こんにちは。神奈川県の山奥、築100年近い古民家で暮らすライターの平川です。マガジンの記事を担当するのはすごく久しぶり。これからもひょこひょこ登場予定ですので、みなさまどうぞよろしくお願いします。
そしてこちらも久しぶりの更新となる「自由と責任」。ご紹介するのは、2013年に入社し、2021年から沖縄に移住してフルリモートで働くデザイナーの河原崎平さん。河原崎さんは、Web&デジタルソリューションの仕事を中心に、多くのデザイン制作を担っています。近年は、仕事でもプライベートでも、映像制作に挑戦し、賞を受賞したこともあります。
比較的自由な働き方ができるモノサスでも、フルリモートで働く社員はそれほど多くありません。自宅の一室で、まさに「自由と責任」と向き合うように働く河原崎さんの仕事への姿勢や働き方について伺いました。
ちゃんとしてそうな会社だなと思った
平川 入社は2013年なんですね。
河原崎 そうですね。入社した頃はまだ20代でした。前の会社はデザイン系の制作会社でしたが、紙媒体がメインだったので、もう少し幅を広げたいと思って辞めたんです。職業訓練校で半年間Webデザインを学んで、その後にモノサスに入社しました。
平川 モノサスに応募したきっかけは?
河原崎 前にいた会社は、社員が10人もいなかったんですね。だからもう少しいろいろな人がいるところで、視野を広げて仕事がしたいなと思って、人数が多そうな会社を探していました。モノサスの求人を見つけたのはたまたまだったと思いますが、確か「ちゃんとしてそうな会社だな」って思った記憶があります。
平川 そして無事採用されたと。
河原崎 最初は運用チームのアルバイトで入りました。運用チームは、月々決まった金額をいただきながら、お客さんのWebサイトの運用更新をやるチームです。そこではデザインはもちろん、ディレクションも、簡単なコーディングもやらせてもらいました。
平川 デザイン以外の仕事にも違和感なく取り組めたんですか。
河原崎 与えられた仕事は、きっちりやりたいと思っていました。それに、ディレクションとデザインは境界線が曖昧なので、むしろ学ぶべき仕事だな、とも。当時の運用チームは班制度があって、僕はわりとすぐ班長になって、採用にも携わらせてもらいました。
平川 社員になったのはいつ頃なんですか。
河原崎 入社して1年後ぐらいだったと思います。運用チームには2年ぐらいいて、その後にデザイン部へ移りました。運用チームでは1からデザインをつくる機会があまりなかったんですね。それだとのちのち経験不足で厳しくなるだろうと思っていたので、1からつくる仕事もやりたいと周囲に言うようにしていました。そうしたら、人が動く時期に合わせて、デザイン部に配属となりました。
最近はメインのお仕事のひとつでもある、BtoBサイトのリニューアルに携わっています。数年前に担当したお客さんからバイネームで別のプロジェクトの案件をお願いされたり、もう1回リニューアルをお願いしたいとリピートしてもらえることも多くなってきました。素直に嬉しいですね。
大切なのは「お客さんの話をちゃんと聞くこと」
平川 河原崎さんがいいデザインを生み出すために、大切にしていることや心がけていることはありますか。
河原崎 「お客さんの話をちゃんと聞くこと」ですね。まず、お客さんの会社についてあらかじめ調べてからヒアリングに臨みます。そこからお客さんが何をしたいのか、何を求めているのかが見えてきて、デザインのコンセプトが浮かんできたり、やるべき方向が見えてきたり、ヒントが得られるんです。それをヒアリングでさらに深めて、デザインとして具現化していくというフローでやっています。
平川 デザインする前段階こそ大切だというか。
河原崎 そうですね。半分以上、手を動かす前に決まっていると思います。もちろん、その段階で全部が見えているというわけではありません。ただ、何も調べないで手を動かしているだけだと、意味として成り立っていないものしかできないというか。ちゃんとお客さんのことを知って、直接ヒアリングをしたものを意味づけてデザインしていかないと、デザインとは言えないんじゃないかなと。
平川 話を聞く大切さに気づくきっかけはあったんですか。
河原崎 当時、デザイン部には外部パートナーとしてモノサスにジョインしていた上司的な人がいて。その人が、まさに話を聞くということをすごく大事にしている人で、どういうフローでデザインをつくっていくのかを学ばせてもらったところがあります。実際、インプットを大切にするようになってからのほうがお客さんからの反応が良くなりました。
平川 河原崎さんは、淡々と仕事をしているというか、いい意味で感情の起伏がない安定している人というイメージがあって。それは意識してそんなふうにしているんですか。
河原崎 どうなんだろう。僕は感情的にバトルするのが苦手で、一緒に仕事をする以上、楽しく仕事がしたいと思っています。だから、あまり感情を波立たせないようにしているところはあるかもしれません。特にフルリモートで仕事をしていると、やり取りがオンラインだけですよね。そこでやりづらさが生まれてしまうと、自分の存在価値が薄れると思うので、丁寧にやりとりしたいと思っています。あと、自分の機嫌は自分でしか取れないじゃないですか。落ち込んだときもなるべく早く寝たりして、ひきずらないようにしていますね。
移住して4年。沖縄での暮らしと働き方は?
平川 今、フルリモートで仕事をしているというお話が出ましたが、河原崎さんは4年前に沖縄に移住されたんですよね。
河原崎 奥さんが、仕事の関係で、東京から沖縄に異動することになったんです。最初に言われたときはびっくりしましたが、人生で1度ぐらい沖縄で暮らしてもいいなと思って一緒に行くことにしました。それが2021年8月です。ちょうどコロナ禍で、リモートで仕事するのがスタンダードになりつつありました。それより前なら無理だったかもしれないけど、オンラインミーティングがデフォルトになっていたし、仕事もリモートでまったく問題なくやれていたので、会社にもOKしていただきました。
平川 どうですか、沖縄の暮らしは。
河原崎 楽しくやれていますし、行ってよかったなと思っています。海が近くにあって、それこそ海を見に行くだけでも気分転換になります。あとは沖縄って湿度がすごく高いんですね。僕はすごく肌が弱くて、東京にいるときは、季節の変わり目に肌がボロボロになっていたんです。でも沖縄に行ってからは湿度のおかげで肌トラブルがほとんどない。そこから解放されただけでも、ずっと沖縄に住み続けたいと思っているぐらいです!
平川 仕事はどんなルーティンでやっているんですか。
河原崎 平日は朝9時か9時半ぐらいから仕事を始めます。ちゃんと時間を決めて切ったほうがいいとは思いつつ、終わりの時間は決めずにやってしまうことが多いですね。リモートで働く良さは、オンラインの打ち合わせ以外の時間は、制作だけに集中できるところ。もちろん、それができるのは、チームのメンバーに助けられているからだとは思っています。
河原崎 デメリットでいうと、雑談する機会が減ったなというのがあって。代々木のオフィスで仕事をしていたら、打ち合わせが終わった後に別の話をしたり、一緒にランチを食べに行ったりするじゃないですか。でもオンラインの打ち合わせだと、仕事の話をして終わりなので、雑談が生まれない。それこそ浦島太郎状態で、代々木のオフィスで起こっている出来事を全然知らなかったりします。最近は、1度も会ったことがない新しい社員さんも増えていて。そういう寂しさはありますね。
平川 それってクリエイティブにも影響があったりするんですか。
河原崎 クリエイティブに影響するというより、精神的な部分の問題かなと思います。そう感じている以上、自分から動くべきだとは思ってはいるのですが…。今は年4回ぐらいしか東京に来ていないので、もう少し増やしてもいいのかなとは思います。
趣味で始めた映像制作が少しずつ仕事に
平川 最近取り組んでいるという映像制作の話も伺わせてください。これはモノサスの仕事とは別でってことなんですよね。
河原崎 そうですね。完全に趣味からのスタートです。昔から映画やMVを観るのが好きで、映像制作には興味があったんです。6年ぐらい前にドローンが普及しだしたとき、値段を調べてみたら思ったより高くなかったので、買って撮影してみたらすごく楽しくて。ソニーのカメラも買って、自分で映像を編集してYouTubeに上げたりしているうちに、すっかりハマりました。
平川 今は仕事でも映像制作することはあるんですか。
河原崎 個人的に、友だち伝いで頼まれてつくるみたいなパターンがほとんどで、モノサスの仕事として映像をつくる機会は少ないですね。ただ、モノサス関連だと、パン屋塩見の映像や周年イベントで毎年開催している運動会の動画、あとはマリオネットを趣味にしている馬場さんと一緒に映像作品をつくったりしました。
河原崎 そういうのをYouTubeにアップしていると、思わぬところからお声掛けいただくこともあるんです。カメラメーカーさんから、発売前の新製品を貸すので作品を撮ってくれませんかってお話をいただいたり、ビデオグラファー向けの専門誌のWeb版で、同じように新しい機材を使ってレポート記事を書くっていう依頼を受けたり。
平川 なんとライターデビューもしているんですね。
河原崎 もともと僕、文章書くのは得意じゃなかったんです。でも以前モノサスサイトがリニューアルしたときに、社員が順番に毎日記事を投稿することになったんですね。当時はすごく大変だったんですけど、そのときの書くという経験がとても役に立っています。もっと言うと、文章を書くのって、考えていることを言語化して提案書をつくるにも必要なスキルなので、デザイン制作にも生きているなと感じます。
平川 ちゃんと今につながっているわけですね。今後やってみたいことはありますか。
河原崎 もともとあれしたいこれしたいというタイプではないんですよね。ただ、せっかく沖縄にいるので、沖縄で暮らしているからこそできる仕事や沖縄に携わる仕事ができたらいいなとひそかに思っています。
翌日のモノサス大運動会に参加するために、久しぶりに東京に来たという河原崎さんと直接お会いしました。情熱的というわけでも、かといってクールというわけでもなく、こちらの言葉を受け止めて柔らかに打ち返してくれる様子は、凪の海のよう。きっとクライアントとの打ち合わせもこんなふうに訥々と心地よく時間が流れているのだろうなぁと思いました。対話の波が行き来するうちに「意味」は見つかり、それが形となって浜に辿り着く。その穏やかさとその中に潜む確固たる強さが、遥か遠くの沖縄にあっても、チームの雰囲気の一端をつくり出しているのだと思います。

