2015年12月

25

金曜日の投稿

中庭 佳子
投稿者:中庭 佳子
(編集、デザイン、何でも屋担当)

2015年12月25日

「私」と「私たち」のはざまで
〜ものさすサイトの主語は誰?〜

初代・編集長のつれづれ草

中庭 佳子
投稿者:中庭 佳子(編集、デザイン、何でも屋担当)

「編集長、何を書いたらいいか分かりません」

締め切りから待つこと二日、原稿を担当するスタッフから届いたメッセージです。
事前に、こんな内容で進めましょうと確認していましたが、いざ記事を書こうと白いドキュメントを開いたとたん、何を書いてよいか分からなくなってしまった、とのことでした。

何かの立ち上げ時は混乱がつきものですが、自分たちでさえ何者になるのかわかりきっていない「ものさす」というメディアに対し、スタッフからは「いいね!」という声だけでなく、さまざまな戸惑いの意見も聞こえています。「何を書いていいか分からない」という声をはじめ、「文章を書くのは苦手」「そんな急にうまく書けないよ」「業務が忙しくて、書く時間がとれない」なんて声も。

それでもはじまって2ヶ月、ものさすサイトとは何か、ぼんやりと見えてきたものもあります。と同時に、輪郭が見えきたからこそ感じるむずかしさもあるようで…

当初、投稿者のみんなには「このサイトはひとつのプラットフォームなので、OSにアプリをインストールするように、みんなが担当するコーナーをサイトにインストールしてください。それぞれのコーナーには特色があってよいと思います。」と伝えていました。
その思いは今でも変わりません。ただし、「それぞれの特色=なんでもあり」ということにはならないのがむずかしいところです。

「何を書いていいか分からない」という冒頭の戸惑いも、「なんでもあり」じゃないということに気づき、身動きを取れなくなってしまった状態なのかもしれません。


個人の顔?会社の顔?
どっちで書けばいいの?という問い

ものさすサイトで記事を書くときに迷うのが、「主語は誰か?」という問題です。

例えば、「コーディングメソドロジー」や「webマスターがゆく」など、各部署ごとに業務に関係する内容を伝えるコーナーでは、主語を誰にするか迷いが生じます。部で共有している方法論や、世間一般で知られたスキルの話であれば「私たち」という主語で語るのが自然かもしれません。
しかし主語が「私たち」になったとたん、何かのフィルターを通した声に感じます。個人の声のノイズが浄化されてしまうというか、生々しさがはがされてしまうというか…。方法論は明確に伝わるかもしれませんが、書き手の存在感は薄くなっていきます。

逆に「私」を主語におくことで生じる問題もあります。例えば「仕事と暮らし」というコーナーでは、投稿者本人の体験談がもとになるため、おのずと主語は「私」になります。すると「自分のことだからなんでも自由に書いてもよいのでは」という気にもなります。しかし「私」事だから「モノサス」に関係なく自由に何を書いてもよいことにしてしまうと、それはただの個人ブログになってしまうのです。

主語が「私」なのか「私たち」なのか、という問題は、個人の顔で語るのか、会社の顔で語るのか、という問題だと言い換えることができます。ものさすサイトはコーポレートサイトですが、会社が主語ではなく、もっと個々の顔が見えたり、体温があるサイトだと思っています。同時に、完全に個人のことでもない、「私」と「私たち」の両方のニュアンスを含んだものではないでしょうか。

日常生活でも似たようなことがあります。仕事だけど、仕事を超えてパーソナルな部分に入り込んでくるようなこと。個人的なことだけど、やがて仕事につながっていくこと。「公」と「私」というのは、実は明確には切り離せず、行ったり来たり、揺れ動いているものかもしれません。ものさすサイトで記事を書く、ということも、そんな感覚に近いような気がしています。


決められた型はない
生みの苦しみ、そして楽しさ

冒頭の「何を書いたらいいか分かりません」という声は、いちから自分の言葉を探さなければならない、生みの苦しみの声にも聞こえます。
適当なモデルサイトを探して、真似して書くことは簡単かもしれませんが、それではものさすサイトでやる意味があまりないでしょう。たとえつたない言葉でも、「私」と「私たち」の間で揺れ動く、オリジナルな声が大切だと考えています。また、そこには、自分たちの体験から言葉を見つける方が楽しいよね、というものさす式 DIY精神もあります。

一から自分の言葉を探すのは大変ですが、ものさすサイトがスタッフにとって「表現すること」や、自分と向き合うきっかけとなって、楽しむ場所になれば、と思っています。

そういった「みんなの言葉」を引き出すにはどうすればいいのか、あれこれ考える毎日です。手さぐり状態ですが、よい記事ができたときは喜んだり、なかなか書けない執筆者がいれば一緒に悩んだりしながら、日々を過ごしています。

---

ところでこのコーナー、2回続けていますが、あんまりつれづれしてないですよね…。
来月号はもう少しふんわり記事をお届けしたいと思っています。

それではみなさん、ちょっと早いですがよいお年を!
(ものさすサイトは12月28日月曜日まで日めくりします。)

この投稿を書いた人

中庭 佳子

中庭 佳子(なかにわ けいこ)編集、デザイン、何でも屋担当

初代ものさす編集長。最近は古い一軒家に引っ越して、庭づくりや家のDIYに没頭する日々。ラジオ好き。チャンネルはほぼAM954。地ビールに目がない。レペゼン埼玉。

中庭 佳子が書いた他の記事を見る