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Apr,2021
中嶋 希実
投稿者:中嶋 希実

2021年04月21日

やるって言ったから、がんばる。
かまパン&フレンズ<ナチュラル物産館>の弓削今日子

メンバー紹介

中嶋 希実
投稿者:中嶋 希実

みなさん、こんにちは。ものさすサイトの運営、そして銀座にある小さな無添加食料品店かまパン&フレンズ<ナチュラル物産館>のお知らせ係をしている中嶋です。

2020年11月末にオープンしたかまパン&フレンズ<ナチュラル物産館>には、全国各地のつくり手から、各地で親しまれている物産品や新鮮な野菜、パンなどが毎日集まってきます。

そのお店の真ん中にいるのが、店長の弓削(ゆげ)ちゃんです。

商品のセレクトやつくり手の方々とのやりとり、お客さまへのご案内、一緒に働くメンバーへの連絡、SNSの更新、売上管理...などなど、小さなお店にも関わらず仕事は盛りだくさん。周りの人と協力しながらニコニコと、そしてガツガツといろいろなことを進めていく弓削ちゃんには、いつも頭が下がります。

私が弓削ちゃんに出会ったのは、かまパン&フレンズ<ナチュラル物産館>を始める直前の10月のこと。今では入荷商品やつくり手を紹介する原稿をつくるため、毎週30分は電話で話す仲になりましたが、「仕事以外の話をゆっくりごはんでも食べながら」という時間はなかなかとれずにいます。

そんなある日の閉店後、片付けが一段落した店内で、つくり手から届いたクッキーをつまみながら話す機会がありました。モグモグしながら話した様子を通して、弓削ちゃんがどんな人なのかご紹介したいと思います。


- 食に関わろうと思ったきっかけはなんだったの?

私、野菜が嫌いだったんですよ。本当に好きじゃなくて。大学のときに、地元の三鷹でごはん屋さんのバイトを始めたんです。そしたらまかないをつくってくれて。まかないって、なんだか残しづらいじゃないですか。

- そうだね。自分のためにつくってくれた感じがすごくあるもんね。

それでしょうがなく食べたら、野菜がすごくおいしくて。それがすぐそばの、地元で採れた野菜だったんです。身近なところでつくっている野菜が、適切に調理したらこんなにもおいしくなるのかと思って。その頃から、いつか自分で東京ローカルの食材を集めたグローサリーショップをやりたいと思うようになりました。

- それで働き始めたのが、前職のDEAN & DELUCA。

はい。3年半くらい働きました。小さいお店の店長を任せてもらったりして、すごく勉強になったんですけどね。お店には料理になったものとか、パッケージに入ったものが並んでるんです。私、東京生まれだからか、想像ができなくて。

- 想像ができない?

どういうふうに育ったもので、どうやって加工して、どうしてこの値段になっているのかがわからなくって。その過程を自分で見てみないとわからないなと思って、地元の体験農園で働こうと思って、会社を辞めますって言ったんです。

- 働きながら勉強してみようっていうより、転職しちゃうって感じだったんだね。

ほんと、そうですね。あとは一応結婚するっていう話もあって。寿退社ってなんかいいじゃないですか。

- だけどその後、フードハブ・プロジェクトで働くために神山に移住するんだよね。

そうなんですよね。DEAN & DELUCAの代表の横川さんに辞める話をしたときに「なにをやるかも大切だけど、誰とやるかも大切だよ」って、フードハブの真鍋さんを紹介してくれたんです。気にはなっていた場所ではあったから、1年限定で。1年たったら東京に戻りますってことで、神山で働くことにしました。

- なかなか結婚できないね。神山はどうだった?

みんなよくしゃべるなって思いました。疑問に思ったことをちゃんと口に出すっていうか。

- どういう話をしているの?

「今日は野菜のローフがあんまり膨らんでないけど、野菜の水分量が多かったのかな」とか。出てきたものに対する感想というよりは、どうしてこうなったんだっけ?とか、どうしたらもっと良くなるんだっけ?とか。

東京だとクオリティを均一にすることが大事だったけど、そうじゃないことが自然なんだっていうことは、けっこう驚きでした。

- ストア担当として働いて、1年で戻ってきてここで店長になって。お店をつくるのが弓削ちゃんの仕事っていう感じなんだね。

そうですね。私、めちゃめちゃお店が好きで。本当に大好きで。好きなお店に入ると、展開図を描いたりするくらい好きで。これは徳島のコーヒー屋さんなんですけど。

写真を撮るのとは違って、絵にすると、細かいところも見るじゃないですか。椅子が何個あって、台の上にあるマグカップの横には楽器が置いてあって。あそこに電球が何個ついてて。

- それは、将来の自分のお店のために続けているんだ。

それもあるかもしれないですけど、楽しいんですよね。お店の人の人柄が、空間ににじみ出る感じが好きなんです。人の頭のなかにお邪魔できる感じがして。

- 「かまパン&フレンズ」は、どういうお店になっていくんだろう。

ごちゃごちゃ感、探す楽しみがあるといいなと思ってます。階段から降りてきたとき、おー!と思えるような。あとは商品でもつくり手でも、POPの書き方でも、なにか刺激というか、出会いのある場所にしたいなとは思っているんですけどね。

やりたいことがたくさんあっても、なかなか形にできていないのが今っていう感じです。

- いろんな仕事をしているけど、得意なことってどんなこと?

ババババーっと進めるのは得意なんですけど、散らかしていった細かいことに対応するのは苦手です。いつも誰かが助けてくれるので、ほんと、感謝しながら生きています。

楽しそうな話があると、あんまり考えないで返事しちゃうんですよね。神山行くって言ったけど、私結婚するんだった!とか。後から、どうしようって思うことが多いです。大変だけど、やるって言ったからやりきるしかなくて、がんばるっていう流ればっかりですね。

- 最後に、今楽しみにしてることってどんなこと?

このあいだ、テレビでどら焼きをつくってる番組を観たんです。この店に豆はあるから、あんこをつくって、ホットプレートでどら焼きを焼いて食べたいなって。あとは手巻き寿司をやることですかね。


お腹が空いてる時間に、話を聞かせてくれてありがとう。

ちなみに弓削ちゃん、かまパン&フレンズ<ナチュラル物産館>オープン後、無事にご結婚されました。このあいだお店に来ていた旦那さん、さすが、優しそうな人でした。

期間限定の銀座のお店は9月末まで。きっとあっという間に過ぎていくであろう残り半年、おいしいものを食べながら、一緒にがんばろう。

この投稿を書いた人

中嶋 希実

中嶋 希実(なかじま きみ)

1985年生まれ、茨城・龍ケ崎在住、自営業。「日本仕事百貨」の取材でモノサスと出会い、今はものさすサイトなどいくつかのことに会社のちょっと外から関わっています。

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