2017年05月

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月曜日の投稿

村上 伊左夫
投稿者:村上 伊左夫
(品質管理部 リーダー)

2017年05月08日

思い出深い、ビジュアルブックを持ち寄って
〜モノサスの「読書会」#12〜

図書だより

村上 伊左夫
投稿者:村上 伊左夫(品質管理部 リーダー)

図書委員長の村上です。
新緑が深まりつつありますね。モノサスの社内も蔦の葉が生い茂ってきています。

今回は少し趣向を変え、絵画や写真集など、視覚で楽しむ本をテーマに読書会をしました。
本を読もうと意気込まなくても、パラパラとめくりながらその世界に浸っていけるのがビジュアル本の良いところ。

今回は思いがけず、それぞれの人生にとって、思い出深い本が集まったように思います。
モノサスに入る前は写真スタジオで働いていたという、写真を撮るのも見るのも好きな半田も初参加です。

それでは、読書会スタート!

発表タイム

ひとり5分間でそれぞれの本を紹介します。

絵から詩が生まれ、詩から曲が生まれる つながりから導かれた絵本
パウル・クレー / 谷川俊太郎(著)『クレーの絵本』(紹介者 村上 伊左夫)


パウル・クレー / 谷川俊太郎(著)『クレーの絵本』講談社(1995)( Amazon

村上

私が持ってきたのは『クレーの絵本』です。 パウル・クレーという画家の絵に、谷川俊太郎さんが詩をつけているというもので、国立近代美術館でクレーの絵画展をやっていたときに買いました。絵と詩がだいたい交互に入っている形式の絵本です。

大学時代、合唱団に入っていたんですが、この『クレーの絵本』にある谷川俊太郎さんの詩を合唱曲にしたものを歌ったことがあって、そこでクレーのことを知りました。

私がクレーを知ったのは合唱曲がきっかけなんですが、曲の詩を書いた谷川俊太郎さんはパウル・クレーの絵に影響を受けてその詩を書いていて、こう重なっているというか…私みたいにもともと絵に興味のない人間が、合唱から詩をとおして、そこから絵を知る、という風につながっていくのが何だか面白いなと思って。

歌ったのが大学4年生のときだったので、特に印象に残ってるんです。それで数年前にパウル・クレーの展覧会があると知って、見に行ってみました。

パウル・クレーの絵って、抽象画みたいな感じで自分には難しくもあるんですけど、谷川俊太郎さんの詩があることで、一つの捉え方が示されていて入っていきやすいんですよね。そんなところもこの本の魅力だと思います。


(左)世捨て人の庵 Einsiedelei (右)惚れた女のための風景 Landschaft  für  Verliebte

村上

表紙の絵は「黄金の魚」というタイトルです。キレイな絵なんですが、詩の内容は、大きな魚は中くらいの魚を食べ、中くらいの魚は小さな魚を、小さなさかなはもっと小さな魚を食べ…っていう食物連鎖の悲しさみたいなものだったりするんですよね。

羽賀

谷川さんは、クレーの絵を見て想像を広げて詩を書いたんですか?

村上

あとがきには、題名から詩を思い起こしたみたいなことも描いてあったので、絵からだけかというと、そうではないのかもしれませんね。

村上さんこういうの好きそうですね。原色ギラギラ系というより(笑)。

村上

そうですね、中間色とかの方が好きですね(笑)。
 

動的な写真から静的な写真へ 原点を思い出した写真集
『William Eggleston's guide』(紹介者 半田 貴功)


William Eggleston / John Szarkowski(著)『William Eggleston's guide』 Museum of Modern Art(2002) ( Amazon

半田

『ウイリアム・エグルストンズガイド』という写真集を持ってきました。

僕は学生の頃、写真の学校に入っていたくらい写真が好きなんですが、最初に影響を受けたのは90年代のカメラマンで、佐内正史とかホンマタカシとか、あとガーリーフォトの人たちが好きで、いわゆる静的な写真を撮ってました。

でも写真学校でいろいろと撮っていくなかで、だんだんと森山大道とか中平卓馬とか、すごい荒れた写真を撮るような人たち、白黒でコントラストが強くて構成とかもめちゃめちゃで、斜めに撮ってみたりするような人が好きになってきて、そういう動的な写真ばっかり撮ってたんです。

そんな頃、この写真集を手に取って、こういう静かな写真すごく好きだったなって、原点に帰るような感覚があったんです。写真を撮る時の姿勢というか、レンズの細かい所まで、隅々まで見るような感じを思い出したんですよね。

半田

ウィリアム・エグルストンは「ニューカラー」というジャンルの先駆者的な写真家で、アート写真がモノクロ中心だった1970年代に、彼がMOMA(ニューヨーク近代美術館)でカラー写真を展示したことがきっかけで、カラー写真もアートになるんじゃないかと話題になって。そのときにMOMAが出版したのがこの写真集です。

元々はアンリ・カルティエ=ブレッソン(水たまりを人が飛び越える瞬間など、「決定的瞬間」といわれる動きのある写真を撮る写真家)に憧れてたそうなんですが、いつからか落ち着いた、完璧な構図の写真を撮りはじめて。この写真集の作品も、どれもすごくバランス良く撮られているなと思います。

普通の風景なんですけど、どこに目線が行っても飽きないような構図。たまに手が写っちゃうようなのも、計算ではないんだろうけど、ちょうど上手く入ってる感覚があるんですよ。動的な写真に憧れつつも、静的な写真を撮るようになって...自分も同じような感覚があったので共感している部分もあります。 今でもたまに何かあると見返す写真集です。


p.38 撮影地 「Memphis」

村上

いつ頃の写真なんですか?

半田

1970年代とか、だいぶ前の写真なんです、でも色褪せない。今でも通用する写真家だと思ってます。この時代ってアート全体が写実主義とか、もっとリアルなものを突き詰めようとしていた動きがあって、写真もちょうど重なるような感じで、面白い時期だったんじゃないかなと思います。
あと、写真が全部見開きの右ページにあって、左には場所とロケーションのみ書いている、というのもすごく好きで。

村上

確かに、一枚一枚に集中できますね。

半田

表紙の三輪車の写真も、すごい好きなんですよね、雲の位置とか絶妙で。たまに写真のなかに、これどうしたんだろうって思うものが写ってたりするんですけど、なんかそれもいいなと思って。とにかく構成も、装丁も全部好きな一冊です。
 

バンドの世界観に浸りながら蘇る 号泣したライブの思い出
『チャンネルガイド 東京事変オフィシャルブック』(紹介者 乾 椰湖)


黒猫堂(著)『チャンネルガイド 東京事変オフィシャルブック』 スイッチ・パブリッシング(2012) ( Amazon

椎名林檎さんのバンド「東京事変」のオフィシャルブック『チャンネルガイド』を持ってきました。5年前に解散しちゃったんですけど、最後の「ディスカバリー」という2011年のライブツアーの様子が載っている最初で最後のオフィシャルブックということで発売されたものです。

このツアーは私が16歳のとき、お母さんとライブに行ったんですけど、初めての生・椎名林檎を見て「本物だー!」って号泣でしたんです。このライブツアー、めちゃめちゃかっこよくてDVDも持ってます。東京事変のライブはレベルが高いって音楽雑誌とかでも結構褒めてて、衣装が4回くらい変わったり、照明や映像もすごくて、本当に楽しいライブでした。

本の前半は写真が多くて、解散前のツアー写真からレコーディング写真、移動中のオフショットとか、「かわいい〜!」って見てます(笑)。後半には、裏方の舞台美術さんや照明さん、メイクさん、衣装さんのインタビューもあります。

私のいち押しポイントなんですが、あまり林檎ちゃんはテレビとかでニコニコしてないイメージなんですけど、この本ではすごくニコニコ楽しそうにしてて。楽しそうで良かったって安心する感じで、ここにしおり挟んでます(笑)。

ライブに行ったときのことを思い出すし、写真で見てもやっぱりいいなって楽しかったことを思い出すんです。あ、これ、可愛いです、ここ。(お気に入りの写真のページを開いて)趣味爆発な感じですみません(笑)。

羽賀

椎名林檎がほんとうに好きなんですね(笑)。

最初は姉がファンでそれで影響されて。高校生ぐらいのときから好きになって、顔も声も全部椎名林檎になりたいと(笑)。ファンクラブも入ってます。

羽賀

椎名林檎って全然年齢がわかんない。年齢不詳かも。

35、6歳だった気がします。もう7年位専属でメイクを担当してる方がインタビューで言ってたんですけど、あまり掴み所がない感じにしようということで、性別を超えた、いつ見てもいつも違う顔みたいにするのがテーマらしいです。

村上

確かに椎名林檎の顔って言われても、これというのが思い浮かばない。いや、もともと詳しくないんですけど。歌声は、聴いたらわかりますけどね。
 

二眼レフを抱えて街を撮りつづけた 発見された写真家
『Vivian Maier Street Photographer』(紹介者 羽賀 敬祐)


Vivian Maier (著)『Vivian Maier Street Photographer』powerHouse Books(2011) ( Amazon

羽賀

最近になって発見された写真家、ヴィヴィアン・マイヤーの写真集を持ってきました。

ニューヨークやシカゴを中心に死ぬまでに15万枚くらい写真を撮った写真家…と言っても職業は写真家じゃなくて一般人で、生前も人に写真を撮ってることを言わず、作品の発表もほぼしてないんです。いつも2眼レフカメラを首にぶら下げて街を歩き回って写真を撮って、撮った写真やネガをひたすら貯め続けて撮り続けるっていう女性だったみたいで、そのストーリーも含めて魅力を感じました。

写真が発見されたのは、彼女の持ち物が街のオークションにかけられて、大量のネガが入った箱をたまたま落札した若者が、ネガを見てその面白さに気づいてSNSで発表したのがきっかけです。それが反響を呼んで世界中に広まっていったんです。

ヴィヴィアン・マイヤーの写真はちょっと視点が独特で、例えば、遠目から人が食事してる写真や、ニューヨークの街なかを人が乗った馬が歩いてる写真だったり、これどういうシーンだろうと想像してしまう写真が多くて。ちょっと斜めな視点なんです。

実際この人が生きているときに写真を公表したら、20世紀を代表する写真家になってたんじゃないかという人もいたり。2年前には「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」という映画も作られて観に行ってきました。

40年ほどベビーシッターを続けて、友達もあまりいなくて、結婚もしなくて。ただひたすら街に出ては写真を撮り、また働く、そんな生活を送った彼女…写真を撮るということが街や人と関わる唯一の手段というか、そういう表現が自分の生きがいだったのか。自分の生きてる証明というか、そういうことを自分でやってた方なのかなと感じました。

村上

20世紀の人なんですか?

羽賀

はい。1950年代くらいから40年間くらい撮ってたみたいですね。 自分を撮った写真も多くて、写真集の一番後ろ方に自分を撮ったコーナーがあるんですよ。撮り方も街なかの窓ガラスだったり、街なかにある鏡とかに自分を写して撮っていて、それも面白いなと思って。

おしゃれ自撮り?表紙も自分で撮っているんですか?

羽賀

これも自撮りですね。こういうのも、あえて顔が陰になるようなバランスもすごい面白いなって思います。人を間近で撮影してるのもあって、撮ったあと怒られたんじゃないかなって(笑)。

半田

きっと怒られてると思います(笑)。

羽賀

その怒ってる顔も撮ってたり、そんな写真もいいし、撮られてる人が気づいてないものもあって、そういうのがまた面白いんですよね。


読書会をおえて

いかがでしたでしょうか?
学生時代の思い出や、忘れられないライブ、「写真」を撮る原点を振り返った本など、それぞれの人生に深く焼き付いた本が多かったように思います。 持ち寄った本を広げて感想を言い合うのも、ビジュアル本ならではの楽しい時間でした。

次回は「ある場所」がテーマの本。国内、海外を問わず特定の場所に関する本をご紹介する予定です。それではまた!

この投稿を書いた人

村上 伊左夫

村上 伊左夫(むらかみ いさお)品質管理部 リーダー

オタクになろうとしていた頃にかじったHTMLを活かしてチェッカーの道へ。かつてはコーダーへ容赦無いチェックバックをしてましたが、現在はもっぱらリーダー業務に専念中。本がある空間が好き。読むのは時代小説や、近頃はホラー、ミステリーも。モノサスの図書委員もやってます。

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