MONOSUS
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まず愛することを大切にする。デザイナー/アートディレクター いすたえこさん

こんにちは。編集者 / バックヤードウォッチャーという肩書きで、さまざまな仕事現場や舞台裏を取材している今井夕華です。

私は美術大学を卒業してから、求人サイト「日本仕事百貨」に入社し、そこでモノサスの皆さんと知り合いました。

イベントなどでご一緒するうち、気付けばもう10年ほどのお付き合いに。

代表の眞鍋さんは、会うたびに「久しぶりじゃん!元気ー?」と気に掛けてくれて、なんだか親戚みたいな距離感で嬉しいなと思っています。

この記事でご紹介するのは、グラフィックデザイナー / アートディレクターのいすたえこさん。ポップでカラフルなデザインが特徴的で、東京都現代美術館や LUMINE、「女芸人No.1決定戦 THE W」などの広告にも携わっている方です。

私とモノサスの関係性を「親戚」のようだとするならば、いすさんとモノサスは「ほとんど家族」のような距離感。

パートナーの林洋介さんがモノサスで働いていることに加えて、テクノロジーとアートを掛け合わせたイベント「DIG SHIBUYA」や、キノコを通して都市を耕すプロジェクト「KINOKO SOCIAL CLUB」など、モノサスの複数のプロジェクトに携わり、京都やタイオフィスのメンバーとも仲良しなんです。

作品のパワフルな雰囲気に負けないくらい、愛と好奇心に満ち溢れた素敵な人柄のいすさん。インタビューでは、これまでのお仕事をはじめ、モノサスとの関わりや、活動のなかで大切にしていることについて深掘りします!

いすたえこ(いす・たえこ)さん

北海道生まれ Art Director Graphic Designer
広告、装丁、ブランディング、WEB、空間ディレクションなどのアートディレクションを手掛ける。期間限定ショップ「フィジカルテンポ」「POVストア」を各地で企画・運営。□□□(クチロロ)「CD」のアートディレクションで TDC RGB 賞受賞。アクセシビリティに特化したオンライン上の劇場「THEATRE for ALL」GOOD DESIGN 賞受賞。2023年から女子美術短期大学 非常勤講師を務める。2025年地域のコーヒーかすからキノコを栽培する FACTORY と、収穫したキノコを料理して提供する CAFE が一体となった KINOKO SOCIAL CLUB の OPEN に携わり、2026年改装中の藤井大丸で「KINOKO SOCIAL CLUB Culture Pop Up Kyoto」開催。

情報量が多い渋谷には、あえてシンプルなデザインを

ー まずは、グラフィックデザイナー / アートディレクターを目指したきっかけから教えてください。

いす:北海道出身で、地元に唯一あるセレクトショップがユナイテッドアローズだったのですが、そこで見た葛西薫さんの広告が好きだったんですよね。両親が公務員だったので安定しないデザインの仕事をよしとしていなかったのですが、数年間ならという条件付きで東京に出てきました。

かなり燻っていたタイミングで、アートディレクター・松本弦人さん主催のお花見があり、知り合いが誰もいない状態で意を決して乗り込んで(笑)。そこでデザイナーの宮村ヤスヲさんに、イラストレーターやフォトグラファー、編集者などさまざまな方を紹介していただきました。翌年の花見で知り合った編集者 伊藤ガビンさんのボストーク株式会社では、電話番から働かせてもらい、少しずつ活動の幅を広げていった感じです。

テニスコートの神谷圭介のソロ演劇プロジェクト「画餅(えもち)」
いすさんが企画立ち上げから携わっている、テニスコートの神谷圭介のソロ演劇プロジェクト「画餅(えもち)」。キャストをはじめ、スタイリスト、ヘアメイク、カメラマンらとチームになってセッションのようにつくり上げていくのが楽しい。
「女芸人No.1決定戦 THE W」のポスター
2024年に開催された「女芸人No.1決定戦 THE W」のポスター。過剰な演出はせず、本人たちのありのままの魅力が出るようディレクションした。足腰げんき教室のお二人は、事前にポージングを考えてきてくれてやる気マンマン。

ー モノサスとご一緒した「DIG SHIBUYA」のデザインについて教えてください。

いす:「DIG SHIBUYA」は2024年から始まったテクノロジーとアートを掛け合わせたイベントで、初回からデザインを担当しています。渋谷区が共催で入っていることもあり、街頭ビジョンやポスターなど、大規模な広告ジャックをできたのが嬉しかったですね。

以前、広告代理店に勤めていたときはジャックするような仕事もあったのですが、フリーランスになってからは、なかなかこの規模で出来る機会が少なくて。

実際に設置されてから撮影をかねて見に行ったのですが、私がつくったデザインがビジョンやポスターという媒体に載って、街中をジャックしている様子はなんだか感動的でしたね。目立っていたし「本当にジャックしてるわ……!」って。

ー 派手な色味もかっこいいですよね。

いす:これは、韓国に遊びに行ったときに見たポスターからインスピレーションを受けています。アートフェスティバルのポスターが、ずらっと並べて貼り出されていたんですけど、色面に文字がちょっとだけ入っているという本当にシンプルなデザインで。今は情報がすごく多いから、シンプルであればあるほど逆に目立つんだな、という印象でした。

それで、DIG SHIBUYA の提案をするときも「渋谷って特に情報量が多い街だから、もしかしたら白黒でもいいくらい、シンプルにするのはどうでしょう」と話したんです。イベントのコンセプトでもあるデジタルらしさ、という意味で蛍光緑のネオンカラーをまず採用して、それに合うブルーの2色に決まりました。

DIG SHIBUYA 1
DIG SHIBUYA 2

パートナーがきっかけで、タイのオフィスにも出入り

ー モノサスとご一緒することになったのは、いすさんのパートナーであるモノサスの林洋介さんがきっかけと聞きました。

いす:林くんはもともとプログラマー / デザイナーとして、HAUS(ハウス)というユニットを組んでいました。そのユニットごとみんなでモノサスにジョインすることになったのが2023年春。以前から面白いことをやっている会社だなーと思ってはいて。

最初に一緒に仕事をしたのは、2020年に銀座ソニーパークで、モノサスが運営する食料品店「かまパン&フレンズ <ナチュラル物産館>」がポップアップ出店していたときだと思います。たまたま同じ時期に、同じ施設のなかで開催した、映像(ビジュアル)を一切使わず、「聴覚(音)」だけでプレイするゲームセンター『AUDIO GAME CENTER +(オーディオゲームセンタープラス)』という企画にデザインで関わっていて。

せっかく同じ場所で開催しているんだからコラボしようと、音で選ぶハンバーガー『AUDIO BURGER』をかまパン&フレンズでつくることになったりして。そんな関わりを経て、2024年の DIG から継続的にご一緒しているという流れです。

林くんは少し前からモノサスタイランドのバンコクオフィスに駐在していますが、私もタイのカルチャーが大好きなので、今がチャンス!と定期的に行っています。雑貨や T シャツを見るのも楽しいし、最近は呪物ショップがすごく面白かったですね。タイのモノサスメンバーにも仲良くしてもらって、気付けば私も社員のような振る舞いになっていました(笑)。

キノコっておもしろい!好奇心と愛で、周囲を楽しく巻き込む

ー 現在は、キノコを通して都市を耕すプロジェクト「KINOKO SOCIAL CLUB」にも精力的に関わってもらっていますよね。

いす:そうそう。私、キノコがずっと好きだったし、お店を立ち上げることにも興味があって、林くんにも「なにか手伝いたい」って言ってたんです。モノサスのみんなは Web のチームなので、紙や印刷物の部分でサポートという形で初期から関わらせてもらいました。コンセプトを表した”曼荼羅”や、キノコの栽培キットのシール、お店のメニュー表など、さまざまなデザインをつくっています。

キノコ曼荼羅というのは、KINOKO SOCIAL CLUB がどういったものなのか、ということを色んな言葉で表現したもの。単なる飲食だけではなくて、アートやカルチャーも視野に入れつつ、未来で挑戦したいことも全部引っくるめて、活動について一目でわかるようにしました。私が一人でつくったわけではなくて、チームのみんなで話し合ってまとめたものを、私が清書した感じですね。

KINOKO SOCIAL CLUB 曼荼羅 1
KINOKO SOCIAL CLUB 曼荼羅 2

ー 2026年10月30日からは、京都でのポップアップストアも始まりますね。

いす:大好きな作家のみなさんに声を掛けて、イラスト、刺繍、立体作品などでキノコを表現してもらいます。会期中には、キノコ好きと話せる角打ちイベントや、キノコ観察会も開催する予定で、私自身とっても楽しみです!

会場は、京都の百貨店・ FUJII DAIMARU の正面玄関前。もともと渋谷 PARCO で店長をしていた平松有吾さんが声を掛けてくれました。平松さんとはもう長い付き合いですが、ここ最近何度か偶然会ったり、平松さんの著書の出版記念イベントに行ったりしているうちに「何かやってみない?」と誘っていただいて。

最初は PARCO 時代に平松さんが初期から一緒に盛り上げてくれていた「PHYSICAL TEMPO(フィジカルテンポ)」という企画にしようかとも考えたのですが、ちょうどキノコを使ったクラフトコーラ「KINO COLA(キノコーラ)」が完成したタイミングで。それならばと、キノコに特化した企画に振り切ることにしました。KINOKO SOCIAL CLUB としては、ポップアップをしたいという思いもあったし、活動初期から ZINE をつくりたいねと話していて、今開催に向けていろいろと準備しているところです。

KINO COLA(キノコーラ)

ー いすさんからポップアップの話を持ってきてくれて、KINOKO SOCIAL CLUB の活動を本当に楽しんでくれているんだと感じました。

いす:KINOKO SOCIAL CLUB って、私のなかで結構大切な存在で。巻き込まれて巻き込んで、どんどんこの活動が広がっていけばいいなって思っているんです。

会場の下見に行ったときには、京都のモノサスチームにお世話になって「接客が好きだからポップアップを手伝いたい」と言ってもらったんです。こちらからのお願いではなく申し出てくれたことが、もう嬉しくて嬉しくて。みんな楽しみながら関わってくれるのがいいですよね。

京都の友達たちも協力してくれて、本屋さんやきのこのお菓子をつくっているお菓子屋さんに声を掛けてくれたり、最近仲良くなったアーティストにキノコモチーフの作品を新しくつくってもらったり。面白い展開になっています。

ー お仕事をしていて、一番楽しい瞬間はいつですか?

いす:やっぱり撮影かな。フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイクなど、それぞれのプロフェッショナルが集結して、クリエイティブがぶつかり合って良いものが出来上がる瞬間、というのが好きです。決して一人ではできないし、好きな人たちと一緒にやれたら幸せですね。

働くうえでは、まず愛するということを大切にしています。好きになった方が楽しいし、たとえばアーティストだったら、昔のエピソードや、ファンがどんなポイントを見ているのかを調べる。「よく見るとファンの人にしかわからない要素がこっそり入っている」とかも楽しいですよね。

対象物はもちろん、周囲の人間にも、リスペクトと愛情を持って臨むいすさん。KINOKO SOCIAL CLUB の活動では、いすさんのキノコ愛を存分に感じることができます。京都でのポップアップストアも鋭意準備中ですので、お近くの方はぜひ遊びに来てくださいね!

今井 夕華

1993年群馬県生まれ。多摩美術大学卒業。求人サイト「日本仕事百貨」で企画編集を経験し、2020年独立。アーティスト、研究者、専門家、職人さんなど「何かが大好きでたまらない人」たちの専門的な話を分かりやすく伝えるのが得意。店舗や企業の「バックヤード」を見るのが好きで、近年の実績に、TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」出演や、Web連載「今井夕華のバックヤード探訪」などがある。