確認して、仮説を描いていきましょう。

行動パターンを知る

行動パターンは、ある一定の基準を設けると見えやすくなります。
その基準として設定することが多いのが、「出口」です。この出口には、理想的な出口とそうじゃない出口、2種類があります。理想的な出口は、一般的にコンバージョン(目標としているアクションを訪問者が起こしてくれた状態)と言い、例えば購入や問い合わせが、それにあたります。BtoBサイトでは購入はあまりないので、フォームからの問い合わせや資料請求が理想的な出口になることが多いです。逆に理想的じゃない出口は、離脱や直帰です。
これらの出口に向けて、ユーザーがどのような行動(ページの遷移)を辿っているかを見ていきます。そして、サイト内行動のパターンを見ていきながら、もう一度、ボリュームを確認します。出口に影響しているページがどれくらい見られているかです。
例えば、コンバージョンに影響するページなのに閲覧数が少ないとなると

  • そのページを有効活用するためにはどうすればいいか?
  • そのページへの導線に課題があるかも?
  • なぜ、このページは出口に影響しやすいのか?その要素を他のページでも活かせないか?

といった、仮説や施策を建設的に考えられるようになります。これらの仮説や施策は、リニューアルしたサイトでも活かすべき内容になってきます。

BtoBサイトならではの特徴

世の中の多くのWebサイトは、コンバージョン数を増やすことをサイトの目的にしていることが多いです。しかし、BtoBサイトの場合、必ずしもコンバージョン数だけが目的とは限りません。ブランドイメージアップや企業認知の向上、インナーコミュニケーションの強化などです。この場合、行動パターンを辿ることでの仮説の抽出が難しくなります。
その際に、弊社が一つの参考値として見ている指標があります。

  • 直帰率:40%以上
  • 1セッション(訪問)あたりの閲覧ページ数:3.5ページ以上

これは、様々なBtoBサイトを見る中で、目的を一定程度達成できているサイトと、そうじゃないサイトを比較した時にでてくる特徴です。
目的と評価は、セットになっている方がいいですが、それが難しい場合は、この指標を参考にしてみてください。

ヒューリスティック評価

アクセス解析は定量評価です。それに対して、定性評価になるのが、ヒューリスティック評価です。ヒューリスティック評価とは、経験豊富なプロが、その経験知によってWebサイトを評価する調査方法です。
サイトが「使いやすいか?」「見やすいか?」「理解しやすいか?」「伝わるか?」といった視点で、実際に閲覧・利用しながら評価していきます。ツールを使って定量的に見ていくものではなく、人の目で見て、評価していくものになります。
ユーザーに意見を聞くユーザー調査もありますが、時間・費用・労力といった物理的コストと、調査結果から得られる知見のバランスを見ると、ヒューリスティック評価の方をおススメしています。

ヒューリスティック評価では、このような視点で見ていきます。

  • サイト構造 (情報のカテゴライズや階層の深さが妥当か?など)
  • デザイン (自社のブランドイメージを表現できているか?など)
  • コピー (自社が訴求したいことが効果的に伝わるか?など)
  • コンテンツ (情報の量と質は妥当か?など)
  • ユーザビリティ (使い勝手のよいサイトになっているか?など)
  • 導線・情報 (能動的・受動的に取得できる情報が配置されているか?など)

これらの視点をサイトの目的や現状に合わせて、ブレイクダウンして見ていきます。

このようにプロの視点で評価していくのが、ヒューリスティック評価です。弊社でもサービスとして提供しています。
しかし、担当者が見ることにも意味があります。もはや、Web媒体は社会インフラです。担当者の皆さんも、仕事でもプライベートでもWebに接していると思います。ユーザーとしての感覚は十分にある訳です。普段から接している自社サイトを、ユーザーになった気分で、項目に沿って見てみてください。自分なりの評価や課題感は、必ず役立つポイントになります。
『Webサイト調査』サービスへ

社内アンケート調査

社内でサイトについての調査をするのも有効です。
全社員にアンケートを実施するのは、現実的ではなかったり、意見の収拾がつかなくなる可能性もあります。対象者は、業務上サイトに関係や影響する人、サイトに対して意見や想いを持っている人を対象に行なうのがいいと思います。
例えば、このような設問を聞くとよいでしょう。

  • 自社サイトで課題だと感じることは?
  • 自社サイトの気に入っているところは?
  • 自社サイトで、やってみたい・やるべきと思うことは?
  • 競合で優れていると思うサイトは?その理由は?
  • 同業他社以外のサイトで、自社に取りれたいことは?

そんなに多くのことを聞く必要はありません。選択式での評価を集めるのではなく、フリー回答で、意見を集めてください。様々な角度の意見から、現状の自社サイトの課題の抽出と、実現したいことのイメージを膨らませてください。

競合サイトの調査

同業他社で競合となる企業のサイトは、最低限見ておく必要があります。
ここで言う競合サイトには、2種類あります。相見積などリアルの場面でも競合するビジネス上の競合と、リアルではバッティングしないけれどWeb上では競合になり得るサイト、その両方を見ておくとよいです。

競合サイトを見る時の視点

  • 情報のカテゴライズなど、サイトの構造は、どうなっているか?
  • 効果が見込めて、自社に不足しているコンテンツはないか?
  • 製品検索やログイン機能など、機能面で効果的に働いているものはないか?
  • トップページのメインエリア(キャッチコピーやビジュアル)で、何を訴求しているか?
  • デザインは、どんなトーンか?
  • 技術力や会社の姿勢を示すなど、独自性のあるコンテンツはあるか?

競合サイトに対する時に必要なのは、「差別化」と「包み込み」です。
「差別化」を図るうえで、自社や商品(製品・サービス)など、独自性を表現していくことが大切ですが、ユーザーから見ると、競合サイトと同じように見えるサイトになってしまうことは避けなければなりません。
「包み込み」とは、競合サイトにあるもので効果が見込めそうなコンテンツや機能が、自社サイトで不足しないようにすることです。特に注目して欲しいのが、商品(製品・サービス)を紹介するコンテンツです。競合ですから、当然、同様の商品を扱っている訳です。そのコンテンツ量や見せ方、探しやすさの工夫は、参考になることが多いので、チェックが必要です。

ベンチマークサイトの調査

競合サイト調査では、競合企業を見ましたが、ベンチマークサイト調査は、競合関係や業種業態は問いません。「参考にしたいサイトはないか?」「それはどんな内容で、どういう要素か?」を探すことです。広範囲となるため、いざ調査をしようと思って、いきなりやりきれるものではありません。普段から、気になるサイトや、見せ方をチェックしておく必要があります。

ここでは、必要性や効果が高いデザインの効率のよい調べ方を紹介します。優れたWebデザインをまとめたサイトはいくつもあります。その中で、弊社のデザイナーも活用しているサイトです。

  • muuuuu.org

  • カテゴリーから業種やWebサイトのタイプ別に絞り込めるので便利
  • web design clip

  • こちらもカテゴリ別に確認でき、LPやSPも合わせて確認できる
  • straightline bookmark

  • 海外サイトもまとめてあるので、国外の尖った表現のサイトも見つけられる

これらを見ながら、自社が表現したいイメージを探してみてください。視覚的に共有できるため、制作会社とのイメージ合わせや議論にも効果的です。

まとめ

以上、「サイトを調査する」の解説でした。現状を知ることは、リニューアルを推し進める上で、説得力を持たせてくれます。いきなりリニューアルが決まることもあると思います。その際は、要件策定段階で実施しても効果はあります。サイトの調査を通して、課題を抽出しながら、実現したいことのイメージを膨らませてください。

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