2018年08月

22

水曜日の投稿

岩木 香織
投稿者:岩木 香織
(プランナー/ ディレクター)

2018年08月22日

「やりたいこと」はあってもなくてもいい。
...んじゃないかな。

私たちの仕事は、社会とつながっているか。

岩木 香織
投稿者:岩木 香織(プランナー/ ディレクター)

こんにちは。プロデュース部の岩木です。
気がつけば長いこと社会人としてはたらいていますが、実はモノサスに入ってから、自分のなかにちょっと苦手な問いかけがあることに気づきました。

「岩木さんのやりたい仕事って何?」

こう聞かれると、一瞬かたまります。そしてモゴモゴと「うーん、何でしょうねぇ…」と口ごもり、スパッと答えられずダメな自分になったような気さえします。どうも自分は「やりたい仕事」を明確に描いて、そこを目指してはたらいてきたわけではないらしい。

「やりたい仕事」を答えられない自分はダメなのか。そう思ったこともありますが、いやいや待てよ、そういうものでもないだろう。これまでの仕事をとおして、感じてきた手応えや喜びもたくさんあるはず…。そんな仕事に対するあれこれを、自分自身を振り返りつつ考えてみたいと思います。

仕事は「やるべきもの」だと思っていた

モノサスは比較的あたらしい会社なので、メンバーのほぼ全員が転職経験者です。みんなの経歴は本当にさまざま。Web業界からの転職組もいますが、アパレル、飲食、出版、広告代理店などなど…いろいろな前職を経ています。

私も、大学を出てからずっと同じ企業(メーカー)ではたらいていました。就職活動時はバブルがはじけて数年後の超氷河期だったため、内定をもらうのにも一苦労。安定しててちゃんとした会社で転勤がなくて…好きだから、やりたい仕事だから、という軸で就職活動をしていたわけではありませんでした。

入社当初は、いわゆる一般事務職(当時は、総合職と一般事務職という区分がある企業が大半でした)仕事はほぼ定型業務。基本的に同じ仕事を何年もやり続けるため、正直、面白いかと言われると、私にとってはそうじゃなかった。「うーん、でもこれが仕事なんだから」と自分を納得させている感じでした。

その後、担当業務に変化があり、入社から10年過ぎた頃、地元の福岡から東京へ転勤。製品の広告・販売促進やマーケティング業務などに関わるようになり、社内外の人と連携しながらプロジェクトを進めていくやり方を学びます。

歴史も長く大きな組織、高度に分業化された環境のなかで、自分に与えられたミッションに取り組む日々。当時の自分にとって仕事は「降りてくるもの」で、そこに、やりたい・やりたくないという選択肢はなく「やるべきもの」でした。

「自分はこうしたい」が言えること

東京に来て数年経った頃、その会社で働きつづけるイメージがどうしても沸かなくなり退職へ。そこから少し時間が経ち、縁があってモノサスに入るわけですが、まずビックリしたのが「こんな仕事がしたい」と語る人が多いこと。一方で「これはイヤだ」「やりたくない」などと素直に口にする人が多いことでした。

え、仕事って「イヤだ」って言っていいの?

それまで、仕事に対して No を言ったことがない/言ってる人を見たこともない私にとっては、なかなかのカルチャーショック。当時はそんなのあり得ないと思っていましたが、「やりたい」「これはイヤ」などと素直に言えることが、すこやかでまぶしく見えてきたのです。

もちろん、自分勝手に好き嫌いを言うことではなくて、せっかくなら自分が目指す方向と合うものを選んだり、得意なことを伸ばしたり、新しいことにチャレンジしたり…。創業まもない会社だからこそ、人も仕事もどんどん変わっていける。そんな環境にワクワクする一方で、自分の仕事については特に「これがやりたい!」という強い欲求はなく、頼まれる仕事に次々と取り組む日々。時々ふと、「やりたいこと」がない自分はダメなんだろうか、などと考えていたものでした。

人から求められて「仕事」になる

モノサスではたらき始めて 5 年以上経ちますが、BtoB チームの立ち上げや Web 案件(ディレクションやプランニング、コンテンツのライティングなど)をはじめ、売上管理や部署の総務的なこと、多忙な上長をサポートしたり、神山ものさす塾(職業訓練校)やフードハブ・プロジェクトにも関わったり。今は、ものさすサイトの編集にも携わっています。

正直、自分の職種を聞かれるとモゴモゴします。社内のメンバーから「岩木さんが何をしているのか一番わからない」と言われることも度々です。いわゆる、デザイナーやコーダーなどの専門職とは違って…何というか「すきま産業」のような仕事なのかなぁと思いつつ、「何屋さん」でもない自分に対して心もとない気持ちになることも。しかし、あるときこんな言葉を聞いてハッとしました。

人に必要とされて、それは初めて仕事になる。

そうか、自分がやってきたことは「人に必要とされること」だったんだ。そして、「人から必要とされること = 自分が得意なこと」なんだと。なるほど!そうだったのか。私のなかに「やりたい仕事」は特にないけど、「得意で必要とされる仕事」は山ほどあったんだ。目の前にある仕事を大切にして、それを楽しむことができたら、今の自分としては上出来なんじゃないか。そんな気づきを得て、すごくラクになりました。

経験しないと「スキル」にならない

「やりたい仕事」がハッキリとある人は、そこに向かって突っ走っていけるといいし、それはとても素敵なことです。でも、もし、やりたい仕事ができなかったり、そもそもやりたいことが見つからずモヤモヤしている人がいたら、まず「目の前にある仕事にちゃんと向き合ってみる」のもいいんじゃないかなと思います。

仕事の不思議なところは「経験しないと身につかない」こと。どんなに熱意があっても、どんなに知識を学んでもそれだけでは足りなくて、そこに「経験」がないと、仕事のスキルとして通用しないことが大半です。

だからこそ、経験できる・味わえるというのは、「会社」という場所ではたらく魅力のひとつなんじゃないかなと(なかば強制的にやらざるを得ないので)。自分が特にやりたいことじゃなくても、目の前の仕事に誠実に向き合って、コツコツとボールを返しているうちに「得意なこと」が増えていく。その結果、求められる仕事の幅が広がって、ふと気づいたときには「自分がやりたい仕事」が見えてきたり、そこに近づいているかもしれない。(もしくは「これは違う」とハッキリわかることもあると思います)

私も、最初の会社で総務、経理、物流、営業事務などを10年近くやったことが、企業の成り立ちや仕組みなど社会のあれこれを理解することに繋がり、はたらくうえでの基礎体力になっています。決して「やりたいこと」ことではなかったし、当時は満たされない思いもあったけど、でもその経験をはじめ、その後に携わった広告・販売促進やマーケティングなどすべての経験が、今モノサスでの仕事にさまざまな形で活かされているのを感じます。

なんというか、そう、すべての経験が「仕事力」になるというか。何かを目指してきたわけじゃなくても、真剣に向き合っていればその分だけ道は拓けていく(と思う。たとえ、そのスピードがゆっくりだったとしても)。これは、周りの人たちを見ていても感じます。目の前の仕事に誠実に向き合う人は、結果的にたくさんの人から求められるようになっている。仕事って誤魔化せないものだなぁとしみじみ思います。

そして今日もボールを

やりたいことがあるって素敵です。
そこに向かっていく姿はキラキラとしています。

でも、やりたいことがないからといってダメなわけじゃないし、
やりたいことをやれてない自分が輝いていないわけじゃない。

いまだに「やりたい仕事」が特にない私ですが、いずれは、やりたいことが見えてきて、そっちにシフトする日がくるかもしれません。それまでは「得意なこと」を活かしながら、求められる仕事に向き合って、いい仕事ができるといいな。そんなことを思いながら、今日もボールを返し続ける日々です。

あ、ちなみに、モノサスで働くようになってから、「やりたくないこと」は言えるようになりました。自分にとっては大きな進歩です。

この投稿を書いた人

岩木 香織

岩木 香織(いわき かおり)プランナー/ ディレクター

モノサスに入ってなぜか方言解禁の福岡育ち。博多弁でしゃべるとリラックス。「こげん東京で働くとか思わんかったけど、みんなで笑いながら仕事しよるけん頑張れるっちゃん」な毎日です。

岩木 香織が書いた他の記事を見る