2016年02月15日
気がつけばマロがいる
〜チェックチームを守る男、村上伊左夫〜
今回登場するのは、品質管理を行うチェックチームのリーダー村上伊左夫(ムラカミイサオ)、通称マロ。
一見するとおとなしそうな雰囲気があるが、実際話してみても、やっぱりおとなしい。
物音も立てず気がつくとそばにいる、なんてこともしょちゅうあるような地味さである。けれど、アツい思いを持って、入社当初から変わらずチェックチームに所属し続ける彼の正体に迫りたいと思う。
チェックするために生まれてきた男
思い起こせば彼との出会いはさかのぼること2008年。当時は、私もチェックチームに在籍しており、上司より、
「今度の土曜日に、カトちゃんの知らない地味な男が隣の席に座っていると思うけど、気にしないで。でも林さんの知り合いだから。」
という噂を事前に聞いていた。
社長の知り合い?!と少し緊張していた私が出社すると、その男はひっそりと私の隣の席に座っており、やさしい笑顔で会釈をしてくれた。
そして挨拶を交わしたのだが、流れるような早口と滑舌の悪さで、何を言っているのかよく聞き取れなかったことを覚えている。
当初はコーダーになる勉強をする予定であったが、今のチェックチームの前身である部署に配属され、今となってはチェックひとすじ8年目。
私も含め当時のチェックチームのメンバーは、取締役や営業、他部署へと活躍の場を広げていったが、彼だけはチェックの道を貫き通したのだ。
去っていくメンバーにさみしさを感じつつも、「チェックに向いているのは自分。当初のメンバーがいなくなった今、自分にしかできないことがある」との思いで、道をそれることがなかったのである。
村上なくしてモノサスのチェックは成り立たない!と思えるほど緻密なチェックぶりは、「マロチェック」と恐れられるほど。
1ピクセルのズレも見逃さず、本人も「まるで重箱の隅をつつくような」と言っているが、チェックは彼の天職と言えるのではないだろうか。
どうしてそんなにチェックが好きなのかと聞いてみると、
「昔からイタズラ好きで、間違い探しが好き。絶対に何かを見つけてやろう」という根性があふれてくるのだそう。
あれから数年、今では10名ほどのメンバーをとりまとめるリーダーとして、チームメンバーをサポートする日々を送っている。
マロの原点をたどる
生まれは熊本、4人兄弟の長男。幼いころは、人見知りしてすぐに泣いてしまい、なかなか母離れできなかったという。
周囲からは、ハーフっぽいと言われ、実はかわいいと評判であった。
昔からがむしゃらに勉強した記憶がなく、「勉強が趣味」と言ってのけてしまうような頭のいい少年だった彼は、中高一貫の男子校を卒業後、一浪して京都の大学に入学。
そこで、良くも悪くも?今後の人生を変えることになる、代表の林と出会うことになったのだ。
この頃の話を始めると、何かもったいぶったような、でも急に饒舌な口調になり、当時の様子を語り始めた。
本来であれば、同級生の林と村上。残念ながら村上が一浪しているため、所属するグリークラブ(男声合唱団)では、1年上の先輩として林が君臨していたと言う。
週5で練習を行う、上下関係が厳しい男性社会のクラブ。度々行われるシリアスな会議のあと、とある先輩が場を和ませる意味で発した言葉。
それが
「なんかおまえ、マロ(麿)やな」
麿とは、その昔、公家などが男性名に使っていた名称でもあるが、確かにマロは“マロ”である。
こうして、新人さんから古株までみんなが慣れ親しんでいる、“マロ”というあだ名が誕生したのである。
気になる当時の林とのエピソード。
彼が発した第一声は、「林さんには、ずいぶん泣かされました」
本当に涙を流していたんだそう。
定期演奏会に出るためのオーディションで、期待されていたにもかかわらず、うまく歌えないことで、何度も何度も林に叱られていた。
しかしそんなとき、林が当時住んでいた下宿先で合格するまで練習につき合ってくれ、さらにはパスタを振る舞ってくれたのだとか。
スパルタな中にも、今でも続く愛情あふれる先輩と後輩の関係が築き上げられたのだろう。
ときは流れ、大学卒業後も数年間フラフラしていた彼に、
「東京に来ないか?」と声をかけてくれたのも、林だった。感謝してもしてきれないだろう。
自慢の美声を披露する村上(右)。メンバーの誕生日にはバースデーソングを歌ってくれることも。
最も感謝された男
モノサスでは毎朝、朝礼が行われる。
メンバーが順番で司会を行うのだが、その中で「今月の感謝」というコーナーがあり、司会者が今一番感謝したい人へ感謝の言葉を述べるのだ。
昨年の納会で行われたモノサスアワード(2015年12/28の記事)の番外編で、昨年1年間で最も感謝された人が発表されたのだが
何をかくそう村上が感謝された人No.1なのである。
特に昨年は、対応に困っていたチームメンバーのために、全力でサポートに回る姿がよく見られた。
おかげでほとんどのチームメンバーから感謝の言葉をもらったのではないだろうか。
しかし逆に彼は、メンバーから多くの助けをもらっているという。
ときに案件がつまっていると、寝る間も惜しんで徹夜し土日も出勤し、会社に住み着いているのではないかと思われるほど、村上を見ない日がない。
髭は伸び、食事もとらず痩せてしまった村上を見て、チームメンバーはいつもリーダーの健康面を心配し、フォローもしてくれるのだ。
「やさしすぎるんです」
と本人も言ってしまうほど、周囲にいじられがちな村上をサポートするメンバー。
そこにはいざというときは団結してパワーを発揮するチームの姿がある。
これは暗黙のうちに作り上げられた、新たなリーダー像とも言えよう。
今後の村上は、
「もっともっとチームメンバーと向き合い、積極的に交流を図っていきたい。
そして今以上に主体性を持って案件を進められるチェックチームにしたい」
と語ってくれた。
モノサスでは、ボケとツッコミの関係が定着している村上と私であるが、今回久しぶりに長い時間、彼と話すことでさまざまな一面を知ることができた。
最後に、
「実は、元来自分は、目立ちたがり屋なんです」
と発した彼の言葉に驚きを隠せなかったものの、なるほどなぁと思わせる部分がたくさんあり、なんだか妙に納得ができたことを伝えておきたい。
機会があれば是非、彼にバースデーソングをオーダーしてみてほしい。
事前にきちんと練習をして、アナタのもとで美声を響かせてくれるに違いない。