2018年07月

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金曜日の投稿

ものさす編集部
投稿者:ものさす編集部

2018年07月20日

夏はビールを片手に漫画夜話!:後編
〜モノサスの「読書会」#25〜

図書だより

ものさす編集部
投稿者:ものさす編集部

夏といえばおなじみの、ものさす読書会・特別編「漫画夜話」。
前半に引き続き、後半戦のスタートです。

ビールもすすんでゴキゲンなメンバー達、さらに熱い漫画トークが飛び出しますよ。

ひとり5分間で本を紹介します。
ますます盛り上がりを見せる、後編のラインナップはこちら。

今回紹介する本

  • 田中 相(著)『千年万年りんごの子』講談社
  • 榛野 なな恵(著)『Papa told me 〜窓に灯りのともる頃〜』集英社
  • 安倍 吉俊(著)『リューシカ・リューシカ』スクウェア・エニックス

 

想像もつかない世界に、連れていかれます。
田中 相(著)『千年万年りんごの子』

紹介者:立脇 あゆみ


田中 相(著)『千年万年りんごの子』講談社(2012/7/6)(Amazon

田中相さんの『千年万年りんごの子』、2012年に文化庁メディア芸術祭で賞を獲った作品です。雪の日にお寺に捨てられていた主人公の雪之丞は、育ちの負い目から、人生に欲を持たず、何にもこだわらず生きている。で、りんご農家から婿養子に来てほしいという見合い話をあっさり受けて、朝日さんという女性と結婚します。

その村には、おぼすな様と呼ばれる神のりんごを食べた娘は、おぼすな様の嫁になるという呪いのような伝承があって。何年も前に途絶えてたんですけど、雪之丞は知らなくて、朝日さんにそのりんごを食べさせてしまう。そして彼女はどんどん体が小さくなって、子どもに戻っていって...。

雪之丞は必死でその呪いを止めようと走り回るんです。何にも欲をもたなかった彼が、彼女が自分にとってかけがえのない存在なんだと気づいて、変わっていく。ラストは人智を超えるというか、神の領域のようなゾクゾクする世界になっていきます。

最初は表紙の絵がきれいで興味を持ったんですけど、読んでみたら本当に面白くて。想像もつかないような場所に連れていかれる感じです。ぜひ読んでみてください。

高橋

私、1巻だけ読んで、こわくて止めちゃったんです。村人たちの思い込みというか、閉鎖的な感じがすごくこわかった...。

立脇

雪之丞はよそ者だから、おぼすな様のことも知らされないし、かやの外に置かれてて。でも、あさひさんのために自分の力で必死に謎に向き合おうとしていくんですよね。

半田

絵もすごくいいし、コマ割りも面白いですね、間の空け方がすごい。

濱端

僕、結婚してから、愛する2人がどうしようもない状況で引き離される状況に、めっちゃ萌えます。男だからかなぁ(笑)。

 

名言てんこ盛りの、ファミリー漫画。
榛野 なな恵(著)『Papa told me 〜窓に灯りのともる頃〜』

紹介者:高橋 愛


榛野 なな恵(著)『Papa told me 〜窓に灯りのともる頃〜』集英社(2011/6/17)(Amazon

『Papa told me』というファミリー漫画を持ってきました。父親と小学生の娘、その父子家庭を取り巻く人達の日常をきめ細やかに描いた物語です。初めて読んだのは大学生のときで、当時27巻まで出てたんですけど、めちゃめちゃハマってかなり読み込みました。

とにかく心に響く名言が多くて、Twitter で BOT があるくらい(Papa told me ボット)。例えば、お父さんの妹が高校の同窓会に行くエピソードもすごく好きで。彼女は仲が良かった友人と昔のある出来事の話をしたかったけど、その子は忘れちゃってるという。

「学校とか息苦しいよね。私たちは巨大なジャングルジムに閉じ込められてる、無意味な古い枠組みにとらわれている」そう語り合った高校時代から時が経ち、自分たちは新しいものを見つけられたのかな。そんなことを話したかったけど、彼女はすっかり忘れていた...。

読んでると、自分にすごくフィードバックしてくる漫画なんです。人生は選択の連続で、自分で選んで生きていくしかないんだけど、やっぱり不安もあって。そんなことを偏ることなく描いてくれてるというか。30代になって読み返しても、ホント心に響く作品です。

加倉井

漫画って結果やハッピーエンドみたいなのを求めがちだけど、そういうのがハッキリとしてない感じもいいですね。

高橋

答えが大事なんじゃなくて、「答えを考えること」が大事なんだって、気づかせてくれる漫画です。

村上

作品の丁寧さが伝わってきますね。

高橋

漫画っていうより、読み物に近いかも? 絵がすごく上手いという感じでもないですし(笑)。でもホントにいい作品です。

 

子どもの頃のあの感覚が、よみがえってくる。
安倍 吉俊(著)『リューシカ・リューシカ』

紹介者:村上 伊左夫


安倍 吉俊(著)『リューシカ・リューシカ』スクウェア・エニックス(2010/6/22)(Amazon

今日はいつもとちょっと系統が違う作品で、安倍吉俊さんの『リューシカ・リューシカ』を持ってきました。この方はアニメも作ってるんですが、20代前半に観た『灰羽連盟』というアニメにものすごく感動して。そこからずっとファンなんです。。

この漫画はちょっと変わってて、全ページカラーで描かれてます。ガンガンオンラインで連載されてて、作者にとっても実験的な試みだったようですが、結局10巻まで続いて...すごいですよね。

主人公は小さな女の子リューシカで、彼女がイタズラしたり空想したり...1話完結型のギャグ漫画です。大人になると、人は子どもの頃の気持ちを忘れてしまうんだろうか。そんな作者の気持ちが、主人公に投影された作品と言われてます。

とにかく、リューシカのしぐさがすごくかわいくて。子どもならではの動きというか、その可愛らしさがすごく良く表現されてます。あと、実際には存在しないものが、幼い頃には見えていたような感覚とか...自分が小さな子どもだった頃の気持ちを思い出させてくれるんですよね。

濱端

タイトルの「リューシカ」って名前だったんですね。

村上

本名は別にあって、確か最初に漢字の名前が出てくるんですが、基本的には「リューシカ」って呼ばれてます。

半田

子どもの頃の気持ちを、大人になった作者がそこまで表現できるってすごいですね。

村上

作者の方は僕より年上だと思うんですが...すごいですよね。ちなみに、本編の最後にあるあとがきも、食事中は見せられませんが面白いです。更に言うと、この漫画もすごくいいんですが、『灰羽連盟』というアニメが本当にいいので、ものすごくおすすめです(笑)。

漫画夜話をおえて

一年ぶりの漫画夜話。後半は、りんごの村でおきる不思議な世界、名言だらけの心あたたまる物語、そして子どもの頃の気持ちがよみがえる作品が紹介されました。

隠れ家のような空間で語り合いながら、お互いの漫画愛がほとばしったひと時。今回の漫画夜話もおおいに盛り上がりました。やっぱり漫画は最高ですね!

さて、次回はどんなテーマになることやら。それでは、また!

この投稿を書いた人

ものさす編集部

ものさす編集部(ものさすへんしゅうぶ)

ものさすサイト編集部です。メインは2名。「正直な今」を伝えるべく、日々ネタを求めてアンテナ発動中。たのしそうな気配を感じたら、どこでも飛んでいきます!

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