「うちの会社には、技術力があります」リニューアルを進めていくなかで、担当者からよく聞く言葉です。実際にお話を伺ってみると、世界的に評価を得ている製品を作っていたり、真似できない独自の強みを持っていたり。その技術力に圧倒されることも、しばしばです。しかし、それが全くWebサイトで伝わってこないのです。
技術力を示す6つの軸
BtoB企業のノウハウの結晶であり、競争力の源泉であるのが、技術力です。また、技術力とは、ひとつの要素からくるものではなく、いくつかの要素から成り立っている場合も多いです。
その技術力を、どうすれば伝えられるか?
BtoBサイトの専門サービスを手がける我々にとっても、重要なテーマです。
「技術力とは具体的にどういうことなのか」を見つけだす際、6つの軸から探り、そして、コンテンツに落とし込んでいくという手法をとることがあります。
その6つの軸とは、
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ヒト
- 技術を実現するヒトにフォーカスをあてる
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モノ
- 技術を支えるモノにフォーカスをあてる
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カネ
- 技術を高め、維持していく原資であるカネにフォーカスをあてる
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コト
- 技術を高め、維持していくための取り組みにフォーカスをあてる
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ノウハウ
- 技術を高めるために積み重ねてきたノウハウにフォーカスをあてる
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結果
- 技術の高さゆえに得られた象徴的な結果にフォーカスをあてる
経営資源としてヒト・モノ・カネという3つの要素が挙げられますが、この6つは、そこから技術力を探り、伝えるための軸として発展させたものです。
それでは、順に見ていきましょう。
ヒト
まずは、無くてはならない「ヒト」という軸についてです。
技術を実現するのは、ヒトです。ここで言うヒトとは社員であり、技術者のことです。 「どんなヒトが働いているのか」「どんな働き方をしているヒトたちなのか」「どうやってヒトを育てているのか」といった視点から社員にスポットをあてることが、技術力を伝えるうえで重要だと考えます。
例えば、社員へのインタビューや社員同士の座談会から「どんな姿勢で仕事や研究に取り組んでいるのか?」という想いや、「どんな仕事をしているのか?」という行動をユーザーに伝え、技術力を生み出す源である人材について、深く掘り下げたコンテンツを掲載する方法があります。
また、独自の社員教育制度やバックアップ体制がある場合、それをコンテンツにして伝えることも有効です。技術力向上の基盤となる制度や体制は、技術力の高さを裏付けるものになります。
モノ
次は、技術力を支える「モノ」という軸です。
ここで言うモノとは、製品ではなくそれを製造する「設備」を指します。設備がしっかり揃っているということは、良い製品をつくるための土台があるということです。
「どんな設備で製造しているのか」「どんなラインを持っているのか」といった視点から、技術力を生み出す設備を紹介することで、良い製品をつくるための土台が備わっていることを伝えます。
例えば、工場紹介のコンテンツをつくり、工場の設備やラインを紹介します。写真や図解、動画など、文章だけでは難しくなってしまいがちな説明を、ビジュアル化して伝えるのもいいでしょう。
また、研究開発や品質検証をしっかりとおこなえる設備を持つ企業であれば、そういった研究や開発、品質検証を実施している設備を紹介し、環境が整っていることを伝える方法もあります。
カネ
3番目は、「カネ」という軸です。
カネというと、生々しく聞こえてしましますが、ここでいうカネとは「研究開発資金」のことです。IR情報では、研究開発費として掲載することが多いですが、株主・投資家以外の層にも訴求する材料として有効です。本気度が最も表れるところと言えます。
例えば、様々な切り口の数字から、企業の特徴を浮きだたせる「数字で見るコンテンツ」は、今でもよく採用されています。その中に、研究開発に関わるお金の話を含めるのも有効でしょう。
コト
4番目は、「コト(=取り組み)」という軸です。
技術力を高め、維持していくための取り組みがある場合、その取り組みにフォーカスを当てます。先ほどの「モノ=設備」が備わっていることを伝えるだけでは完結しません。その設備をどのように生かしているのか、というところまでを伝えることが必要です。
「品質を保つためにどんなコトをしているのか」「どんな工程で製造しているのか」といった視点から伝えていきます。
独自の社内プロジェクトや勉強会、研究開発についてのレポートなどをコンテンツとして掲載するのも有効でしょう。
また、品質検証の仕組みや体制、ワークフロー(生産ラインや研究開発の仕組みなど)を説明していくコンテンツがあれば、ユーザーの理解はより深まるでしょう。
ノウハウ
続いて、「ノウハウ」という軸について紹介します。
これまでに積み重ねてきたノウハウや知見にフォーカスを当て、技術力の高さを証明します。それをアウトプットすることが、信頼にもつながります。
「どんなノウハウを持っているのか」「ノウハウをどうやって証明しているのか」といった視点から伝えていきます。
例えば、製品を制作する上でのポイントやノウハウ、業界動向や技術情報をレポート化し、コンテンツにして紹介します。技術情報を社内イントラで回覧している企業も多くあります。聞いてみると、それをオープンに公開しても問題ないというケースも多くあります。そういった情報は、うまくコンテンツ化して活用いくといいでしょう。
また、執筆や講演活動、業界誌への掲載歴などがある場合は、それを掲載することで豊富なノウハウがあることを伝えることも可能です。
結果
最後の軸は、「結果」です。
ここでは、技術の高さゆえに得られた「象徴的な結果」にフォーカスを当てます。ユーザーが驚くような大きな成果をあげた事例や、国家・宇宙というキーワードが入るような事例は、技術力によって生み出された成果を証明することにつながります。
技術を活かして作られた作品と呼べるようなものがある場合、それを掲載するのもいいでしょう。 「第三者からどんな評価を受けているのか」「特に成果が出た事例にはどんなものがあるのか」といった視点から伝えていきます。
また、事例紹介は有効なコンテンツですが、技術力を伝えるなら、単に事例を並べるのではなく、実装されている技術の紹介や解説も加えるといいでしょう。
まとめ
技術力を伝える6つの軸、いかがでしたでしょうか?
「ヒト」が、「モノ」と「カネ」を活用して、「コト」を実行し、それが蓄積して「ノウハウ」や「結果」に昇華していきます。 「技術力」という大きなテーマも、このように分解することで、気づきを得ることがあります。是非、一度この6つの軸で自社の技術力を見つめてみてください。