Tue.
5
Dec,2017
西城 弘晃
投稿者:西城 弘晃
(シニアディレクター)

2017年12月05日

顔が見えるコミュニケーションの重要性

Webディレクター.docx

西城 弘晃
投稿者:西城 弘晃(シニアディレクター)

こんにちは、ディレクターの西城です。

私たちディレクターは、プロジェクトが立ち上がると、まず、クライアントの要望をヒアリングして、要件定義を行い、サイトの方向性を決めます。方向性が決まったら、企画やコンテンツを詰めて、デザイン→コーディングと制作へ進み、サイト公開までたどり着きます。

プロジェクトの始めから終わりまで、ディレクターはお客様との窓口となってやり取りしていくわけですが、そのコミュニケーションの手法はプロジェクトの進捗に併せて変化していくことが多いです。

まず、開始時は何も決まっていない状態なので、「対面」での打合せを頻繁に実施しながら、サイトの方向性を決めていきます。そこから企画・設計を詰めて、実際にデザインをしていきます。このデザインを決定するまでが仕様を固める山場なので、必ず顔を合わせて確認をします。

そこまで仕様が固まったら、以降の制作フェーズ(主にコーディング)では、対面の打合せ機会を徐々に減らして、メール等でのコミュニケーションへスライドしていくことが多いです。

通常はこのように進めていますが、以前担当していた案件で、メールベースでやり取りしていく中で、コミュニケーションの限界が生まれたことがありました。その中でお客様から頂いたご意見や、他案件で得た気付きがあったので、今回はそれをご紹介したいと思います。

 

大量に飛び交うメールの交通整理の果てに

先述のように、プロジェクトが中盤から終盤になり、メールでのコミュニケーションに比重が高まってくると、お客様からの確認や課題が増えて、大量に行き交うメールの交通整理が求められます。

本来は、メールの件名と本文は紐付けて、関係のない別の課題は新たなメールでやりとりしたいところですが、Aという課題をやり取りしているメール本文に、まったく関連のないBの課題を追加で含めてしまうことが、往々にしてあります。

そうすると、メールの件名(A)の本文に、別の課題(B)が含まれるという状況になり、それが度重なっていくと、課題管理表で整理していても、つい課題が埋もれてしまうことが発生します。

以前担当していた案件ですが、主要デザインの確認までは「対面」でのコミュニケーションで実施。それ以降のフェーズ(ページを量産するためのコンポーネントのデザイン確認や、原稿手配の確認)では「メール」のやり取りに移行して細部を確認しながら、コーディングフェーズへと進んでいきました。

量産対象のページはボリュームがあるため、メールでやり取りしていると、メール本文がとても長くなってしまいます。ある日こんなメールを送りました。

1)私→クライアント
【a】に関する確認メール


すると、翌日にこのメールへの返信(Re: 件名)をいただいたのですが、【a】で送った内容への回答ではなく、それ以前に打診していた確認事項【b】への返信が書かれていました。

2)クライアント→私へ
【a】への返信メールに、別メール【b】への回答が書かれている

同日、さらに返信(Re: 件名)が届き、当初の【a】への回答が戻ってきました。

3)クライアント→私へ
当初の【a】に対する回答が書かれている

ここでは3通のメールを例に挙げましたが、実際には、1つの件名に対して20回弱メールのやりとりを行っていました。サービスの種類が多いと、質問項目に対するインライン(引用)での回答も増えていき、課題一つ一つの確認をメールだけで完結するのは限界となっていきました。

着手から納品までクライアントとやりとりしたメールは500通以上にのぼり、大量に行き交うメールの中で、私自身もメールを捌ききれない状況に至り、ついにはお客様も、ご自身がどのような質問を投げたか把握できなくなってしまうという状況を招いてしまいました。

最終的には、やり取りの確認はメールと電話のセットにすること、課題の整理は定期的な対面で打合せをすることに変更して、最悪の事態は回避しましたが、私自身にも多くの反省が残りました。すべてを対面にする必要は無いと思いますが、顔を合わせることでクライアントからの質問・指示の意図や目的も汲み取りやすく、公開までの優先順位付けなどお互いの課題も明確になることを実感した出来事でした。

 

15分でも30分でも対面で行うことの意義

最近、サブディレクターとして担当した案件でいいなと思ったことがあります。(サブの場合は、会議の議事録を作成したり、会議の中でメインディレクターの進行や発言をフォローするなどのサポートを担当します。)

それは景色の可視化です。

この案件では、ごく短時間で終わるような場合でも、対面での会議を行い(往訪が難しい場合でも、ビデオ会議で顔を合わせて話す)、プロジェクトの現在地と次のマイルストーンまでのスケジュールを都度提示して確認を行っていました。

打合せの場で、次のマイルストーンについての工程の説明も改めて行うことで、お客様が感じている不安をあぶり出し、解決しようとする姿勢が見られました。課題管理表の進捗に関しては、メールで終わるような軽微なものであっても、対面で確認しながら、時間を有意義に使っていたこともとても印象的です。

自分がメインでディレクションする場合、中盤以降のフェーズでは割とメールでのコミュニケーションを多用していましたが、それでは一方通行なコミュニケーションが生まれやすく、お客様の不安などの空気を肌で感じることが難しいのも確かです。

短時間でも対面でのコミュニケーションを取って、お客様の温度を見逃さないようにする進行のやり方は、今後の業務の参考にしたいと考えています。

 

まとめ

ディレクターはコミュニケーションを司る大事な役割を担っています。コミュニケーションがうまくできなければ、プロジェクトをゴールに導くことはできません。

クライアントに対しては、クライアント視点を持って、クライアントの意図や目的を汲み取って把握し、クライアントが望むコミュニケーションを提案していく必要があります。汲み取るのに一番大事なのはやはり「対面」での打合せです。Web制作のプロとして、制作進行の責任者として、クライアントを啓蒙するような姿勢で臨むことが、信頼につながっていくのではと思っています。

対面・電話・メール…様々なコミュニケーション手法を適切に使い分けることで、クライアントをゴールへとうまくナビゲートできるよう、今後もディレクションを行っていきたいと思います。

この投稿を書いた人

西城 弘晃

西城 弘晃(さいじょう ひろあき)シニアディレクター

クリエイティブ部のディレクションチームのサブリーダーやっています。主にBtoB事業のディレクションをしています。オフの日はボーカルレッスンに通い、オリジナルの曲づくりで日々奮闘。日本酒とワインが好きで、最近、仕事が忙しく、行きつけのバーになかなか足を運べず、心を痛めている。

西城 弘晃が書いた他の記事を見る