2017年07月

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月曜日の投稿

大村 陽子
投稿者:大村 陽子
(ものさす編集長)

2017年07月24日

ものさす米の田植えを行いました!

Food Hub Project

大村 陽子
投稿者:大村 陽子(ものさす編集長)

こんにちは。編集部の大村です。

塾生として半年間を過ごした徳島県の神山町を離れて早半年。神山がちょっと遠くになりかけていたころ、久しぶりに神山に行かせていただく機会が訪れました。

それは「ものさす米」の田植え。

昨年の11月、モノサスの周年記念パーティーでゲストに配られた「ものさす米」を
今年は、いちから自分たちで育てることになったのです。

昨年は出来上がるまでのほとんどの作業を 農業長の白桃さんを中心とする Food Hub Project(以下 フードハブ)のメンバーにお願いしていたのですが、今年はできるだけモノサスのメンバーも関わって、どのような農法で育てていくか、なども話あいながら作る予定です。

今回は、そんなものさす米の田植えの様子をお伝えします。
 

記録的な水不足の梅雨…
そんななかの ものさす米の田植え

6月下旬、神山で暮らすメンバーと、サテライトワークに来ていた代々木からのメンバーとその子どもたちが参加して田植えを行いました。

日々 Web サイトの制作や、運用業務に励むメンバー。いつもはパソコンと向き合う日々ですが、今日は太陽の下での作業です。

私自身は、昨年、ものさす塾の期間中、草取りや稲刈りのお手伝いを少ししたものの、田植えははじめてです。

お米づくりは、田植えがあって、稲刈りがあって…。と漠然と、基本的な流れは知っているつもりても、実際のところ、どのようなものなのか、わかっていません。

田植えの服装ってどうしたらいいの?というところからスタートしました。

田植え用の長靴を買ったほうがいいのか、裸足か?と迷っていたところ、「くつ下をはいてきて」という連絡が。結局、くつ下に日除けは万全で、という出で立ちで臨むことになりました。


代々木からサテライトワークで神山を訪れたメンバー。現地で調達した麦わら帽子に、おにぎり柄のてぬぐいを首に巻き、やる気です!

田んぼは、神山町の鬼籠野(おろの)にある段々畑の一つです。鬼籠野はすだちの産地でもあります。
指導していただくのはフードハブ農業指導長の白桃薫さん。


説明をする白桃さん。イケメン農家兼役場職員(フードバブ支配人 談)

まずは今回の田植えについて説明してもらいました。

田んぼの広さは4畝(せ)。
はじめて聞く単位です。
1畝は10m×10mの約100㎡の広さで、1a(アール)とほぼ同じ広さなのだそう。
なので、4畝は約400㎡の広さです。
ちなみに、1畝はだいたい30歩の長さということです。


4畝の広さという、ものさす米の田んぼ

そして、10畝=一反のこと。
「田んぼ一反」は聞いたことがあります。

4畝で100kgほどの収穫が見込まれるようです。

植える品種は「イクヒカリ」。
昨年収穫したお米から、脱穀していない籾(もみ)を発芽させて二週間くらいたった苗を用意していただいていました。


発芽した籾


苗をちぎって、田んぼにポンポンと投げていきます

今回、田植えまでには、菜種油をつくるときの絞りかす、「油かす」を入れて土を耕し、前日に水を入れておいてくださっていました。でも、今年の梅雨はめったにない水不足のため、水の量も少ない状態での作業となりました。

それでは、田植え、スタートです!
はじめは、みんなおそるおそる、田んぼへ。


田んぼに入ると、思わず声が

入ってしまえば、意外にも気持ちの良い泥のなか。

苗は、二、三本をつまんで、一箇所に植えていきます。
今回は手植えなので、手植え用の大きな定規を使って植えていきます。定規は、白桃家が昔から使っている物や地域で使われなくなったものが集まって来たものだそう。今後、草とり作業や収穫を機械で効率的にする場合のことも考えると間隔が均等であることが大切になります。


手植え用の定規。赤い印のところに苗を植えて…


進行方向にパタン、とひっくり返す。を繰り返し繰り返し、横の人とペースを合わせて行います

みんなでペースを合わせて、定規の印の部分に植え終わると、パタン、と定規を進行方向にひっくり返していきます。

途中、なかなか足が泥から抜けなくなったり、「泥のなかに何かがいる!」という声があがったり。
ヒルがいるかもしれない、という情報にハラハラしていましたが、幸運にもこの日は、誰もヒルと出会うことはありませんでした。

ずっと中腰の作業はなかなかきついもの。
休憩していく大人をよそに、子どもたちがてきぱき、そして黙々と作業をすすめてくれていました。


休むことなく、黙々と作業をつづけた子どもたち(真ん中の二人)

作業をしながら思い出したのは、私の出身地、広島で見た花田植え。

牛たちが田んぼの土を掘り起こしたあと、太鼓の音にあわせて早乙女たちが歌を歌いながら田植えをしていくという行事で、この日は牛も早乙女たちも華やかに着飾ります。無病息災や豊穣を願って行われた行事です。

どんな歌を歌っていたかは覚えていませんが、単調な労働をみんなと歌いながらすることで、作業がきっと楽しくなったんだろうな、と田植えをしながらはじめてわかった気がしました。

作業をすること、約一時間半。
4畝の田植えが終了しました!

途中でくつ下を紛失したメンバーも。いつの段階かで、きっとどこかでみつかるのでしょう。

土に触れたからなのか、神山の空気が良いからか、作業前よりも参加したメンバーは元気になったようです。


達成感からか、すっきりした表情

参加したメンバーは、「定規を使う方法に、なるほどと思った」、「苗を二つづつ分けながらするのが、意外と難しかった」、「思っていたよりも田植えは楽しいものだった!」など、すっきりとした表情で感想を教えてくれました。田植え後、さらに動くエンジンがかかった!というメンバーも。

この日は、田植え終了後、かま屋でお昼ご飯をいただきました。

当たり前のことではありますが、このお米も、田植えあってこそ、収穫されたもの。
ご飯が一層美味しく感じました。


みんなでいただきます

神山は日中と夜の寒暖の差が激しいので、お米が特に美味しくなるのだとか。
収穫が今から楽しみです。
 

ものさす米のこれから

これからほぼ毎日、田んぼの水分量を白桃さんに確認していただく日々がスタートします。
天候にもよりますが、田んぼの水は空気中に蒸発したり、土に吸収されることで、1日で水分量が大きく変化します。一定の量に水が保つよう、見ていただく必要があるのです。
また、田んぼは朝に水を入れ、お昼から夕方までの日光で水を温めます。温めることで稲がよく育つのだそうです。

ですが、今年は雨の少ない梅雨。引き入れられる水の量が心配です。田植えのあとの一週間以内に雨が降るかどうかで、今後の草取りなどの作業量も変わってくるといいます。
当然ですが、雨が降らず、水自体が少なければ、近くの川から引き込まれる水の量も少なくなります。

また、今回のものさす米のように段々畑の場合、平地の田んぼよりも水が流れていってしまいやすいとか。

そして、農薬をあまり使わない方法を選択する場合、除草作業が要となります。
田植え後、「草引き」といって草と土をかき混ぜ、不要な草が芽生えないようにする作業が必要です。
10日に一度は草を抜かなければ、稲にいくはずの栄養を草が吸収してしまい、結果、収穫量も少なくなってしまう。
やむをえず除草剤を使うのか、手作業でしていくのか…。
今後は、農薬を使うか、収穫は機械でするのか、はぜ掛け(収穫後の稲の天日干し)をするかしないか、こういったことも話し合いながら決めていきます。

当然のことですが、きちんと手をかけるほど、より自然に近いものになり、味も変わってきます。雑草ではなく、稲の成長に十分栄養が行き渡るかどうかで収穫量も変わります。

神山にいるメンバーだけでなく、できるだけ代々木のメンバーも神山でサテライトワークをしながら関わっていけたら。

そして、ものさす米はお米作りをメンバーが体験するため、という目的もありますが、モノサスが企業として農業にどう貢献できるか、というテーマも含んでいます。

収穫量に関わらず、田んぼを一定の金額で年間契約し、農法をフードハブと一緒に選択することでリスクを共有する。こういったリスクの共有をすることで、新規就農者が少しでも増えて持続可能な農業に貢献できれば…。

ですが、機械を使ってしまえば、今回の田植えも実は15分でできてしまいます。
そして、除草や、収穫も機械を使えばあっという間。お米作りを私たちが体験するために手作業をする、指導もしていただく、というのはとても非効率的で、逆に農家の方に手間を取らせてしまっています。

持続可能な農業に対して、一企業としてどうコミットができるのか。
まだまだ模索中です。

今後、まったなしで育っていく稲。
除草や収穫の様子なども報告できればと思っています!
 

田植えのその後

田植えから約半月 
7月はじめの田んぼの様子

田植えから約半月後、その後の田んぼの様子を白桃さんにうかがいました。

すくすくと順調に育っています!
田植えのあと、台風もきて雨が降ったおかげで、心配していた水不足は完全に解消されたとのこと。
一部の苗がちゃんと植えられておらず、補植していただいたようです。

そして、どこからともなく昨年はいなかったという、カブトエビが自然発生し、
大量に泳ぎ回っているそうです。


田んぼを元気に泳ぐカブトエビ

エビ?!大丈夫?と思いきや、このカブトエビが水をかき回してくれることで、土がかき混ぜられ、草を生えにくくしてくれているのだそうです。そのため、田植え後10日で必要だった除草作業が今のところ必要なく、水の管理のみですんでいるとのこと。
カブトエビ、ありがたいことです。

田植えから約一ヶ月 
7月下旬のものさす米

白桃さんから、そろそろ除草の連絡がくるかな?
と待っていたのですが、なかなか連絡もなく7月が過ぎていきます。
7月も後半に差し掛かってきたので田んぼの様子を聞いてみました。

なんと、返ってきたのは意外な答え。
今年は田植えのあと、一度も除草作業をする必要がない状態とのこと!

昨年神山で過ごしていた時、「お米作りの除草は本当に大変」といろいろとはなしを聞いていたので、そんな奇跡のようなことがどうして起こったんですか!?
と白桃さんにうかがってみました。


7月後半の田んぼの様子。しっかりと根付き、ぐんぐん伸びています。他の田んぼに比べてほんとうに草が生えていないのだそうです!

実は、今年は田植えのあとに「米ぬかぼかし」というものを実験的に撒いてくださっていたのでした。

「米ぬかぼかし」は米ぬかと籾殻(もみがら)に菌を加えて発酵させたもの。
今回は乳酸菌や酵母菌などの微生物の入ったEM菌で発酵した「米ぬかぼかし」を使ったのだそうです。(EMは、Effective Microorganisms の略)

そして、この「米ぬかぼかし」。二つの効果で田んぼを雑草が生えにくい環境にしてくれています。

ひとつは、菌や微生物が田んぼの土の表面をトロトロの層で覆うことで、雑草の種子を土のなか深くに埋め、芽が出ないようにさせていること。

そしてもうひとつは、微生物や菌が発酵する際に酢酸などの有機酸が発生し、その有機酸が雑草の新芽を育ちにくくしていることです。


水面に浮かぶ浮草は、稲の成長にとって問題ないそう。問題ないと聞くと、真緑の田んぼをとても美しいと感じてしまいます

米ぬかと菌、そしてカブトエビ。現在、自然の力がものさす米の成長をサポートしてくれています。
この後どのようにものさす米が育っていくのか、またレポートしたいと思います!

この投稿を書いた人

大村 陽子

大村 陽子(おおむら ようこ)ものさす編集長

広島出身。東京とモノサス二年目です。旅をした場所で人の「暮らし」が見えるとうれしくなります。東京を旅気分でいろいろと探検したいと思っています。おすすめの場所があれば教えてください!

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