働く人や暮らす人の健康を食で支え、日本各地の生産者も支える「公益食堂」

Summary
東京・九段下駅から徒歩1分、劇場や宴会場として長く愛されてきた旧九段会館に増築されたオフィスビル「九段会館テラス」。その一角でMONOSUS 社食研が運営している、心と身体の健康、職場でのつながりを実現する新コンセプトの社員食堂です。
コンセプトは、利益や効率のためだけでなく、そこで働く人や暮らす人の健康を食で支え、日本各地の生産者も支える「公益食堂」。提供するのは、全国の小さな農家から直接届くオーガニックな食材を中心にした、心と身体が喜ぶ“コンフォートフード”です。決まったメニューはなく、その日に届いた旬の食材を一番おいしく食べられる調理法で、一食一食丁寧に提供しています。
ビルに入居する企業の方々はもちろん、どなたでもご利用いただける「公益食堂」として地域に開かれたこの場所は、単にお腹を満たすだけの場所ではありません。食を通じてオフィスワーカーの健康を支え、生産者の営みと都市をつなぎ、働く人や暮らす人たちの間に新たなコミュニケーションを生み出す。そんなハブになることを目指しています。

Issue
当初、事業ディレクターの荒井のもとへ寄せられたテナント出店のご相談から、このプロジェクトは始まりました。私たちは、単なる店舗の出店ではなく、「ビル全体で共有できる社員食堂」というアイデアをご提案。国内企業の77.3%には社員食堂がないという現状に着目し、ビル全体の価値を高めると同時に、オフィスワーカーの健康的な食生活をサポートできると考えたのです。 日々のご利用者数が安定する社員食堂なら食数の予測が立てやすいため、小規模な生産者からも安定して食材を仕入れることができ、食のサプライチェーンにも貢献できるというメリットもありました。この提案は、東急不動産様の「健康経営推進に寄与するオフィスビル」というコンセプトと合致し、その実現に不可欠な存在として、プロジェクトが正式に始動しました。

Plan & Output
「三方よし」を追求した食堂づくり
プロジェクト始動後、私たちはコンセプトづくりの段階から参画しました。大切にしたのは「三方よし」の発想です。
- 利用者:健康的な食体験を提供
- 生産者:日本各地から適正価格で食材を仕入れ
- 地域:周辺地域にも開かれた、愛される場を創造
立地する九段エリアの歴史的・文化的背景を尊重し、地域に親しまれる存在となることを目指しました。また、ビルのコンセプトである「健康経営」を体現するため、世界的な潮流である野菜摂取の推進やプラントベースの考え方を取り入れたメニューを設計しました。
独自のメニューコンセプトと九段食堂の誕生
「さまざまな品目をバランスよく食べることが健康につながる」という考えから、定食スタイルを基本に据えました。一方で、栄養バランスを保ちにくい麺類は、周辺に専門店が多いことも考慮し、あえて提供しないという選択をしました。 こうして独自のコンセプトに基づいた九段食堂が誕生しました。


Result
こうした独自のコンセプト設計は、当初の想定を超える広がりを生み出しました。 価格帯は決して安価ではありませんが、他のビルに社員食堂を持つ企業や、区役所の食堂利用者までが九段食堂に足を運ぶように。オープンからわずか2年半で、1日あたりの喫食人数は180名から460名へと約2.5倍に増加しました。 当初、「高価格帯の定食は食数が伸びにくい」と懸念されていましたが、実際には定食の注文比率が6割を超えるという嬉しい結果に。さらに、利用者の約4割は一般の方々であり、特に近隣住民の方々に愛される場となっています。 私たちは、単なるビル入居者向けの食堂ではなく、地域に開かれた存在として新しい価値を創造しました。九段食堂は、「社員食堂」という枠を超えた、人と街をつなぐ場所として今も成長を続けています。

Information
概要
- 期間
- 2022年10月〜
- クライアント
- 東急不動産株式会社(合同会社ノーヴェグランデ)
- サービス
- 食堂・社食 ・カフェの立ち上げと運営/ケータリング
クレジット
- プロジェクトマネジメント
- 荒井 茂太
- 企画
- 眞鍋 太一
- メニュー開発
- 飯野直樹、細井恵子、高橋有希子
- 運営
- 武田典泰、青山涼菜、金巻陽桂
メンバー
- 荒井 茂太
- プロジェクトマネジメント

- 眞鍋 太一
- 企画

- 高橋 有希子
- メニュー・オペレーション開発

- 武田 典泰
- 運営

- 青山 涼菜
- 運営

- 金巻 陽佳
- 運営
