2016年09月

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木曜日の投稿

石川 空海
投稿者:石川 空海
(コーダー)

2016年09月01日

昼下がりの珈琲牛乳
~千駄ヶ谷 TasYard~

代々木散策マップ

石川 空海
投稿者:石川 空海(コーダー)

珈琲牛乳。
文字列の佇まいを見るだけで自分を満たす穏やかな気分。

代々木から徒歩10分の千駄ヶ谷でも、至極のそれに出会うことができる。

お店はTasYard。
ビジネスマンと学生に溢れる代々木駅を原宿方面に歩いて一本内側に入るとしなやかに現れる外観。
ここまで足を伸ばし、羽根を伸ばすのは精神衛生的にも好い。


黒、茶、白のコントラストを全て木で表現する概観。

扉をあけると奥には厨房が見え、スタッフの方々が胃袋を空にした客たちを満足させるべく、獅子奮迅の働きをしている。
しかしそれがせかせかして見えないのは、千駄ヶ谷という立地がなす業か。
なんにせよ、水すらうまい(ように思える)。

中央の黒板には、“Workers Lunch”と題されたメニュー。
カレー、パスタ、サンドウィッチ。
そうだよ、俺、ワーカーだよ。
ワーカーの昼食といえばやはりカレーでしょ。

とカレーを注文。
セットドリンクにはもちろん珈琲牛乳を頼む。

「珈琲牛乳ください。」
しかし冷静に考えれば、いい大人が堂々と頼むメニューじゃない。
ファミリー向けの大浴場で、年少の男の子がコインロッカーから吐き出された100円玉を握り締め、自動販売機の前で購入するものだと思う。

そんな珈琲牛乳を、若者の聖地原宿に隣接した千駄ヶ谷のど真ん中のカフェで頼む自分。
これけっこー胸に迫ります。
頼んだ後に気づいたことをこれ幸いと、涼しい顔でカレーを待つ。

やってきたカレーは甘口。
のあとにピリ辛。
ルーの味はもちろんだが、野菜がとにかくうまい。


紅一点、カレーを彩る福神漬けの赤

フェス、ビアガーデン、BBQ。
花火に祭りに海の家。
夏のイベントは強烈に楽しいが、猛烈に身体にくる。
身体にくると、もともと食が細い自分はもっと食が細くなる。
食は通らないが、水は通るということで、ビールを飲む。
そんな「ご自愛ください精神」が吹っ飛んでいる自分に効く、野菜カレー。

すさまじいスピードで食べ終わり、久しく感じていなかった健康的満腹感に浸る自分はぼーっと珈琲牛乳を待つ。
窓から入る自然光に身を任せながら、このお店に流れるゆるやかな空気感はなんだろう、と思案。
「カフェ」とくくるのには庶民的。
「定食屋」ほど濃いエネルギーはない。

真夏の日差しが降り注ぐ中、ほどよく涼しい店内から見るアスファルトに反射された町や人々。

ああ、「喫茶店」だなと気づく。
それも珈琲を飲むだけの喫茶店ではなく、ランチメニューもあって、適度にガヤガヤしている喫茶店の空気を感じるTasYard。

「自分の感触を確かめたい」
そんな出過ぎた感情を抑えきれず、店長の成田さんにお話を伺った。


-カフェに珈琲牛乳って、あんまり見ないですよね?メニューとして置かれている経緯はなんでしょう?

成田さん
「先代の店長のときから置いています。
お店の方向性として、カフェじゃなくて食堂でもない喫茶店的なポジションを目指すTasYardに、珈琲牛乳はよく似合うのではないか?と思い考案したそうです。」


ドリンクを仕込む成田さん。ヒゲ、長いです。

-もともと喫茶店的なポジションを考えて、お店作りをされているんですね。

成田さん
「お店を立ち上げるときに、代表である中原の受けた影響は『日本の喫茶店』と『オーストリアのカフェ』。
日本の喫茶店からの影響はメニューに反映しています。
そしてオーストリアのカフェからの影響は雰囲気に。
オーストリアのカフェの雰囲気は少々重苦しいんです。
でも、お店に来る方々は明るい。

そこでテーマカラーを”黒”に、コンセプトを”男性が一人でも来やすい”お店にしたと聞いています。」

-確かに、珈琲牛乳ももっとキャッチーな見た目にもできますよね。

成田さん
「もっと可愛くしようと思えば、やりようはいくらでもありますよね。
でもそうはしないで、アイスカフェラテのような見た目で出しています。
たとえば、プリンの入っている器は、陶器を使っています。
ガラスやプラスチックではないので、
男性が一人でプリンを食べていても、外からはプリンが入っているとはわからない。
そんなところも考えてお店作りをしています。」


居心地の良さの正体がすっと腑に落ちたところに、ちょうどいいタイミングで珈琲牛乳がやってくる。


外では、けたたましい蝉の声。風そよぐ店内に、BGMはありません。

喫茶店で大人が頼む珈琲牛乳。
“粋”をかんじるその組み合わせ。
次はどんな風に注文してみよう。


TasYard

〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-3-14 メゾンブランシュ101
tel 03-3470-3940
http://tasyard.com/

この投稿を書いた人

石川 空海

石川 空海(いしかわ くう)コーダー

クリエイティブ部運用チーム所属。 プランニングからコーディングまで、 一気通貫でできるWebマスターを目指して日々精進しています。 ボーダーばかりの着道楽。 ビールとワインの酒道楽。 じゃっかん重めの活字中毒。 最近は植物にも手を出し始めました。 よろしくどうぞ。

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