2018年10月

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火曜日の投稿

ものさす編集部
投稿者:ものさす編集部

2018年10月23日

今夜は、読んで味わう「食堂読書会」。
〜 ものさす読書会 #28 〜

図書だより

ものさす編集部
投稿者:ものさす編集部

すっかり秋の気配になりました。朝晩の冷え込みにヒヤリとしつつ、気がつけばゴハンが進む今日この頃。そう、「食欲の秋」到来です!

ということで、今月のテーマは「食べ物の出てくる本」。昨年に続いて、本に出てくる料理を実際に食べてみよう!というお楽しみ企画です。想像するだけでワクワクしますね。

さぁ、一体どんな料理が用意されているのでしょうか。
1日の仕事を終えて、集まったメンバーは3名。今回も、料理を担当するのは編集部の大村です。普段は「もくもく」と進む読書会ですが、今日は「もぐもぐ」しながら楽しみたいと思います。

それでは、出来上がった料理をテーブルに並べて、食堂読書会スタートです!

今回紹介する本

  • 池波 正太郎(著)『剣客商売』新潮社
  • 妹尾 河童(著)『河童のスケッチブック』文藝春秋
  • 誠文堂新光社(編)『スリップウェア』誠文堂新光社

 

朝も晩も黙々と食す、ネギの味噌汁。
池波 正太郎(著)『剣客商売』

紹介者:村上 伊左夫


池波 正太郎(著)『剣客商売』新潮社(2002/9/1)(Amazon

時代小説で有名な池波正太郎の『剣客商売』です。池波さんの小説にはよく食べ物が登場するんですけど、この話に出てくるのが、根深汁(ねぶかじる)。根深=ネギのことで、つまり具材がネギだけのお味噌汁です。

江戸中期、剣術を生業とする父子が主人公です。冒頭、独り立ちしたばかりの息子が誰もいない道場でひとり外を眺めていると、台所からごはんの匂いが漂ってくる。飯炊きを頼む近所の女房がつくるのは、根深汁と麦飯と大根の漬物。それを毎日毎日、飽きずに食べる。たぶん特段おいしいものではないと思うんですが、ずっとこの味噌汁が気になってて。今日は食べることができて嬉しいです。


根深汁(ネギのお味噌汁)

最初は「剣術」と「商売」という言葉が結びつかなかったんですが、「太平の世になって100年以上、剣で生きていくには腕っぷしだけじゃなく、剣も一つの商売だと捉えるべき」と父親が息子に説くシーンで納得しました。面白いタイトルですよね。

シリーズ物の第一作ですが、台詞回しも多くなくて、シンプルな言葉で話が進んでいく。そんな気持ちよさがある小説です。

立脇

これは朝食のシーンですか?

村上

いや、夕暮れだったかな。でも朝も夕もこのメニューを食べてるみたいです。根深汁と麦飯と大根の漬物を、しっかり噛んで飲み込む。同じものを淡々と…

羽賀

昔の人は一日2食だったと聞いたことがあります。

村上

そうですね。江戸中期は経済も発展したので、豊かな人は3食だったかもしれませんね。

 

冬になると催促される、絶品鍋。
妹尾 河童(著)『河童のスケッチブック』

紹介者:立脇 あゆみ


妹尾 河童(著)『河童のスケッチブック』文藝春秋(1999/07)(Amazon

表紙が印象的な『河童のスケッチブック』です。著者の妹尾河童さんは、舞台美術家で絵がすごく上手。もう表紙からしてツボでした。昔からムダなことや雑学を調べるのが好きなんですが、このエッセイもまさにそう。インドの弁当箱とか不思議なものがいろいろ登場する中で、冬の鍋として登場するのが「ピェンロー鍋」です。

寒い季節になると妹尾家に友人達から遠回しな催促が来るというピェンロー鍋。初めて読んだときから食べてみたくて、実家で作ってもらったことがあるんですけど、なんだか味が薄くて微妙で(笑)。今日のはトロトロで美味しい!「これだー」って思いました。


ピェンロー鍋

中国に長く住んでいた人から聞いた鍋で、ピェン=ささやかな、素朴な、という意味だそう。材料もいたってシンプルで、味付けは粗塩や一味唐辛子などで各自が自由に。日本のお鍋って元々味を付けてるのが多いけど、自分で味が決められるのも面白いですよね。

『スケッチブック』というだけあって、絵と文章でいろいろなものが紹介されてて本当に面白い本です。もう絶版になってるみたいなんですが、おすすめです。

村上

今日のお鍋に入ってる具材も本の通りですか?

立脇

はい、白菜、豚バラ、春雨、椎茸…。私が初めて読んだ頃はマイナーだったんですが、最近はメディアにも取り上げられて有名になってるらしいです。

羽賀

美味しいですね、塩を入れると締まる!

立脇

本には「うんと寒くなって白菜がウマクなるまで待つこと」と書いてあります。あと、この鍋は2人で静かに食べるものじゃないと(笑)。大勢で賑やかに食べる鍋だそうです。


各自で塩と一味唐辛子をつけて味付け。今回は神山のすだちを添えました

 

大胆で自由、一つ一つ違う器の魅力。
誠文堂新光社(編)『スリップウェア』

紹介者:羽賀 敬祐


誠文堂新光社(編)『スリップウェア』誠文堂新光社(2016/1/13)(Amazon

『スリップウェア』という器の本を持ってきました。スリップウェアは、器の素地に化粧土(スリップ)をたらして模様を描く技法で、18〜19世紀にイギリスを中心に発展したものです。大胆な模様が好きで、自分でも数枚持ってます。

本に載っていた写真で、スリップウェアのお皿にデザートのようなものが乗っていて。これはリンゴかなと思って、焼きリンゴをリクエストしました。器は僕が持っているスリップウェアで、陶芸家 十場天伸(じゅうば・てんしん)さんの作品。ちょっと大きめのサイズ感と大胆な模様が気に入ってます。


十場天伸さんの器(今回は、ちょっと焼きすぎリンゴ…)

スリップウェアにもいろんなパターンがあって、このお皿のように一瞬でサッとかけて即興的に描くものから、流したり引っ掻いたりして絵柄を描くものもあります。個人的には大胆で自由なのが好きですね。一つとして同じものが無い一点物なのも魅力です。

本には器の作り方も載っていて、実際にワークショップなどをやってるお店も増えてます。実は僕も体験して作ったんですが、流石に自分のつたない器を持ってくるのは…と思ってやめました(笑)。

村上
羽賀

そうですね。民藝の器の中の一つのジャンルというか技法というか。それを体系的にまとめて紹介したのが今回の本ですね。

立脇

この前、徳島の遠近(おちこち)さんでもワークショップやってたような…

羽賀

僕が初めてスリップウェアを買ったのも遠近でした。民藝に興味を持ったきっかけのお店です。

読書会をおえて

おいしい料理をもぐもぐしながら進んだ食堂読書会。剣術父子のささやかな食卓に、大勢で味わう絶品鍋、料理を盛る器に着目したセレクトなど、それぞれの食べ物との距離感が伝わってくる時間でした。おいしいご飯は人を幸せにしますね。

次回はどんなテーマになることやら。それでは、また!

この投稿を書いた人

ものさす編集部

ものさす編集部(ものさすへんしゅうぶ)

ものさすサイト編集部です。メインは2名。「正直な今」を伝えるべく、日々ネタを求めてアンテナ発動中。たのしそうな気配を感じたら、どこでも飛んでいきます!

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