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Feb,2016
ものさすサイト事務局
投稿者:ものさすサイト事務局

2016年02月17日

ものさす式オフィスのつくり方
〜オフィスに出会うまで編〜

ものさす式 DIY

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投稿者:ものさすサイト事務局

モノサスのオフィスは「会社っぽくない」とよく言われます。
代々木駅から歩いて10分、住宅街の一角にある、大きなアボカドの木が生い茂る中庭とそれを囲む3棟の木造家屋、そこがモノサスのオフィスです。

以前からこの場所を知っていた社員のひとりは、びっしりと蔦におおわれた外観を見て、ひそかに「トトロハウス」と呼んでいたとか。

昭和26年頃に米軍将校向けに作られた後、建築デザイナーのアトリエ兼住居として使われていたこの建物には、大きな天窓や、テラコッタ敷きの床、壁一面の棚があります。古いですが大切に使われてきたようです。

かく言う私も、このオフィスの佇まいにひかれ、モノサスの門をたたいた1人(もちろん建物だけが理由ではないですが;汗)。実際に働いてみて、ここならではの過ごし方や日々の習慣があり、面白さを感じています。

それにしても、会社っぽくない、まるで「家」のようなこのオフィスに、どんな経緯で巡りあったのでしょうか。
物件をみつけてきた代表・林と、オフィスの家具などを手配していた降旗に、当時のことをインタビューしてみました。

こころに浮かんだのは
部室のようなオフィス

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ーこのオフィスに巡り会うまで、どんな風に物件を探していたんですか?

 あの頃は自分も未熟だったので、どうしていいか分からず「数撃ちゃ当たる」方式で、ひたすら物件を調べていました。
山手線圏内・坪数で条件を絞って、シラミ潰しで結構な期間みていたかな。おそらく2年くらい。とうとう不動産屋ばりに物件情報に詳しくなっちゃって。
不動産屋との打ち合わせで物件を紹介された時、「あのビルは知ってますからダメです」とか言うもんだから、びっくりしてたね。

(一同・笑)

 オフィス探しって大変なんだよ、それこそ自分の足を使ってね...。
内装もこだわるとすぐに何千万とかかるし、立地のいい青山とかだと、坪単価がここの倍くらいする。お金をかければいくらでもいいオフィスってできるんだけど、こちとらお金がない(笑)。だから内装にお金をかける必要がなくて坪単価が平均並みの物件を探して、ひたすら歩きまわっていたと...。

ー 2年以上かけて、ついに出会った場所。ここに決めたポイントはなんだったんですか?

 見た瞬間決めたよね。すごいインパクトがあった。エントランスに植物が繁ってて、「南国だ!」と(笑)。
はじめから一軒家にこだわっていたわけじゃないけど、オフィスというより「家」って感じがいいなと、その時思いました。実際、高層ビルとか全然イメージしてなかったし。

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内見当時の様子

ー 「家っぽくていいな」と思った理由とは?

 まだ会社をつくったばかりの頃、ちょっと気持ちが弱って、いろんなことが嫌になっちゃった時期があったんだよね。そんなある日、打ち合わせの帰りに電車を途中で降りて、桜みたさにふらふらっと大学に入ったことがあってね。そのとき、ふと大学時代の部活のことを思い出して。
部室ってさ、誰も来いって言ってないのに人が集まってるじゃん。みんな用もないのに部室に来たがるんだよね。で、好き勝手にやってる。

それを自分の会社に置きかえた時に、
「みんな会社に来たいって思っているんだろうか。
できれば、会社にいたくないとか(笑)そんなことを考えてる人、いるんじゃないかな」
と思って。たぶん自分自身がそうだったんだよね。

そう考えたときに、オフィスが部室みたいになればいいな、みんなが来たくなる場所にしたいな、とふと思って。それが、今の「家っぽいオフィス」につながっているんだと思う。
 

みつけたものの...
申し込むために必要なお金が足りませんでした

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east棟、west棟の間の通路

足掛け2年、探しに探してついに出会った千載一遇の物件。ラッキーなことに、申し込みも1番手。早速契約だ!といきたいところでしたが、実は当時、契約金を一括で払うお金が手元になく...。比較的好条件だったとは言え、敷金、礼金、前払い賃料、仲介手数料等を入れると、賃料の7ヶ月分ほどの現金が必要でした。しかも申し込み者は他にも続いていて、うかうかできない状況だったとのことです。

 八方手を尽くしてお金をかき集めたけど、そんな大金がすぐに集まるはずもなく。1ヶ月ほどあれば大体算段はつくのだけど、数日以内に目処が立たないと、交渉権は2番目の会社さんに移ってしまう。どうしたものかと考えあぐねた結果、思い切って大家さんに正直にお願いすることにしました。

内見の時にも、運良く大家さんと話す時間をいただいて、大家さんが留学していた大学と僕の大学のカレッジソングのメロディが一緒、なんて話で盛り上がったりして。そんなご縁もあり、この大家さんだったら話を聞いてくれるかも、と思ったんです。

そこで、自分がいかにこの物件に惚れ込んでいるかを20分間くらい語りまくった(笑)。「この物件にどうしても入居したいです。でも今はお金がちょっと足りません。申し訳ありませんが1ヶ月だけ待ってください。」と、物件への思いと自社の状況を正直に伝えてみました。
間に入ってくれた東京R不動産の担当の方が粘り強く交渉してくれたこともあり、最終的には大家さんから「あなたを信じます」というありがたいお言葉をいただいて、無事契約することができました。

ー 正直に、真剣にお願いしたのがよかったんですね。想いが通じてよかった。

 あんまり褒められたやり方ではないけどね(苦笑)。でも、決まった瞬間は嬉しかったなあ。粘り強く交渉につきあってくれた東京R不動産の方、そして何よりも大家さんには本当に感謝しています。


部室のような、家のようなオフィスで
変わったこと

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エントランスの様子

ー ようやく手に入れた今のオフィス。広いキッチンにバーカウンター、大きなソファやダーツなど「会社っぽくないもの」があちこちにありますよね。
ここに引っ越してから、みんなに何か変化が起きましたか?

 面白いもので、オフィスとして作られた空間じゃないからこそ、「いかに工夫するか」ということをみんなが考え始めるんだよね。そうなると、既存のものを「変えていいんだ」という意識や、余白を積極的に利用しようという姿勢が育ってくる。こういうことって、どんな仕事にも必ず活きてくるから、そういう意味でも大きな収穫だと思う。

ー まさにモノサスのすき間の話にも通じますね。降旗さんはここに引っ越して何か変わった点はありますか?

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降旗 普通のオフィスに行くのとは違う感覚になったかな。入れ物がここっていう時点で、会社っぽくないというか。いや、会社なんですけど(笑)。
たまに雨漏りもするし、すき間風も吹くけど、ビルの一室にいるのとは、まったくちがうよね。「自分たちの場所」っぽくなるというか。わりと自由に物を置いたりできるし。

 それこそ部室じゃない?部員が勝手に物を置くとかさ、あるよね。

降旗 高校の部室に置いてある、代々読み継がれる漫画本とか?

 そうそう(笑)。だけど部室って、自分の場所(私物)ではないんだよね。パブリックでもないし、プライベートでもない。

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ー そんなオフィスだからこそ、みんな思い思いに工夫する、モノサスらしい今の社風が育ったのかもしれませんね。

 僕がそういう考え方をしてたからこういうオフィスに出会えたのか、このオフィスによってそうなったのか。結局わからないんだよね、どっちが先なのか。
ただ部室みたいな空間がいいなと思っていたのは、事実なんだよね。
 

まとめ
〜この場所がものさす式DIYのルーツになった〜

不動産屋もおどろくほど物件をシラミ潰しで探し、ようやく見つけた今のオフィス。お金がなくても工夫と努力で、こころに思い描くオフィスを手に入れたのでした。

また、ここに引っ越したことで変わたのが、みんなの「働き方」。

キッチンとバーカウンターがあることで、食卓を囲み、お酒を交わす、コミュニケーションの場が生まれ、大きなソファやアボカドの木がなる中庭は、仕事の息抜きや憩いの場となりました。壁一面に広がる棚に趣味のグッズを並べる人や、猫にゴハンをあげる人、お気に入りの植物を飾る人も。中庭に落ち葉がつもれば誰からともなくほうきで掃き、天窓からの日光が眩しければカーテンを手作りすることもあります。
こんな風に、ただ仕事をするだけのオフィスから、心地よく楽しい過ごし方を工夫できるオフィスになったのです。それは「働く」時間の中に「暮らす」ことが混ざりこんできたような感覚でした。

工夫次第で「暮らすような働き方」を実現できる、家のようなこのオフィスが、「ものさす式DIY」のルーツになったのかもしれません。

次回は、「ものさす式オフィスのつくり方 〜はたらきここちのDIY編〜」として、具体的に、このオフィスでどんなDIYがおこなわれてきたのかお伝えしたいと思います。

この投稿を書いた人

ものさすサイト事務局

ものさすサイト事務局(ものさすさいとじむきょく)

メンバーや関わる人たちといい血行をつくるには?いい仕事をしていくために、関係性を深めるには?を考えながら、モノサスの人や仕事を紹介しています。事務局メンバーはだいたい6人くらい。食べること好き多めです。

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